京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

 輝く

2010年01月29日 | 日々の暮らしの中で
      

雪が家の中に降りかかってくるのでさえ「春の隣の近ければ…花は散りける」と。なんと風流な、と驚かされる。

あの冷たく厳しい空気がさすように頬に触れて、心がしゃんと引き締まるのを覚えた正月の朝もすっかり遠のいた。まさに「一月は去ぬ」の言葉そのものだが、この間際、少ししがみついてでも食い止めたくもなる。

琵琶湖湖岸道路を走った。道路わきの気温表示も、往きは8度で帰りは13度。
対岸には、尾根にわずかに雪を残した比良山系の山並みが望める。裸で寒風に耐えてきた湖岸に続く枝筋が美しい冬木にも、力のみなぎりが感じられる。お~~、湖面のこの輝きよ~。

陽光が 天、地・人の上すべてに渡って広く満ちている・・・
まさにまさに、その感じ!

梅の花が待ち遠しい今頃、春の気配を表す季語のひとつとしての「春隣」。家と家が並ぶように、すぐ隣まで春が来ているという。

さんざん春を待ち望みながら、迎えた春も心せわしく惜しんでは夏を迎えるのも例年のこと。
春を越えて心そわそわ夏を迎える覚悟を受け入れながら、身はひとっ飛びで真夏の炎天下にさらされることになる。いつもながらに、風流なんて感じるゆとりもないわが身…。

妙なる香り、月光にも勝るとその清らかさを讃えられる水仙の花。シャワーボトルの花よりもずっとずっと好ましく思うのは、日本人たるところかな。
“春は隣”の輝きを目に、胸に焼き付けて…。
 
コメント (6)
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