球面線形補間というタイトルですでに何回かこのブログで書いていると思うが、今回は『ゲームプログラミングのための3Dフィックス数学』(ボーンデジタル)という本の球面線形補間の話である。
この本は定価7000円の高価な本であり、私は先日この本をインターネットで古本で約2000円で購入したばかりである。それで四元数のことをあまり書いてないのかなと思って索引を見たら、ちゃんと書いてあるらしい。
それで四元数のところには球面線形補間のことも書いてあった。図も大きくて読みやすいのだが、「図3.10(a)に示すように相似三角形をつくれば、・・・」と書かれているのだが、どこにも図を見たらすぐわかるような相似三角形は描かれていない。それで自分の書いた本『四元数の発見』(海鳴社)を取り出してきてそれと比較をしながら考えたら、一本の補助線を描く必要があることはすぐに判断できたが、これは訳者の判断で図を修正しておかねばならないのではあるまいか。
もっともこの『ゲームプログラミングのための3Dフィックス数学』が全体的にはわかりやすい、いい本であるだろうとは思う。このことは最後の数学関係のappendixがなかなか特徴的でいいことからもわかるだろう。
それでたった一つのことで欠点をあげつらうことがいいことかどうかはわからない。ただ、私のようなある程度だが、事情に通じている者でもしばし戸惑わせる書き方は現在の版ではすでに修正されているのだろうか。
球面線形補間についてはなかなか日本語できちんと書かれた本が少ない(注)。自己PRで申し訳ないが、小著『四元数の発見』はそういう数少ない本だと思っている。インターネットではきちんとした説明はいくつかはあるとは思うが。ただ、いまから考えると私の本の説明もちょっと図がごちゃごちゃしているかもしれない。これは反省している。しかし、説明のごまかしはしていないつもりであるし、いくつか複数の球面線形補間の導出の説明をしていることも特徴である。
四元数の説明で私の本を引用してくださった、松岡学『数の世界』(講談社ブルーバックス)でも結城浩『数学ガールの秘密のノート』複素数の広がり(ソフトバンク・クリエィティブ)にも球面線形補間のことは触れられていない。これはこれらの本が3Dグラフィックスの本ではないので、当然であろう。
(注)前にもこのブログでこの点については書いたことがある。その本の欠点をあげつらうことが私の目的ではない。そうではなくて、なかなか理解し難いところが、やはり球面線形補間にはあるということであろう。それも著者の方々がかなり優秀な方々であるにもかかわらずである。そういう本を書かれた方もすでに修正版を出されているかもしれない。そうであってほしいと思っている。3Dグラフィックスの本と名乗られるのであれば。