アイヌ新法(アイヌ民族支援法)が施行され5年が経過しましたが、アイヌ民族の方々の現況はどうなのか?そしてアイヌ自身の考え方は変わったのか?アイヌの方々の生活を追ったドキュメンタリーです。

一昨日(2月6日)、シアターキノで公開されている「AINU PURI」を観賞しました。
シゲ(天内重樹)は、アイヌ民族の末裔で、北海道白糠町に住み、奥さんと二人の子どもを育てる父親です。
日常は漁船に乗って魚を獲る漁業従事者で、現代人として日々を過ごしています。
しかし、シゲはアイヌ民族の末裔として祖先から続くマレブ漁(サケを鉤で引っかけて獲る方法)でサケを獲り、シカを捕獲して、アイヌ民族の誇りを忘れぬように努めます。
シゲの母親は、自分の若かった頃に和人から虐げられたことを語りながら、今はそうしたことがなくなったことを笑いながら話します。
シゲの息子の基樹は、友だちからアイヌ民族であることを羨ましがられたとシゲに報告します。
ここまで書いてくると、何も問題がないように見えます。
しかし、シゲはマレブ漁をするために役所に届け出て許可を獲り、駐在所にも届け出なければならないことに不満を抱いています。
さらには、自らが漁業者として大量のサケなどの魚類を漁獲することに対して、アイヌ民族の祖先が必要最低限の生き物を捕獲し、それを無駄なく利用し尽くす文化を継承してきたことに対する自己矛盾も抱えています。(シゲは、生きるためには仕方がないと独白していますが…)

シゲは、息子の基樹にマレブ漁を伝えたり、シカ猟に連れ出したりしてアイヌ文化を伝えようとしています。
また、白糠町の他のアイヌ民族の方々と、アイヌの催事などの伝統文化を伝える努力も欠かしません。
はたしてそうした風習や文化が、基樹の世代にも、そして後世にも確実に引き継がれていくのか…。
映画はただ、ただシゲなどアイヌの人たちの生活を淡々と写しだすだけで、何かを主張するとか、訴えるようなことは一切していません。
そこは観る者が感じ取れと言わんばかりに…。
そこで最後は私なりの独断と偏見を…。
確かにアイヌ新法の施行や、人気漫画「ゴールデンカムイ」の影響などもあり、アイヌに対する関心が高まり、過去のような差別は影を潜めたようです。
難しい問題は私には分かりません。ただ、願わくばアイヌ民族の方々が民族の誇りを抱きながら、日本国民の一人として和して生きていくことを願うばかりです。
※ なお「AINU PURI」とは、「アイヌ式」という意味です。