物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

「数学・物理通信」の編集の停滞

2023-02-28 13:55:18 | 数学

レーザー・プリンターが使えないために「数学・物理通信」の編集の停滞するであろう。

これはやはり最後には原稿はすべて印刷したものをチェックするからである。すでに投稿のあった原稿もプリントして読もうと思っているので、すべて業務が停滞である。

いつものように3月中に2号を出そうと思ってはいるのだが、1号または2号とも4月発行になるかもわからない。プリンターの入荷次第である。

もちろん、プリンターだけが障害かどうかはわからない。自分自身の好奇心の低下とか老齢化による作業効率の低下もあろうか。いずれにしても作業の停滞は起ることは明らかである。市販の雑誌ではないので、どうなっても責任は負わないのだが、できる限り3月に2号が発行できるにこしたことはないのだが。


『数学散歩』のエッセイ

2023-02-28 13:24:17 | 数学

先ほど、ちょっとインターネット検索をしてみたら、私の書いたエッセイが2つほど上がっていた。これは一般の人の数学的質問の答えとしてこれを見よと出ていたものである。

一つは「0.99999・・・=1である」というエッセイであり、もう一つはファインマンのパラメータで「微分して、積分を求める」というエッセイである。どちらもgoogle booksで見ることができる。もちろん、google booksは掲載箇所が数ヶ月ごとに変わるので、今は見えなくなっているかもしれないが。

これらはインターネットでどなたかが質問したのに答えとして私のエッセイがそのままコピーされていた。どちらも何かの機会にどういうものかなと気になる人のいるテーマである。はじめの方の「0.99999・・・=1である」は難しくなくて、無限等比級数の和の公式を知っていれば、高校生でもわかることである。

もっとも私もこのことを私の大学時代に数学者の故吉田洋一さんのエッセイで読んだときもしばらくは半信半疑であった。一つはファインマンのパラメータで「微分して、積分を求める」という話は『ご冗談でしょう、ファインマンさん』(岩波書店)という物理学者ファインマンの自伝を読んで知ったことだが、それより前に方法それ自体は知っていたと思う。こちらは数式がかなり出てくるし、少なくとも微分積分学をある程度知っていなくてはエッセイそのものはいまでもgoogle booksで読むことができるかと思うが、誰でもわかるわけではない。

しかし、高校である程度の微積分を学んでいれば、理解できるであろう。私のよかったところはうまくそういった本を箇所をきっかけとしてちょっとしたエッセイを書いたことにあるだろう。『数学散歩』には他に「関数の定義」とか「立体角」とか「Legendre変換」とか「母関数の方法」とかを書いている。

 

最近ではこれらのあるものは数学のテクストにも出るようになったが、昔はそういうものは掲載されることがほとんどなかった。


『数学散歩』の古本

2023-02-28 11:26:37 | 数学

『数学散歩』の古本がアマゾンコムで30,000円の高値がついていた。これは著者である私の意には反するが、これもある意味では社会からの評価の一つではあるかもしれない。

『物理数学散歩』は上の『数学散歩』の抜粋版であるが、これは手元に200冊くらいあるのだが、あまり出版社が私の本を正しく評価できていないことから来ている。もっとも定価が1,200円だったので、出版社が儲からないということが原因であったのだろう。こちらも古本で24、000円くらいの高値がついたりしていたが、アマゾンでは古本でも売られていないらしい。

いつも言うように私の方に連絡してくれば、郵送料込みで1,000円でお分けしています。このブログにコメントしてください。(『数学散歩』で世間的に評価されている理由となっているエッセイはほとんど『物理数学散歩』に収録してあるつもりである。Levi-Civita記号の縮約の導出法を3つも載せた本は私も他には見たことがない。英語で書かれた本で私の本と同じような趣旨の本が2017年に出版されている。全体的にはこの英語の本の方が優れている)

