おもしろい短歌などと言ったら、失礼に当たるだろうか。
昨日、朝日新聞を見ていたら、こんな短歌が出ていた。読者の投稿した選に入った短歌である。
数学が嫌いだけれどマイナスの二乗がプラスになるの大好き
というのである。新聞に名前が出ているのだからここで名前を出してもいいのだろうが、一応遠慮して名前は出さないでおく。松山市在住の女性である。
私も50年以上松山市民であるから、比較的近いところに住んでいる方といえるだろう。私が注目しているのは
マイナスの二乗がプラスになるの大好き
ところである。数学教育ではどのように教えられているのだろか。 私が学んだ中学時代に数学教育では天下りに負数を含んだ数の計算の規則として覚えなさいと教わったと思う。
さて現在ではどうだろうか。大多数の中学校の教師はやはり単に負数を含んだ数の計算の規則だと教えているのかもしれない。
数直線を考えよう。0を境にして0の右側が正数であり、0の左側が負数である。 ー1をかけることはその数直線を0を中心にして180度回転させることである。
そうすると、すべての正の数はすべて負の数となり、逆にすべての負の数は正の数となる。 負の数を二度かけることは数直線を0を中心にして2度180度回転することである。
正の数にマイナス(負)の数を掛けるとその正の数がすべて負の数となる。さらにもう一度マイナス(負)の数を掛ければ、その負の数は今度も0を中心にして180度回転することになるから、元の0の右側にもどってくる。
こういう説明を聞ける中学生は幸せである。そういう教え方を知らない数学教師が多いのかもしれない。本当のところは、そういう教師は今では少なくなっていれば幸いである。
いやいや、作者の気持ちをまったく考慮していなかった。作者はネガティヴ(negative)のことが二回あるとポジティヴ(positive)になるところが好きなのであろう。
postiveは英語では数が正であることを意味するが、また積極的なことも意味する。同様にnegativeは英語で数が負であることも意味するが、また消極的のことも意味する。
作者に数学が好きになってほしいなどとは言うまい。だが、そういう機微が数学にもあるということを知ってほしいなどと思っている。