CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】大班

2016-02-10 21:44:37 | 読書感想文とか読み物レビウー
大班  作:加藤 鉱

中国ビジネスを描いた小説でした
近現代の中国が見えるようで、
非常に面白い一冊であります

副題が怪しげだなと、期待せずに読んだのですけども、
煽りと一致しないという、最近多い内容でありまして
共産党を手玉にとったというのは
また異なる見解だなと思わされるところ
中国でビジネスをしようと思うと、
様々な努力が必要だということを
つらつら書いたという具合でありまして、
中国に生きる人たちのその習慣というか、
風習というか、空気や考え方の理解を深めないと
遠くから指示をだすだけなんて
テケトーな仕事では失敗しますよと
まぁ、中国に限らずなのでありますけど
この失敗を繰り返した日本のその他をあざわらうように
丁寧な仕事で信頼と、大班の称号を得たと
そんなお話でありました

主人公が成功していく話として面白いのも確かだけど、
その周辺で、失敗しまくる日本企業の描写がステキで、
失敗の本質みたいなのを学べそうな
ステキ資料が山盛りではなかろうかと、
どっかの商社がしくじった話を読んで
興奮したのであります
中国というではなく、海外でのビジネスに
いつから日本はこんなに失敗するようになったんだろう
私が知ってるというか、
聞いていた昭和の日本商社みたいな
ああいう気合というか、心持がどうも見えないと
そんなところに失敗の本質があるのかしら、ないのかしらと
考えさせられるのであります

印象的だったのは、
会長と呼ばれるくらいの人物たちが、
満州出身だとか、そういうノスタルジーから、
何か、中国に恩返しをという使命感めいたものに囚われて、
この失敗をさらに増幅させているという部分が
物凄く腑に落ちてしまいまして
その頃の恩はあったのだろうけども、
今、その頃に受けたものと同じものを返すということは
ただの自己満足でしかないというのが
本当、なんといったらいいか、
中国に安易に商売広げようと思って大火傷するそれこれに
一度、考え直してほしいなんて
思ったりしたのでありましたとさ
まぁ、そんな偉そうなことを本に借りていうあたり
私も、だいぶあれでありますけどもね

と、そんなこんなで、
中国ビジネスの面白さというか
大切な部分、そして、今の大陸に住む人たちの考え方が
なんとなし、わかるような一冊で
非常に満足したのでありましたとさ

【読書】国境のない生き方

2016-02-09 21:47:42 | 読書感想文とか読み物レビウー
国境のない生き方  著:ヤマザキマリ

興味本位で読みました
ミーハーな感じで恐縮でありますけども、
テルマエロマエの、あの人かと
そういう気持ちで読んだわけでありますが、
これまた、そういう一見さんも包括しつつ、
むしろもっと魅力的だと、そう思わせてくれるような
ステキな自伝的読み物でありました

内容としては、著者の生き様というか
反省を振り返りつつ、まぁ、それぞれなかなか面白いことがあったよねと
笑い飛ばす感じで描かれているわけでありますけども、
読んでいるほうとしては、いやいや、そんなこと早々ねぇよと
思わなくもないような、世間との没交渉的な
なんとも言いがたい楽しみを含みつつのお話でありました
かなり破天荒だと思うんだが、世の中には
こんなのが五万といるらしいというのが、もうなんだろう
次元が違うなんて思わされるわけであります

ただ、子供がいない身分ながらも、
子育てに関して、自分が受けた教育というかしつけというか
それに対しての考察は、とても考えさせられるところもありまして、
放任と、それに対する責任みたいなのが
ちょっと考えさせられるところでありました
一家として、どうやら、自由人であるという気風で
ずっと過ごしてきたんだろうなというあたりは、
話はできるけども、共感とは別だなと
思わなくもないところであります
とはいえ、そういう、守旧派を罵ることなんて当然なく、
そういう人がいることもふまえつつ、
本人は、そうではないところでしか生きるしかなかったし、
今思えば、そのほうが楽しいと
そういう割り切りというか、ある種の自信に満ちているのが
興味深いというか、尊敬のそれだなと思わされるのでありました

全力で生きているという感じが
説教ではない内容で伝わってくるというこれは
大変貴重なものであるなと思いつつ、
これに共感できる人が、そもそも、こうなるんだろうと
なんだろうか、向き不向きをとても
痛感させられる内容だなとも思ったりしたのでありました

この生き方には、憧れというのか、
思うところはあるのだけども
自分では、なぜか、いや、わかっていてなのか、
やらないなと、そう思ってしまうあたり
違う人種に落ち着いているのだろうと
自分を反省するのでありました

