京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

つまずきも縁のうちと

2024年10月23日 | 日々の暮らしの中で
何かに導かれるように巡り合わせていく運の良さ〉などと自ら綴っていた昨年の8月。
上野英信の名を刻んだ月だった。

氏は京大中退の学歴を隠して1964年、親子3人(子息の朱氏は小学校2年生)で筑豊の炭田の一隅、福岡県鞍手に移り住み、炭鉱労働者として働く。
記録文学として『追われゆく抗夫たち』が残された。


ここに至るまでには、『花をたてまつる』『豆腐屋の四季』『読書の森に寝転んで』などの作品に導かれる出会いを重ねた。
40歳まで生きられない境涯でありながら石見銀山で懸命に生きる者たちを描いた『輝山』(澤田瞳子)を読んでいたことも、自分を突き動かすことになっただろうか。
出会いの芽はそこかしこに潜在していたのだ。

先月の下旬ころ、京を拠点とする劇団「二人だけの劇場スザンヌ」の公演案内を見た。
筑豊の炭坑で働いた女抗夫たち「火を産んだ母たち」が一人芝居で上演され、そして筑豊から来演する劇団「やしゃぶし」が、閉山に追い込まれてゆく時代を男性側から描く、現代狂言「穴」を披露するという。
狂言は上野英信の『追われゆく』をもとにユーモラスに仕立てられているというし、「火を産んだ」の原作者井出川康子さん(91)がトークセッションに招かれているというではないの。

見逃す手はないと思った。10月13日正午の上演時間を希望して…。
が、声をかけた演劇好きの友人の予定が定まらず…、つきあってしまった。
遅かりし! 満席だという。立ち見も身動きしにくい状況になるという。定員オーバー、残念だった。 
逃がした魚は大きいぞ。決断力、行動力が落ちたんじゃない!? かなり悔やむことになった。


つい先日20日の日曜日。夜9時からテレビ番組〈海に眠るダイヤモンド「1955年の長崎端島と現代の東京を舞台に描く70年の愛の物語」〉を見た。
海のダイヤモンドに、軍艦島。
海の底のそのまた地底におりて石炭を掘り出す抗夫たち。時代が交錯してややこしややこしのドラマ展開も、いくらかつかめて…。
世界文化遺産に登録されているという軍艦島の姿を知ることもできるか。

今度は忘れず見てみよっと。

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5 コメント

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軍艦島 (JFK-World)
2024-10-24 06:30:23
京の辻から ・・・
そのタイトルにふさわしいおもしろい視点のお話、いつも楽しみにしています。

2020年10月28日から11月7日まで、軍艦島の紹介をしています。
よかったら覗いてみてください。
返信する
ご紹介うれしく~ JFK-Wordさん (kei)
2024-10-24 10:37:03
海のダイヤモンド、軍艦島(端島)にひかれて見たドラマでしたが、何も知らないことに気づきました。
ほんのちょっとの好奇心が新たな出会いにつながるようです。

今こうして軍艦島のご案内をいただいて、またわくわく!
ゆっくり拝見させていただきます。ありがとうございます。
返信する
お詫びを JFK-Worldさん (kei)
2024-10-24 10:42:21
JFK-Worldさん
お名前のつづりをミスってしまいごめんなさい。
失礼しました。
返信する
海底鉱山 (りりん)
2024-10-24 13:07:45
こんにちは。

私も今回のブログ記事で書いていましたが
以前読んだ石見銀山舞台の小説「しろがねの葉」がとてもよかったです。
そう、日曜劇場「海に眠るダイヤモンド」
毎週観たい番組になりました。(^^♪
返信する
海のダイヤモンド  りりんさん (kei)
2024-10-24 15:22:59
こんにちは。
話題が重なりましたね。りりんさんもご覧になっていたとは。
つい見るのを忘れてしまうことが多くて、
メモでも貼っておかなくっちゃと思ったりしています(笑)

こにさんのところで、りりんさんも「しろがねの葉」を読まれてること知りました。
ときどき“ブ”で本の値が下がっていることを確かめているのですが、
「輝山」を読んでいるのでいいかな?と今はスルーしています。

だれっ!?と思ったら宮本信子さんでした。
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