京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

 耳のつけどころ

2009年07月25日 | 日々の暮らしの中で
  「空に真赤な」
   空に真赤な雲のいろ。
  玻璃(はり)に真赤な酒のいろ。
  なんでこの身が悲しかろ。
  空に真赤な雲のいろ。

明治41年ごろ、隅田川をセーヌ川に見立てて芸術談議が盛り上がる、そんな文学青年たちの粋な酒があったのか…と思いきや!!この詩はラッパ節。ただの酔っ払い節だった。
北原白秋23歳のころ、高村光太郎・木下杢太郎・吉井勇らと起こした「パンの会」の愛唱歌だったのだそうだ。なんだ~。
当時の文壇を支配していた自然主義に対抗するように、耽美派文学の一つの先駆となった会である。

今日は隅田川の花火大会だった…。

本日、北原白秋の人と作品というテーマでの『文学の課外授業』に参加した。

『桐の花』に収められている隣家の人妻との事件(起訴された)にまつわる歌。
    監獄(ひとや)いでぬ走れ人力車よ走れ街に
        まんまろなお月さまがあがる

    監獄(ひとや)いでてじっと顫(ふる)へて噛(か)む林檎
        林檎さくさく身に染みわたる

今日、強烈な印象を残してくれたもの。
   「曼珠沙華」
GONSHAN(ゴンシャン). GONSHAN. 何処へゆく
赤い、御墓の曼珠沙華(ひがんばな)、
曼珠沙華(ひがんばな)、
けふも手折(たお)りに来たわいな。
……(後略)

GONSHANとは「おじょうさん」の意。こんな言葉で始まる詩。不思議な世界に誘い込む曲調に驚かされたが、賽の河原の石積みのイメージかといわれるから…。
独唱での実演付き講座、この歌が聞けたことで本日大満足。
感じられる罪の意識はなぜかということでちらりと私見? でも、なんかよくわからない。

あれほど童謡の名作を発表した北原白秋の人生と作品。
私に残ったことは、ああ、こんなこと~。

    (原田泰治氏描く♪からたちの花。 カラタチの生け垣)
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11 コメント

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目ではなく、耳の…… (yattaro-)
2009-07-26 10:02:45
目の付け所……何度も聞いてきた言葉。
今回は、耳の付け所…。さすがkeiさんらしいな…と思いながら読みました。 

「あれほど童謡の名作を発表した北原白秋の人生と作品」 
ウーン!確かに作品は素晴らしい数々の実績ですが、「人生」となると、作品の素晴らしさと必ずしも合致しない部分はあるのかも知れません。
いや、むしろあるだろう…あるんじゃないかな…あって当然だよな~ なんて変なところで同情の共感を求めたりして……。

芸術家って、恋も多く、世間の間隔とは少しずれた世界が似合っていたり…。よく分かりませんが複雑ですね。
返信する
芸術術家って・・、yattaro-さん (kei)
2009-07-26 11:46:59
宇野千代さんもそうなのでしょうか・・

恋も貧しさの中での努力も…そうしたものが美しい詩や童謡に変わる不思議、芸術の不思議さ?何でしょうか。変えられるからいいですね。
カラタチの木の傍に泣きに行ったようです。

チラリと、笑いで隠すように?私見のご披露。白秋の文学論みたいで専門的なことは分かりませんです。
ただ、自分の先輩や関係者も会場に見えていたようで、素人相手の入門では済まないのでしょう。

声楽科出のプロによるピア伴奏つきでの童謡独唱。お見事な10曲が、嬉しかったです。
年輩の方が多いのに驚きます。雨の中たくさんの人でした。

ちょっと不消化、がすっきりしません・・
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実はそうなんです。 (yattaro-)
2009-07-26 17:28:43
まさに宇野千代さん、恋多き女性でした。
故郷の文豪…という意味で、いい言葉を使えば、「天真爛漫・恋の遍歴思いのまま」でしょうか。

だから…というわけでもないのでしょうが、地元の小中学校などでも、宇野千代さんを取り上げにくい側面はあるようです。
大人の中にも「ふしだら…」などのレッテルを剥がそうとしな女性も結構おられるようです。

「チラリと、笑いで隠すように?私見のご披露。」お見通しですね。ウッフフ…でしょうか。(笑)
消化不良…いけませんよ。残しては体調不良を招きます。早めに後処分を…。(笑)
返信する
北原白秋 (rabbit125cc)
2009-07-26 20:28:57
波乱万丈の人生もでしょうが、彼は時代にも翻弄された作家という印象が強いです。
外来語を好み、新しいモノに挑戦する姿勢に好感すら感じます。
さて、彼の行動は?
相手の夫はろくでなしだったとか、既に別居中だったとか、金目当てだったとか、その後うまくいかなかったとか・・・何を言っても後の祭り。
落ちるところまで落ち、でもそれがその後の作風に影響も・・・。難しいですね。