【読書】当確師

2016-02-08 21:00:40 | 読書感想文とか読み物レビウー
当確師  作:真山 仁

帯が煽りすぎだろうと思わなくもないのですが、
選挙版ハゲタカなんていわれたら、
否が応にも期待してしまうじゃないか
そんなわけで、鼻息あらく読んでしまったのです

内容は、タイトルの通り、
選挙で勝たせるための、選挙参謀の話だったわけですが、
なんだろうかな、私の知ってる真山さんシリーズと違うというか、
どっちかというと、エンターテイメントに徹しているというか、
なんか、どっかの大逆転するアレみたいな感じで、
ちょっと肩透かしでありました
コラプティオみたいに、かなり踏み込んで
政治のなにかれを問う作品かと思いましたが、
さらっと読んで、わくわくするという
そういう小説でありました

キャラ立ちもなかなか楽しげで、
選挙戦の中身というのが、結構ありあり描かれていて
面白く読めたのであります、
なんか、選挙やってみたいとか思ってしまう
そういう具合でありました
実弾(お金)が飛び交うとか、そういう、
昔のドラマみたいな展開とは異なり、
それなりの妨害工作やら、思想対立やら、
集団を操るそれこれなんかも出てきて
非常に面白いのでありますけども、
なんとなし、もっと深く踏み込んで、闇みたいなのを
期待してしまいましたが、
ライトなというか、割とわかりやすい策謀という具合で
なんだろう、物足りないなんて感じたのであります

ロマンス的要素は、いつもの通り
まったく出てこない安心の設計でありますけども
地方の権力のあり方については、
政令指定都市の強さであるとか、ある種の政治団体を作るという
その若者の行動だとかも、物語で見ると
なかなか興味深いものだと
改めて思い知ったりしたのであります

まぁ、小説であーだこーだいうのは間違いなんだけども、
やっぱり、大多数はこの小説に出てきた
政治にかかわろうという側ではないよなぁと
思わされたりしたのであります
入ったら、それはそれで楽しそうだと
そう感じたので、よいことなんでありましょうが
なかなかどうして、考えさせられるのでありました

真田丸  窮地

2016-02-07 20:48:06 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「真田丸」
視聴完了であります
安定して面白く見られるなと
そんな感想になってしまうのですが、
歴史エピソードをあれこれ拾いつつ、
面白おかしく、丁寧に描いているのがステキであります

むしろこの、役者の使い捨てっぷりが、魅力なんだろうかと
そう思うほど、あっさり様々な武将が退場していくわけですが、
今回、梅雪さんが、特に見せ所もなく退場というのは
ちょっと驚きでありました、
てっきり、気持ち悪いというか、どうもいけないからと、
家康に謀殺されるもんだと思ってましたが、
あっさり、落ち武者狩りとか、ちょっとどうかしらと
思わなくもないところ、まぁ、真田と関係ないといえば関係ないし、
でも、裏切りに、危険はつきものという模範としてとか
考えたんだけども、なかなかどうして

伊賀越えが面白おかしく描かれていたので、
あの凄まじさがまったく伝わらなかったのが
残念で仕方なかったわけでありますけども、
もしかしたら、山の中で真田と邂逅とか、
いや、過去の大河を考えるとやりかねないと
はらはらしていたけども、特にそんなこともなく、
じゃぁ、そんな思わせぶりなシーン入れるなよと
思わなくもなかったのですけども、
京都へいき、戻るという、ある種の無駄足も
リアルといえばリアルと楽しんだわけでありました

狼狽する、あんなに頼もしい父上とか、
とりあえず天丼を忘れない、小県の衆とか、
安定した笑いを提供してくれつつ、
今回、とりあえず大きく何かという話ではなかったなと
思わなくもないのですけども、

一番うれしいのは、滝川一益を描いてくれているところでありますが、
どうも、しょーもない感じでやられてしまって残念なところ、
せっかくだから九十九茄子の話くらいやって、
ちょっと箔でもつけてほしかったと思うんだが、
実直という、なんか違う評価ながらも
面白く見られて、今後の北条とのすったもんだを
楽しみにしたいのでありましたとさ

【読書】なにを食べたらいいの?

2016-02-06 22:57:17 | 読書感想文とか読み物レビウー
なにを食べたらいいの?  著:安部 司

結構前に発刊された本でありますが、
なんとなし、手にとってみました
最近、ダイエット関連の本に影響されて、
あれこれ食べることに興味がわいているさなか、
これはこれでセンセーショナルだなどと
思ったりしつつ、読んだのであります

内容は、食品添加物について書いたものでありまして、
最終的には、できるかぎり自然食なるもので
なんとかしてみると、よいかもねと
そういうお話でありました、
いわれんでも、コストがあえばやるよと
思わなくもないのですが、
このコストの概念が、ひとつ示されておりまして、
逆説的に、長持ちする、おいしい、見た目がきれいと、
そういう要望をかなえる素材として、
食品添加物が使われているという論法で、
添加物がいやなら、そんなわがままいうんじゃありませんと
そういうお話だったわけであります
まぁ、そりゃそうだけども、人情だろうよと
思わなくもないところであります

