土曜日の深夜にEテレで「日本のジレンマ」のspin-off eventというのがあった。spin-offというのは知らない英語だったので、手元にある学習英和辞典を引いてみたら、「(研究や事業の)副産物」とあった。
いま手元の辞書を引いてみるとspin-offは「スピン・オフ : 会社の一部門を分離独立させること」と説明がついている。また、「波及したもの,(予期せぬ)副産物」という意味もある。
妻が昨日スマホで調べてくれたところではテレビとかのシリーズから派生したドラマとかもそうだという。インターネットの例に出ていて私も同時にほぼ同じようなことを思いついたのは, テレビのドラマシリーズ「相棒」に出てくる六角精児さんはわき役であったが、最近では「米澤守の事件簿」とかいう六角精児さん主演のテレビドラマができている。さらに他のテレビにもわき役だった六角精児さんは出演することが多くなっている。
もちろん、いうまでもなく「相棒」は水谷豊さん主演の刑事物のドラマである。
ともかく、副産物という語からすぐに思い出したのはbyproductという語である。これはもう50年以上前のことである。
大学院のころで、マスターコースのときにその時指導教官だった S さんから出されたテーマがなかなか迷路に入ってしまい、混迷を深めていて解決できず、困っていた。そのときにその混迷を解決するための一助にと考えついた一つのことがあまりそれまでに誰も考えつかなったことだとして、letterという2頁の短い論文をだすことができた。もっともそれは大したことではない。でも友人の H 君とわたしとのはじめての研究論文であった。
それを出してもまだ大きな解決できない問題が残っていた。それでかどうかはわからないが、私はそのころいつもさえない顔をしていた。そのことを心配してくれたのだろうが、指導教官の O さんと Y さんとが「もっと自信を持ちなさい」と他の人が誰もいないコロキューム室で私に声をかけてくれた。
そのときに O さんが「君たちの今度の研究論文は瓢箪から駒がでたようなことで、本来の研究のbyproductだね」といってくれた。それでbyproductという語を知ったのだが、spin-offという語を知った、いまではむしろspin-offな研究であったろう。
それから、半年ほどたって混迷を深めていた本来の研究テーマの解決の方向をようやく見つけることができた、ようやく私たちにとってはじめての論文を、指導教官の Y さんや以前の指導教官だった S さんとの共同論文を書くことができた。核子--核子散乱についての論文であった。