彼が受けたバッシング。
一夫多妻と一夫一婦制の割合は、文化人類学上では8対2。
世界には約300の文化があり、私達が道徳的ではないとする事が、世界の20%なのだという事に脅かされる。
日本でもつい100年も遡れば、状況は変わってくるし、人が人を測るモノサシが如何にいい加減で曖昧なものかが解る。

私の受けてるバッシングも、同じようなものなのかもしれない。
測るモノサシが無い以上、いいたい奴には言わせておいて、彼のように最後まで向き合います^^

PS:彼がどん底にいるときに支えた仲間の話にも
  何が大事なのか考えさせられます^^
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そうなんですが・・・、yattaro-さん (kei)
2009-07-26 22:20:22
宇野千代さんのことは、何ともいいにくいです…
間接的にしか読んでいませんし…。(宇野さんと交流のあった人の回想文やちょっとした解説文ぐらいです)

極めて感覚的ですが、近づいてみようという気にはなりません。ふしだらという言葉より、拒否反応が先に立ちます。同性だからかな? だから読んでみようという気にならないのでしょうか。

そのうち風向きが変わるかもしれません。

返信する
パッシング? rabbit125ccさん (kei)
2009-07-26 23:05:14
「外来語を好み新しいモノに挑戦する姿勢・・」

快活な叔父が彼を催眠術の実験台の相手にしていたとか。叔父を通してアラビアンナイトや賛美歌に触れたこの頃が、「邪宗門」などに続いていくエキゾチシズムや南蛮趣味的な方向の芽生えだったのでしょうか。
(詳しくは知りません)

「8対2」「100年も遡れば」…

一つの物差しでは測れないものがありますね。
人それぞれにいろいろな価値判断・基準があっていいと思います。
時には、一つの物差しで見るから人を見下してみたり、迎合しつまらぬ差別をしてみたり…さまざまな問題も出てくるように感じます。

同時に、一定のルールがなければならない部分はあるわけですから、
時代の中に生きていて、彼は姦通「罪」に触れたとなるのは当ー然です。詩人だからといって常人がすることを逸すれば…、という考えは正当。
この判断をパッシングとは感じませんが・・・
おかしい?

そんなに頑張るところじゃないのですが、罪は罪、支える人は人でまた別の次元の話ではないの?などと。

主義主張、信念は固有のものですから、
「私の受けているパッシングも」などとおっしゃらず、広~い視野で向き合ってください。

難しいお話でした~~
それにしましても何でもよくご存じですね。
返信する
そんな^^; (rabbit125cc)
2009-07-27 00:39:51
存じていると言うほどではないのですのですが^^;
この時代の空気が好きで、ずいぶん以前引き込まれた時期があるのは事実です。

世の中にはどうしようも無い、そういうモノサシも現実にあるように、私は感じています。
たとえそれが間違っていると、すべての人々が判っていても、現実に声を上げない。
そしてその間違ったモノサシで測られなければならない状況は、まるで『はだかの王様』のように思えるのは私一人ではないような気がしています・・・。

要するに、どの位置からの視点か?という事なのでしょう。
私はひねくれ者で、人が選ばない方を好む傾向が強いようです^^;(よく先生から叱られたのもそのせいでした)
そのせいで、人の気分を害することも多いようです。

確かに、ルールはルールですね。
でも、彼が受けた社会的制裁は、その当時の一般の人とそれとは、大きく違っていたのも事実でしょう。

私も細心の注意をし、ルールを一つも破らない様に、気を付けて生きているつもりですが、私自身の過去と、現実の今、私がさらされている暴力と、何故か知らないけど毎回毎回私の敵側に組する県○と、それに恐れて見て見ぬ振りを決め込んでいるマスコミに、頭にきているのも事実です・・・。
すいません^^;八つ当たりとも取られかねない事も承知で、反論?議論?抗論?耕論しちゃいました。

作者の心情に視点が近すぎましたね^^;反省
返信する
「耕」すことにします (kei)
2009-07-27 12:00:54
「間違ったモノサシで測らなければならない状況」のような状況があることもわかる気はします。
視点の違いはあっても、共有できる部分もあるでしょうね?

気分は害していませんので、「反省」などとは不要ですよ。
単純な私の思考法とは別に、rabbit125ccさんのおっしゃることも考えてみます。

返信する
私も耕します^^ (rabbit125cc)
2009-07-27 12:47:50
反省ではなく、更に読み込み耕してみます。
keiさんと、いつかお会いした時に耕論出来るように、深く耕しておきますね^^
返信する
文学 (Rei)
2009-07-27 17:17:24
keiさん含め、コメントお寄せの皆さんは文学の精通者ばかりですね、
文学に携わり特別に研究なさっておられる方々でしょうか? いつも拝見はしているのですが・・
コメントは「後退り」です。

昔々、亡夫と柳川で記念館初め白秋のいろいろを訪ねたこと思い出しました。

雷が鳴り始めました、
すみません! ただそれだけのコメントです。
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