瀬古俊彦プロジェクトリーダーは明るく、快活に札幌で実施されるオリンピックマラソン、競歩の期待を語った。本来はSTVホールで直接お聴きする予定だったのだが、それが叶わず本日から配信されたオンラインで瀬古氏の話を聴いた。
本来ならば5月15日(土)にSTVホールでリアル開催の予定だった「読売新聞 東京2020オリンピック マラソン・競歩競技 記念シンポジウム」であるが、コロナ禍により急遽直接の受講が中止されてしまった。しかし、シンポジウムそのものは無観客で行われ、その様子が本日よりオンラインで配信されたので、早速視聴することにした。
シンポジウムは、第1部 瀬古俊彦氏のトークショー、第2部 瀬古氏を含む3名の登壇者によるシンポジウムの二部構成だった。ここでは主として第1部を中心にしてレポすることにする。
第1部はSTVの大家彩香アナウンサーが瀬古俊彦氏に問いかける形での「マラソン、競歩の見どころ、勝負どころ」と題するトークショーだった。
マラソンのレジェンド瀬古俊彦氏の現在の肩書は「日本陸上競技連盟強化委員会 マラソン強化戦略プロジェクトリーダー」という長い名前の肩書である。瀬古氏というと現役時代にはオリンピックこそ運がなかったが、マラソン選手としての強さは伝説的な人である。その瀬古氏は近年のマラソン大会には必ず顔を出し、テレビ中継のマラソン競技では、必ずと言って良いほど競技開始前と終了後にコメントを求められ、明るくポジティブにコメントをする方として知られている。
その瀬古氏は今回の東京五輪の開催が微妙な時期とあって、開催云々に関しては慎重な発言だったが、オリンピックを目指す選手たちの強化リーダーとして、あるいはオリンピック経験者として、「ぜひともオリンピックを開催し、選手たちに活躍してほしい」という思いをにじませた。
その瀬古氏が、札幌でマラソン、競歩の競技が開催されたら、という前提で表記テーマについて語った。まず、札幌のコースの特徴として次の二つを挙げた。一つは「平坦なコース」、そしてもう一つは「周回コースであり、カーブが多いコース」であるとした。これらのことに加え、札幌の気象条件も加味して「スピードレースになるだろう」と予想し、さらには「後半になってスピードが上がり、スピード勝負の展開になるだろう」とした。
そして日本選手にとって味方になるのは、たとえ札幌での開催だとしても選手にとって「敵は暑さ」であるとし、そこにこそ日本選手のつけ入る隙があるのではないかと期待を示した。
競歩については、瀬古氏は専門外ではあるが、メダルの可能性としては競歩の方が大きな可能性を秘めていると語った。そして日程的にマラソンの前に実施されるので、ぜひメダルを獲得してマラソンへ勢いをつけてほしいと期待した。
トークショーの中で瀬古氏は「スポーツは心のワクチンである」という印象的な言葉を口にした。確かに一流の選手の優れた技量を観る、自国選手を応援する、ということはストレスの発散にも繋がり、免疫力のアップにも繋がることかもしれない。ただ、“みんなで” ということが今は憚られる状況にある。そこが悩ましいところでもある。
第2部は、瀬古氏に加え、冬季リレハンメル五輪複合団体金メダリスト阿部雅司氏、現役の女子スキー複合選手の中村安寿選手(東海大札幌)を加えてのシンポジウムが行われたが、こちらについて省略する。
さて、記念シンポジウムが開催されてから約1カ月(25日)が経過しているが、東京オリンピック開催云々に関する問題はますます混迷を深めている現況である。テレビのワイドショーは連日のようにこの話題を取り上げている。最終的に誰が、どのような判断をするのか、予断を許さぬ状況であるが、私が見るところ多くの方々の意見は「無観客での開催」に傾いているように思える。さて、最終的にはどこに落ち着くのだろうか???