そんなわけで、食品添加物がどう使われているかと、
そこがクローズアップされていて、
ちょっとずるいのは、それぞれの食品添加物が、
じゃぁ、実際どの程度どうなのかというところは
さっぱり触れていないというか、
そこは埒の外であるというので、
なんとなく尻切れトンボなイメージなのでありました

とはいえ、味は作ることができる、
そして、それになれてくると、
それの味じゃないと我慢できなくなるという、
以前に読んだ、フードトラップのようなところも示唆されていて、
これは万国共通の恐怖であるなと
改めて認識しつつ、あれこれ怖がると
本当に、何も食べられなくなるなとも
感じてしまうのでありました

まぁ、いまさらとも思うのだが、
子供の頃にあれだけ駄菓子を食べた身分で、
そんなの気にするなと
個人的には思ったりもするのであります

【読書】四つ話のクローバー

2016-02-05 23:11:35 | 読書感想文とか読み物レビウー
四つ話のクローバー  作:水野 敬也

童話のような内容の物語というか、短編でありました
だいぶ力を抜いて読める、というか、
力の入れどころがわからないという
なんともいえない虚脱感というか、脱力感を味わいつつ
なんだかいい話のような気分に浸れる
すぐれものでありますところ

設定とかなんとか、
そういうことは、まるで些細なことだと気づかされるというか
まぁ、実にテケトーな、そもそも、その設定にする必要ななんだと、
首を傾げたくなるような、不可思議なそれこれながら、
編まれる話は、ちょっといい話みたいな具合でありまして、
道徳めいた内容なんだけども、いやみじゃなく、
なんだろう、笑いながら、そういうことを考えてみようと
そんな感じで読むものだなと
改めて思い知る次第でありました

哲学めいたところでもないながらも、
幸せとは何かということに果敢に挑んだというか、
えらい極端な幸せ人を連れてきて、それを戦わせてみて
最終的に、なんだろう、飲み屋で意気投合したみたいな
そういう雰囲気で終わるという
まぁ、考えるのもあほらしいと思わなくもないような
とんでもないそれこれだったり、
凄い人が、そもそも、人ではないというか、
その割りに実在の、お前だったのかという驚きというか
これまた、しょーもないところが凝ってたりしつつ
なんだろう、あきれながらも、ついつい読まされてしまう
なんともいえない味わいがあるのでありました

楽しめたのでよいのですが、
心に残ったかといわれると、
なんか違う気がせんでもない
でも、いい話だったと、記憶してメモっておくのであります

【読書】家族シアター

2016-02-04 21:08:47 | 読書感想文とか読み物レビウー
家族シアター  作:辻村 深月

家族にまつわる短編集でした
ほんわか読める、読後感爽やかな一冊であります

毒のない、ステキなそれこれでありまして
家族の形を、姉妹や、親子、祖父母と孫など、
関係性というか、連帯から描いていまして、
学校生活で発生する問題なんかを
親や、兄弟や、おじいちゃんがうまく解決してくれるみたいな
そういう話が、たくさんでありました
いい話だと、清清しく読み終えたのであります

おおよそは、ありそうな問題であり、
その解決は、ちょっとうまくいきすぎじゃないかしら
なんて思わなくもないのですけども、
それはもう、そういう舞台装置で、意味はあまりなく、
家族が、それぞれ家族なりに思うことを
気づいたり、気遣ったりするという
まぁともあれ、とても綺麗なお話だったというほかなく、
なんだろう、どう感想を書いたらいいんだ
うまく言い表せないというか、
ただただ、心穏やかになるばかりだったのでありました

これがと思ったのは、大学の先生が父親で主人公という短編で、
この世界と隔絶して、それに迎合しようとしない
というか、だから、あんたそうなんだよと
いいたくなるような、実によいキャラクタで、
なんとも親近感がわきながら
それでいて、なんかいい話で終わったという
奇跡的な一編だと絶賛してしまうのでありました
これ、いいなぁなんて
読み終えて思わず呟いたのである

そんなこんなで、大した感想をかけていないわけですが、
よい小説だったのは間違いないとメモっておくのであります
ただ、どうも、薄味すぎるというか
楽しんだんだけど、私が感想文にしづらいと
そんなふうに感じたのでありました

【読書】得手に帆あげて―本田宗一郎の人生哲学

2016-02-02 21:10:28 | 読書感想文とか読み物レビウー
得手に帆あげて―本田宗一郎の人生哲学  著:本田 宗一郎

たまには真面目な一等本を読もうと手にしました
前々からうわさ話のようにして、あれやこれやと
逸話を聞いていたものの、実際の話といいますか、
本で読むのは初めてで、なかなかどきどきしながら読んだのですが
非常に面白いというか、刺激を受ける一冊でありました