また、『数学散歩』とか『物理数学散歩』のpdf文書が配布されていたりしたようだ。最近は禁止されて出ていないかと思われるのだが。

電子書籍でこれらの出版を引き受けてくれる出版社があればいいのだが。だいぶんこの2冊の本を書いたときよりも私の現在の認識も進んでいると思う。


マクローリン展開

2023-02-27 14:22:23 | 数学

マクローリン展開(x=0のまわりのテーラー展開)の式は公式集にはたくさんで出ているがそれを逐一求めた式を書いてある本はあまり見かけない。そういう式のいくつかを計算してある本が、西村鷹明『物理数学道具箱』(講談社サイエンティフィック)である。今調べて見たら、7つか8つもある。

 

原理的な問題はないのだが、それでもこれだけ多く計算して見せているのは貴重である。私もテーラー展開のエッセイを書いているので、いくつかを書いておこうかと思ったが、それにしてもこれだけ多くは書く気が起きない。

 

有名なものを5つくらいは書いてみょうかと思っている。どうしても欠かせないものとして一般二項定理は書いておかねばならないだろう。


ベクトル空間の一般化

2023-02-26 23:22:45 | 数学

テイラー展開やフ―リエ展開とか、一般の直交関数系での展開とかがベクトル空間の一般化であるのかどうかはっきりと知りたいと思って先日からいろいろ本を探し読みしている。

 

関数解析とか今では言われる分野はテイラー展開やフ―リエ展開よりも広い概念であろうが、そこら辺を知りたいと思い出している。そういえば、加藤敏夫先生の『位相解析』(共立出版)という本があったなと思い出している。あまり読んだことはなかったので、自分でももっていないのだが、購入すべきだろうか。

 

元はと言えば、小著『四元数の発見』(海鳴))の第6章をまだうまく書けていないということが動機ではあるのだが、ちょっとこの動機から大きくははずれてしまいそうだ。

 

そういえば、昔書いたことがあるe-Learningの原稿にも三角関数の章が欠けていて、そこを書きたいと思いながら、まだ気に入ったような原稿はできていない。もし三角関数の章が書けるとある意味でe-Learningのまとまった原稿ができるのだが、それが書けないのでフラストレートしている。


わからないことはたくさん

2023-02-25 17:13:40 | 本と雑誌

今日は2月の最終の土曜日なのでさきほどまで雑談会をしていた。今日の話しのテーマは血圧である。風呂に入ったときのヒートショックも大きな話題の一つであった。

 

医学的にはいろいろわかって来ているのだろうが、レポーターの話ではテレビ等での説明にその理由がはっきりと説明がされていないとかいう点がいくつかあった。もちろんレポーターの推測した理由はつけられていたのだが。

 

出席者の一人が生物の起源がはっきりしないというので、来月のレポートのテーマとなる。こうして見るとわからないことがいっぱいということだ。

 

それに私が今関心のもっているベクトル空間にしても双対ベクトル空間にしてもなかなか一筋縄ではいかない。世の中に関心を呼ぶことはたくさんある。


テーラー展開

2023-02-24 18:18:09 | 数学

テーラー展開についてのエッセイを書いていたので、ブログを書くのが遅れた。

いや、「ヨビノリたくみ」さんの本を読んでもう一つと思ったのがきっかけである。彼の書いた内容がわるいわけではなく、単なる私の考えからである。

簡単に書くつもりだったが、なかなかいろいろと文献を見たりしている。歴史的にも私の思ったようには展開してはいなかったようである。そうだとすると「ヨビノリたくみ」さん流の話の展開はしかたがないことになる。

だが、それではなかなか話がわからんではないかという気がするから、私にも困ったものである。歴史的な展開も時々は気にするけれども話の筋があまり明瞭でなければ、歴史的な展開にはこだわらないでいいのではないかというのが私の考えである。

テーラー展開の剰余項はラグランジュが考えたと、ある本にはあった。数学的にはこれが正しい道筋だろうが、それにはこだわらないでもいいのではないか。つまり直観的に理解しやすいことが大切なのではないかという考えてある。

