作家の小田実が亡くなった。さすがに元気だった小田も病気には勝てなかったようだ。
残念である。小田の「何でも見てやろう」を読んだのは学生のときだから1961年か62年のことになる。多分妹が図書館で借りてきたのを又借りして読んだと思う。
フランスでRien ou un peu(なにもないのかちょっとはあるのか)とか言われたとかパレスチナの人々との交流とかもあったような気がするが、これはひょっとしたら他の紀行文にあったのかもしれない。
彼が岩波から頼まれて「毛沢東」の伝記を出したときにも購入して読み、彼が自分はマルキストではないがと書いているのにその頃はものたらないような気がしていたが、いまごろになるとそういうものの言い方が結構よかったのではないかと思うようになってきた。
世界を実際に歩いて体験をしてきた強みでしょうか、その体験から現実 を直視するというものの見方を教えられたような気がしている。市民とか市民とも呼べないかもしれない現地の人々の目線から現状を直視していた人という印象である。
小田はよ く「焼け跡体験」といっていた。小田ほどの強烈な体験ではなかったが、私も今治で空襲にあい、そういう「焼け跡体験」もした。
「九条をまもる会」は九人のうちの重要な発起人の一人を失って痛手だろうが、生きているものが彼の意志を受け継いで行かねばならない。