昨日、知人のところへ招待をされた。この方は今ドイツ人の夫妻のホームステイをされているのである。それでご主人の方があまり英語をはなされないので、寂しそうだからというわけで彼の話相手として招待をうけた。
それで、他のお客さんたちと、このドイツ人夫妻の間をとりもつ通訳をしたりしたが、もちろん私がなんでもドイツ語で言えるわけではない。むしろ言えないことの方が多い。ドイツ語を聞いて日本語に訳す方はなんとか不十分だができたと思う。
その前に午後知人に連れられて、石手寺に行った。そのときにガイドの人でとてもきれいなドイツ語を話す人と会った。後で聞いたところでは英語のヴォランティアガイドもなさっている方らしいが、そのドイツ語もきれいであった。
Oさんとか言われるらしいが、何年もドイツで生活をされたとか聞いた。それにしても優れた人がいるものである。もう一人ドイツ語を話す、ヴォランティアガイドの方がおられたようである。しかし、こちらの方はあまりよくはわからなかった。
松山は50万人を越える人口であるので、きれいなドイツ語を話す人がいても不思議ではないが、世の中は広いものだと感じさせられた。
石手寺の裏側の山に弘法大師の大きな立像が見られるが、これがAus Stein ?
(石からできている?)と尋ねたら、Aus Beton(コンクリ―トでできています)との明快な返事をもらった。
ところでその後ドイツ人の女性からお前は仏教徒かと尋ねられたので、そうだと答えたら、どういう教義かと聞かれたが、仏教には多くの流派があるのでと答えたら、それは了解されたが、そのすぐ後で「お前のドイツ語を修正してもいいか」ときかれたので、「ええ」というと私の使ったSektはシャンパンを意味しており、仏教の流派ならSekteとeをつけないとと言われた。また流派の複数はSektenとnをつけて言うらしい。
これはドイツ語のクラスで以前にもR氏から注意されたことだが、なかなか直らないものである。さらに参道で「はし」を売っていたので、Staubchenと言ったら、St"abchenと訂正された。
こういう風に なかなか正しいドイツ語は話せないものである。
(2013.3・31付記) Klausさんというホームステイをしていたドレースデンの出身の69歳の男性であったが、ドレースデンはイギリスの空軍の空爆を受けて街が壊滅的に破壊されてしまった。そしてこの空爆のことを英語でair raidと言われていた。
air raidとは日本語で言うならば、「空襲」であろう。私はたまたまこの語を知っていたので、すぐわかったが、居合わせた他の日本人の方々のみなさんにこの語が空襲だということが分かっただろうか。もっともその場の全体の話から、この単語を知らなくてもおよその見当はついた。
どうして私がair raidという単語を知っていたかだが、これは多分物理学者のDysonの書いた文を読んでair raidという語に出会い、それで意味を知らなかったので、辞書を引いたことがあったからと記憶している。
Dysonは2次世界大戦後に量子電気力学のくりこみ理論で業績をあげた、理論物理学者だが、それより若い時にイギリスの戦略爆撃機の作戦本部にいたことがあった。詳しくは彼の自伝『宇宙をかき乱すべきか』(ダイアモンド社)をみてほしい。
(2022.6.10付記) Dysonの自伝『宇宙をかき乱すべきか』の原題はDiturbing the Universという。数年前にこのDysonは94歳くらいで亡くなった。
この年代の物理学者ではC.N. Yang(ヤン)がまだ中国で存命だと思うが、しかとは知らない。若いころにH大学の大学院生だったころH大学の研究室をヤンが訪れたことがあるので、顔を知っていた。