留学生たちは言いました。国と国との交流が大切だというが、その基本は互いに住んでいる人々が仲良く交流することが基本ではないかと…。正論だなぁ、とフォーラムを聞きながら深く頷いていた私でした。
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昨夜(2月14日、金)かでる2・7においてNPO法人「日本自治ACADEMY」が主催する「アジアと北海道のつきあい方 Part14」が開催され、初めて参加してみました。
「日本自治ACADEMY」というNPOを初めて耳にしましたが、調べてみると、その趣旨には次のように謳われていました。
「地方自治制度やその運営に関してアジアを含む世界の自治体などとの交流及び学術的研究を通じ、今後の自治のあり方や国際化の方策を探り、地方自治の発展に寄与することを目的としています」
と大変高邁な理想を掲げています。NPOとしての活動の歴史は古くフォーラムも今回で14回目ということでした。
フォーラムの構成は、
◆講演「台湾と北海道の交流について」
台北駐日経済文化代表処 札幌分処 課長 鐘宣鍾(ショウギソウ)氏
◆パネルディスカッション「アジアの留学生と語る」
◇北海道大学工学院 修士1年(カンボジア) CHHIM EAVLY(チュムイヴリ)さん
◇北海道大学文学院 修士1年(台湾) 簗宣亭(リヤーンシュエンティーン)さん
◇北海道大学法学研究科 修士1年(台湾) 朱紘宇(ジュウホンユー)さん
※ 台湾のお二人の漢字は略字です。
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※ 講演をする台北駐日経済文化代表処札幌分処課長の鐘宣鍾氏です。
鐘宣鍾氏の所属する台北駐日経済文化代表処は、中華民国(台湾)の日本における 外交の窓口機関ということで、民間の機構ではありますが、実質的には大使館や領事館の役割を果たしているところだそうです。
実質的に台湾政府を代表するような立場ですから、台湾と中国が非常に微妙な情勢となっている今、慎重な表現をされているのが印象的でした。
そうした中、北海道が中高生を対象として台湾との交流に積極的に取り組んでいる市町村が増えてきていることに感謝する旨の発言がありました。また、道内自治体の中で24の自治体が「日台親善協会」を設立していることについても感謝の言葉を述べられました。
鐘宣鍾氏はこうした動きがますます盛んになることを期待していると話され講演を締め括りました。
続いて「アジアの留学生と語る」と題するパネルディスカッションでしたが、こちらは若者らしく率直な発言が目立ち、興味深く3人のお話を聴くことができました。
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※ パネルディスカッションに登壇した3人の留学生です。
まず、それぞれの日本に、そして北海道大学に留学した理由について、チュムさんは小さなころから日本に憧れていて、技術レベルの高い日本、しかもレベルの高い北大で学びたかったと語りました。
リヤーンさんは、母国で先住民族について学び、日本の先住民族の実態を学ぶには北大が最適とのことで北大に留学したと語りました。
ジュウさんは、やはり母国でロースクールに通い法学を学んでいたが台湾の労働法が日本と似ていることから、日本で学びたいとの思いが募り、台湾の指導者が北大との繋がりが強いことから北大を推薦されたので北大に留学したということでした。
続いて三人に日本の印象について司会者が訪ねると、口々に日本の街並みがきれいだということ、またゴミが落ちていないことにも驚いていました。さらには街中の交通において “人優先” が徹底しているとも語っていました。また、治安が良いことにも言及している方がいました。
反対に困っていることでは、交通費が高い、とか手続きなど際に行政機関などが言葉の不自由な外国人に対してもう少し親切に接してほしいといったことを口にもされました。
三人はいずれも現在修士1年で、残り一年で終業ということになりますが、三人とも将来に対する考え方はしっかりしていて、日本の企業でさらに技術習得に励み、その技術を母国のために役立ちたいとか、母国に帰り研究の道を継続して先住民族の交流を目指したいとか、大学に残り教員の道を目ざしたい、など将来の目標をしっかりと定めているようでした。
そして最後に司会者が「日本とアジアの国々との交流を促進するためには?」との問いに対して、観光を手段として一人一人が発信することが大切ではないか。自国の文化と相手国の文化の違い・魅力を友人・知人に積極的にお勧めする。お互いに身近な文化を交流することが大切ではないか。といったことが述べられました。
さすがにそこは現代の若者です。SNS時代の到来を実感しているからこそ出てくる言葉でしょう。
最後に司会者がショッキングな数字を述べました。それは日本人の旅券(パスポート)取得者の割合が外国諸国と比較したとき、その割合が半数以下だそうです。
若者だけではなく、私たちも外国に関心を抱くことが大切なのかもしれません。
オーバーツーリズムに眉をひそめるばかりでなく、私たち自身が外国へ出かけ、外国の方々との交流を図ることが互いをより良く理解することに繋がるということのようなのですが…。