科学者列伝で、kouzoさんのエッセイのレベルが上がってきたようなのはいいことである。私は彼と競争するつもりはないが、私の書いたものが、彼のエッセイの質を上げるきっかけとなっているとすればいいことだと思っている。


ジョリオー・キュリー夫妻

2023-02-23 11:22:34 | 科学・技術

フレデリックとイレーヌ・ジョリオー・キュリーの簡単な評伝についてはセグレ『X線からクォークまで』(みすず書房)のpp. 327-343を読んでほしい。また、フェデリックについては参考文献の『ジョリオ・キュリーの遺稿集』(法政大学出版局)を参照して下さい。イレーヌは言わずと知られた有名なキュリー夫人の長女であり、体つきも性格も母親そっくりであったという。血筋とその母親からの教育によって母親と同じ放射線科学の研究に入った。

一方、フレデリックは物理学者ランジュバンの学生であったが、その並外れた技術的な才能を買われてキュリー夫人の助手として推薦された。彼は陽気で活発な上に気持も優しくまた想像力に富んだ人物であった。

彼らは後にチャドウィックが中性子を発見するきっかけとなる現象を発見した。また1938年の核分裂反応の発見にもきわめて近いところにいたが、この発見も逃している。しかし、1934年には人工放射能をもった物質を創成することに成功して1935年にノーベル化学賞を夫妻で受賞した。

フレデリック等はハーンの核分裂反応の発見後、すぐにその追試に成功し、またその核分裂の際に2個以上の中性子が放出されることを発表した。すなわち、原子核からエネルギーが取り出せることを示し、このことを機密にしておこうと思っていたシラードたちを大いに慌てさせたのであった。


シラードはアインシュタインにルーズベルト大統領に原爆を提言させたことで知られている、ハンガリー出身の物理学者である。

シラード Leo Szilard

2023-02-22 14:53:54 | 物理学

シラードSzilardについては参考文献『シラードの証言』(みすず書房)を参照して下さい。またローズの『原子爆弾の誕生』はシラードに焦点を当てて描かれているので、大なり小なりシラードの人物像に迫れるかもしれない。とても機知にとんだ逆説的な思考な思考のできる発想の豊かな独自の気風と見解をもつ科学者の一人であった。

伏見康治は『シラードの証言』のあとがきの中でつぎのように述べている。

『シラードは第一流の学者、たとえば、ハイゼンベルクHeisenberg、と並べては気の毒な科学者である。しかし、いささかの才気があり、新しいアイディアを出すことを人生の最高の目標としている。同じ質のことを繰り返してそれを組織化し、体系化するというようなことは、あまり価値を認めない男である。

その男がたまたま原子核反応が、化学反応と同じように、エネルギーの生産やその他のことに使えるはずだというアイディアにとりつかれていた。そして、そこへ、ハーンとマイトナーのウラン核分裂の発見がとびこんできた。

シラードはナチスドイツから追い出されて、流浪の末にアメリカに来て、そのドイツが原爆を先に創り上げて世界征服に乗り出すのではないかとう政治的なアイディアにとりつかれた。その結果が、アインシュタインを説いて、アメリカに原爆計画のイ二シアティブをとらせることになった。・・・

ナチスドイツが壊滅して、シラードとしては用のなくなった原爆をアメリカに使わせまいとして、再度黒幕として政治の水面下で働いたが、今度はうまくいかなかった。彼は「原爆をつくらせようとして成功し、使わせまいとして失敗した男」なのだが、その失敗にもかかわらず、アイディアの創出こそ人生の価値だとする彼の信念は揺るがなかったようである』

(2023.2.22付記)

人柄が似ていたかどうかはわからないが、こういうところは日本人科学者の武谷三男と似ているような気がする。武谷は教科書的な体系化を嫌ったような気がするからである。体質的には私にこういう気概はない。教科書的な体系化大いに結構ではないかという考えだからである。そういう私が武谷三男の研究者の一人というのはちょっとした歴史の皮肉かもしれない。

 

 

 

