「門涼み」なる語を目にした朝だった。
昼から一寝入りしたご近所さんたちが一人二人とやってきては本堂にあがる階段に腰を下ろし、夕飯前のひとときを涼んで帰っていく。
畑帰りの人もいて、取り立ての野菜のお裾分けにあずかった。「実はさっきもいただいて…」、などとは言わない。
寺の境内は人が出会い、話し、結びつく場となっている。
このところの暑さは人を家に籠らせる。
日中のバカみたいな暑さは、午後4時を回っても熱気がたまり、砂利の照り返しもきつい。
ほんのひと昔前、こんなんじゃなかった。薬缶に冷えたお茶と湯飲みを用意して、町内の出来事はくまなく耳に入るような場でもあったのに。
ー 暑かった一日の夕刻、ほっとするひとときが浮かんでくるのだった。
点訳グルーㇷ゚の会合に参加した。
今村翔吾ファンだという方から『火喰鳥(ひくいどり) 羽州ぼろ蔦組』の点訳依頼があったという。してみたいと思ったが、これまで時代小説だけは点訳したことがなかった。
点訳者が説明を加える必要のある語句など多そうに思うが…。本文の流れを中断することになるので、あっても簡潔に、最小限にとどめなくてはならない。一人では無理だ。相談する相手が欲しい、2人、3人ぐらいでならやってみたい。点訳しながら読めるという思いがちらつく。
一石二鳥? いや、二兎を追うものの惨めさだけは避けたい。思い切って受けることにした。
始める前には共通に抑えておくべき諸々があるが、この3人の組は心安い仲なので、安心して学ばせてもらおう。
私のこの夏の初挑戦。
Lukas、うまく着地!
(葉の繁りの陰に、茶色く色づいたたくさんのオニグルミがのぞけた)