微小エントロピーdSを微小熱量d'Qに積分因子1/Tをかけて
dS=d'Q/T
で定義すれば、こうして定義されたエントロピー状態量となるとどの熱力学の本にも書いてある。
数学の式として不完全微分であったものが積分因子をかけて完全微分になるという例があるのは知っているのだが、もう一つピンとこない。そこのところを多くの熱力学の本にどう書かれているのだろうかという疑問を持っている。
もう一つのよく知られたことは内部エネルギーUは状態量であるので、dUと完全微分で書かれるが、これは熱の不完全微分d'Qと仕事の不完全微分のd'Wの和である。
dU=d'Q+d'W
となるという疑問もあるが、こちらの方はまだよくわかったわけではないが、ムーアの『物理化学』上(東京化学同人)の「熱の力学的定義」という節だったかに説明があってそれを読んで納得したという記憶がある。
いま急遽ムーアの『物理化学』上を書棚に探したのだが、見当たらなかった。しかし、こちらはすでに解決済みであると思っていい。
だが、もう一つのほうはまだdS=d'Q/Tの方はそのことについてはっきりと書かれた文献を知らない。そのうちにどこかできちんと書いてある文献に出会うことだろうか。
これはこのブログでも書いたことがあると思うが、温度Tは相転移があるときには変わらないのでエントロピーの導入の理由はそういうことのためにもあるということだ。
算数といわれる初等数学においても遠山啓さんらが提唱した量の理論では示量変数といわれる量は外延量と呼ばれており、示強変数は内包量と呼ばれている。
私はこういう名前の量のことを知ったのは多分40歳代であった。熱力学は大学で単位はとったのだが、そういう示量変数とか示強変数とかの名も聞いたのかもしれないが、覚えていなかった。