 


フェルミ 2

2023-02-21 13:31:17 | 物理学

これは「技術と科学の歴史を考える」というタイトルの講義の後半を私が担当したときの「原爆製造と原子核物理学」というサブタイトルの講義の中の人物評伝の一部のエンリコ・フェルミの後半である。

Fermiの講義録である『原子核物理学』は内容が少し古くなってきたが、原著はシカゴ大学出版局から、訳書は吉岡書店からいまも出版されており、読者に読み継がれている。日本版の訳者小林稔氏(京都大学名誉教授、故人)は訳者まえがきでつぎのように述べている。

「イタリヤの生んだ鬼才Enrico Fermi教授はいうまでもなく原子核物理学の第一人者であり、人類が第二の火、すなわち、原子力を発見したのも主として彼の研究に負うものであって、彼は歴史上永久に名をとどめる数少ない物理学者の一人であることは疑いのないところである。 Fermi教授は実験及び理論の両方面に卓越した才能をもち、その業績も有名なフェルミ統計、べータ線崩壊の理論、量子電磁気学など理論的なものから、中性子衝撃による人工放射能、遅い中性子の選択吸収、さらに原子力解放の緒となった核分裂の現象、その連鎖反応など行くとして可ならざるものはなく、しかもいずれも物理学の根本問題を衝き、その自然認識の深さの非凡さは驚嘆のほかない。イタリヤにおいては僅かの放射性物質とパラフィンのみの実験室でよく世界の原子核研究に伍し、中性子の性質の探求にあざやかな業績を挙げており、アメリカに移ってからはまさに鬼に金棒、現在もシカゴ大学の大サイクロトロンを主宰し、有能な同僚や弟子たちと共に原子核研究の推進に非凡の精力を注いでいる」

これはFermiが亡くなる直前に書かれた彼のプロフィールである。ここにはFermiの業績についてほとんどあますところはない。しかし、Fermiの教育上の業績についてはまったく触れられていない。この点についてはFermiの優れた弟子の一人で、ノーベル賞物理学受賞者のC. N. Yangの文章から引用しておこう。

(引用はじめ)

「よく知られているように、Fermiは水際立ったすばらしい講義をした。これは彼の特徴的なやり方であるが、それぞれの題目について彼はいつでも、最初のところから出発して、単純な例をとりあげ、できるだけ「形式主義」を避けた(彼はよく込み入った理論形式は「えらいお坊さま」のものだと冗談をいった)。彼の論証は非常にすっきりしているので、ちっとも努力をしていない印象を与えた。しかし、この印象はまちがっている。すっきりしているのは、注意深い準備、いろいろの異なった表現の仕方のうちでどれを選ぶかを慎重に考慮した結果のためであった。・・・

週に1~2回、大学院生のために非公式の、準備なしの講義をしてくれるのがFermiの習慣だった。グループは彼の部屋に集まり、Fermi 自身か、ときには学生の誰かが、その日の討論のために特別な題目を提起した。Fermi は、綿密に見出しのついた自分のノートを探し回って、その題目に関するノートを見つけ出し、われわれに講義してくれるのだった。・・・

討論は初歩的水準に保たれた。題目の本質的、実質的部分が強調された。大抵いつも、分析的でなく、直観的、幾何学的な取り組みであった」

(引用終わり)
(2024.3.1付記)
ここにFermiの特質が述べられていて、あますところがない感じである。そういえば、これを書いたYangはまだ中国で健在なのだろうか。ひょっとして100歳を越えているか、または、100歳にとても近いかのどちらかであろう。

エンリコ・フェルミ1

2023-02-20 17:16:44 | 物理学

これは「技術と科学の歴史を考える」というタイトルの講義の後半を私が担当したときの「原爆製造と原子核物理学」というサブタイトルの講義の中の人物評伝の一部のエンリコ・フェルミの前半である。