かつて、これを標榜された下に居た気がする

そんな印象を受けたのであります
私が、すでに40手前というところ、
そういう人物が小学生とか、中学生くらいのときに、
ここに書かれている生き方が激賞されていたような
そんな思いというか、感想を抱いたのであります
古いといいたいのではない、
ただ、ここで強烈にいけないと、これを刊行当時に本田さんがいきまいて、
本当にそうしようとした教育というか、旗振りを
私は受けていたんでなかろうかしら、
そして、それが今、開けてこうなのはどうかしら

なんて、あれこれ、思い至ったのでありましたところ
なんだろう、面白い本だし、これだと思わせるパワーは
間違いなく受け取れるのでありますけども、
私がこれと似たような話を薫陶され、
あれこれとしてきたり、そもそも、その薫陶のなかにあったのは、
なんか、違うような気がすると、
本物とそうでないもの、そして、手本があっても、
その通りにならぬのかしらと、なんか
哲学めいたことまで思い至ったりしたのでありました
ほぼ、思い出話でありますな、しかも、私の

というわけで、内容についてですけども
氏の生き様というか、子供のころ、戦後期、
それぞれの思い、そしてずっと同じように一生懸命というか、
ただただ、そればかりであったという、
この強い想いがあってこその成功だったのだと
感動したのであります、これは本当に、
やっぱり偉大な人なのだと思うのであります

根性論と、切って捨てられるそれのようにも思うんだけども、
それとは何かが違う、やっぱり、根っこの根性が
そもそも違っているんじゃないかしら、
これを今風には天才と呼ぶか、才能と呼ぶかと
そういうことのようにも思いつつ、
誰にでも、よいところがあり、それを伸ばすという教えは
確かに尊いし、この通りなんだけども、
それが今、なぜ自由主義という名前のわがままばかりになったのか
そのあたりに何かがあるんじゃないかしらと
そうも思わされたのであります
これは、この本当を捕まえられない後世のわれわれが
まず、よろしくなかろうね

と、そんな反省をしたりしつつ
それとは別に、純粋に凄いということを楽しめる
歴史的な人物の自伝でありました

【読書】棺に跨がる

2016-02-01 21:21:58 | 読書感想文とか読み物レビウー
棺に跨がる  作:西村 賢太

久しぶりに氏の小説を読みました
ちょっと前に刊行されている分ではありますが、
私、このシリーズで、いわゆる秋恵ものというジャンルのそれ
初めて読んだのでありました

内容は、いつものとおりうらぶれているわけですが、
毛色が違うというか、なんだろう、新鮮だと思ったのは
この同棲相手である秋恵がいるところで、
ゲス野郎である貫太の視点から、身近な女性というものを
ありあり描いているというのが、なんというか
凄く面白くて、
実に、勝手なものいいと、都合のよい解釈と甘えが
存分に描かれていて、大満足でありました
なんだろうな、やっぱりどこか、
貫太に共感を催してしまうのである
だから結婚できないのか

とはいえ、ちょっと度が過ぎる暴力から始まり、
その関係がはらはらと砕けていく様を描いているので、
ぜんぜん読み心地がよいわけもないのですけども、
なぜだか、陰惨な気持ちになるではなく、
ただただ、手前勝手な男の抗弁と、情けない様を見るという
そういう読書だったわけですが、
それでいながら、女性を観察する弁が、
これまた、独特というか、言いえぬ魅力がありまして、
この、身勝手に母性というか、神性を高めていくような言い訳が
素晴らしくよろしく、まさに、
この崇めるという行為が、相手をくさするではないが、
より身勝手さが募るという具合の
掛け違いが、なんというか、もう、他人とは思えなくて
のめりこんでしまうのでありました

そんなわけで、話の筋はとてもわかりやすく、
苦闘というか、無駄なあがきを続ける男を見ているだけと
そんな具合だったわけですが、
それはおいといて、没後弟子騒動のほうは、
ちょっと本当にどうかするほど凄いなと、
やっぱりここに感動というか、感心してしまうのでありました
というか、この生き方もひとつ
羨ましいではないが、憧れるような魅力があるのです
ひとつ、何かを成そうと願い、
それに邁進し、本当にわき目も振らないというのは、
なかなかできることじゃないと、
たった一つ、一本あるだけで、憎めないような気になってしまうのが
このシリーズというか、氏の小説の魅力だなと
改めて堪能して思い知ったのでありましたとさ

こんだけ褒めてるけど、本当、合わない人には
まったく面白くない本だろうなとも思うのであります