京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

 魂送り

2010年08月16日 | 日々の暮らしの中で
                 

八月十六の日の夕。幼い頃から最も親しんだ「妙」の文字。まだまだ家も少なく、伯母の家の玄関先に座って眺めることができたものだった。その伯母も亡くなり3年、跡地は未だ買い手が着かぬまま…、時だけは流れる。

昨年もここへ来て送り火を眺めた。東の方向を見返れば「大」、正面に「妙」・西に目を転じて「舟形」を望み、更にその向こう金閣寺の裏山の斜面に沿い字形は捉えられないのだが、2画目の払いが長い「左大文字」が目に入る。嵯峨野の「鳥居形」はそのまたはるか向こう、とても見ることはできない。

    

「妙」の文字は一気に、見事一瞬にして浮かび上がった。燃え盛る火床の炎の揺らめきが見え、白い煙が辺りを包む。歓声に拍手・拍手!!の丘の上は、涼しい風が吹き渡る。

盂蘭盆会の魂送りの行事だ。お迎えした祖霊・おしょらいさんに感謝しながら再びあの世へとお帰りいただく、「魂送り」。
「お送りする」わけだけれど、なにやらみ魂の意思さえ感じられそうな、本当にあざやかな燃え上がりぶりに感じていた。この世に思いを残しながら帰る霊も中にはあることだろうか…。「おばあちゃんバイバイ」そんな声がしていたが、送り、送られる日が来るんだろうなあ。(いや、まだ、すこしばかり早い!)

八百万の御霊が別れを告げた。風に吹かれながら腰をおろし見つめていた。
こうして今年の夏も終わった、という。
さて、明日から秋風、が立つのかなあ~。だったらいいのに…。

コメント (6)
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