Enrico Fermiについては参考文献のセグレ『エンリコ・フェルミ伝』(みすず書房)を読んでほしい。また、Fermi夫人である、ラウラ(Laura)の著した『フェルミの生涯ー家族の中の原子』(法政大学出版局)が夫人から見たEnricoの伝記である。

Segreによれば、Fermiのもっとも偉大な業績を3つ挙げれば、つぎのとおりである。

1.フェルミ統計の発見

2.ベータ線崩壊の理論

3.中性子の実験的研究、特に遅い中性子による核反応の発見および原子炉における連鎖反応の達成

この中でも2のベータ線崩壊の理論を私個人はもっとも重要なフェルミの業績と考えているが、ノーベル賞をもらったのは3の中性子の実験的研究である。特に遅い中性子による核反応の発見に関係したものである。

今世紀最大の理論物理学者の一人ランダウLandauは「理論物理学者にして実験物理学者でもあった最後の人フェルミ」と評している。

(以下「エンリコ・フェルミ2」につづく)

 

 

 


2月も20日となった

2023-02-20 15:54:50 | 数学

時が経つのは早い。早くも2月が2/3が過ぎた。つい先日正月が来たと思ったのだが。

Gauss数値積分の昔書いたエッセイを修正というか加筆して、その重みの計算の不十分だったところを書き加えていたのは先週の土曜日だった。それの入力を終えようとしたときにそのファイルが急に閉じてしまって、せっかくの入力の保存していなかった箇所が消えてしまった。

それでしかたなく再入力していたので、ブログを書くことができなかった。再入力の方は何とか終わった。3月が近づくとまた「数学・物理通信」の発行の月となる。なかなか私は忙しい。

日曜日は「ヨビノリたくみ」さんの本を読んで過ごした。「ヨビノリたくみ」さんの『予備校のノリで学ぶ大学数学』(東京図書)である。

この本はずいぶん前に買っていたのだが、読んではいなかった。ただ、彼の本はわかりやすく書いてあるが、いくつかのところで不満を感じた。

一つはテーラー展開のところである。テーラー展開は任意の関数f(x)を1, x, x^{2},x^{3}, ・・・の級数で表すことであるが、そうだとすれば、テーラー展開の公式をすぐに与えないで、係数は未定係数としてまずは表すべきではなかろうか。そしてその未定の係数をつぎつぎと微分して決めていくと、それが高次の微係数表わされたテーラー展開になっている。あたかも任意の無限回微分可能な関数f(x)=a_{0}+a_{1}x+a_[2}x^{2}+a_[3}x^{3}+・・・は1, x, x^{2},x^{3}, ・・・が基底ベクトルとみなすことができよう。こういう説明がほしいのである。

もう一つ、デルタ関数のところも不満に感じた。普通にデルタ関数として要請される二つの性質をはじめから要請するのでは面白くない。

幅が2dで高さが1/2dの長方形をx=0を中心としておく。このとき長方形の面積Sはちょうど1となっている。そうした長方形を考えて、面積Sの大きさを変えないで、幅dをだんだん0に近づけていくと、その高さはだんだん大きくなっていく。極限では高さが無限に大きく幅が0の長方形が考えられよう。そしてこのとき、この長方形の面積は1であるのだから、デルタ関数を―無限大から+無限大まで積分したものは1のままである。これがデルタ関数のアイディアの元であろう。

「ヨビノリたくみ」さんの他の箇所の説明はよいのだが、この二つは説明をもうすこし工夫をされたがよかろう。3月発行の「数学・物理通信」ではこのことを指摘しておきたいと考えている。上の二つのことはすでに私が以前に「電気電子工学科ミニマム」という小冊子をE大学で編纂したときにその中で説明をしておいたのだが。


2月の子規の俳句

2023-02-18 12:34:06 | 本と雑誌

遅くなりました。2月の子規の俳句を紹介しておこう。

 

 春の海鯛も金毘羅参りかな    子規

 spring ocean sea

    bream also coming to pray

    at Kompira Shrine           Shiki 1902

 

英語で鯛のことをbreamというとは知らなかった。

昔から、金毘羅参りは有名である。お伊勢参りとか治外法権を許された行動があるのだが、それに類する行動であろうか。

子規は春には海の鯛も金毘羅参りするのかとユーモアである。

表記法について一言お断りしておく。KonpiraではなくてKompiraと表記する。bとかpとかの前のnはmと表記するというのがお約束である。ところが少し「おや」と思ったことがあって、Shinbashiではなくて、ShimbashiとJRの駅に表示されていて、「間違っているのではないかな」と若いときに思ったものである。

上に述べたようにShimbashiが正しい。私の先生の一人にSenbaさんという方がおられたが、若いときにはSembaと論文に表記されていたが、ある年齢以降はSenbaと表記されていた。これはやはり表記としてはSembaとすべきではなかったろうか。

45年ほど前になるが、ドイツのHumboldt財団の奨学生になって、1年間ドイツに留学をさせてもらったが、このHumboldtもカタカナで書くとフンボルトとなり、ローマ字でなら、n だろうが、つぎにbが来ているので、mとなっている。このときフムボルトという風には発音しない。


双対ベクトル空間

2023-02-17 10:05:51 | 物理学

双対ベクトル空間がわからない。ベクトル空間はわからないわけではないが、双対ベクトル空間がよくわからなかったことをようやく思い出した。これを意識しだしたのは北野正雄『新版 マクスウエル方程式』(サイエンス社)を読んでからである(注)。

この双対ベクトル空間の一番いい例は結晶学での逆格子空間である。ところがもう一つこれについて納得がいっていないことも原因である。しかし、数学書でこの結晶学での逆格子空間のことに触れた数学書はあまりない。

私としてもX線結晶学に堪能だと思われる、ある方に逆格子空間を含む結晶学のことを「数学・物理通信」に書いてもらえないかと一度頼んだことがあるが、この方は私よりも年下だが、すでに数年前に大学を定年退職した方である。だが、ある企業から材料工学の授業を2年間頼まれているので、そのシリーズの講座を書くことができないと断られてしまった。

材料工学がつまらないなどというつもりはないが、双対ベクトル空間の重要さには劣るのではなかろうか。もっともこの方にはむしろ材料工学は新しいテーマであったのだろうと思う。だから、その講義のための準備に時間がかかるということだったであろうか。

どちらにしてもいつかはきちんと逆格子空間のことをまとめておかなくてはならない。そしてその知見からもっと双対ベクトル空間をもっと身近に感じられるようにしたいと考えている。

(注)北野さんにこの本を送ってもらった。いい本なのだが、北野さんは双対空間をできるだけわかりやすく述べたという。そういいながら、その結果に北野さん自身が満足はしていないらしいこともわかる。難しいのはどの本を読んでもすっきりしないことからもわかる。志賀先生の『ベクトル解析30講』(朝倉書店)を読んでも同じである。この本も一生懸命書かれているのに。

(2023.5.20付記)双対ベクトル空間が腹の底からわかったという気にはまだなっていないが、その定義を何回が読んでいるうちに大分なじんできてあまり違和感を抱かなくなった。これは私の思う納得ではなかろうが、それでもある種の理解の進歩ではあるかもしれない。

私などよりも頭のいい読者のみなさんなら、すぐに双対ベクトル空間の概念にすぐなじまれるのだろうと思われる。

北野先生も雑誌「数理科学」5月号で指摘されているように、双対ベクトル空間のいい例は結晶学での直接格子空間に対する逆格子空間である。

半年後の検診

2023-02-17 09:52:26 | 健康・病気

半年後の検診になった。昨日の検診結果である。CTキャンをしたいという。手術をする限界に近づいているという。私としては「ああそうですか」というしかない。

このことからすると秋には手術をすることになろうか。まあ、数年前から経過観察を要するということだったのだが、たぶんだんだん経過観察している人が少なくなって私の番が回ってきたという感じである。

まだ数年後かと思っていたのだが、意外と早く自分の手術の番が回って来たという感じである。