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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

Rapidusは日本の、そして北海道の救世主たり得るのか?

2025-02-05 20:18:05 | 講演・講義・フォーラム等
 千歳市に工場を建設中のRapidus(ラピダス)が、いよいよ今年4月から試作ラインを稼働させるという。北海道の、そして日本中の期待を担う半導体メーカーRapidusは果たして思惑通りの成果を挙げえるメーカーとなり得るのか、関係者のお話を聴いた。
      

 昨日(2月4日)午後、共済ホールにおいて北海道が主催する「次世代半導体とほっかいどうの未来 in 札幌」というセミナーに参加しました。
 実は昨年も同じころに私は同様のセミナーに参加し、レポしています。(よければ拙ブログの昨年2月13日、14日の拙ブログを参照ください) その中で私は素人ながらにRapidasの未来にやや懐疑的な見方をしています。

 さて、今回のセミナーのラインナップは次のとおりでした。
 セミナーでは4つの講演があったのですが、その前に北海道経済部産業政策局の次世代半導体戦略室長が「北海道半導体・デジタル関連産業ビジョンと道の取組」と題する報告がありました。
 続いて次の4本の講演がありました。

 ◆講演Ⅰ 「日本の半導体政策について」 
          経済産業省 商務情報政策局 情報産業課長 青山大介氏
 ◆講演Ⅱ 「次世代半導体を北海道から世界へ」
          Rapidas株式会社 代表取締役社長 小池淳義氏
 ◆講演Ⅲ 「半導体と私たちのくらし」
    北海道大学量子集積エレクトロニクス研究センター教授 葛西誠也氏
 ◆講演Ⅳ 「半導体の今と北海道への期待」
                日本経済新聞 編集委員 太田泰彦氏

 実はこの4人の方のうち、青山氏を除いて3人の方は昨年も講演された方でした。ということは内容的に昨年とそう変わった内容ではなかったということも言うことができます。
 事実、登壇者のお話の大半は、Rapidasが思惑通りに2027年からの2nm(ナノ)半導体の量産化に成功し、日本が再び半導体大国として台頭し、北海道は「北海道デジタルパーク」として発展するという構想を語ってくれました。
   
※ 建設中のRapidus千歳工場の完成予想図です。

 しかし、現実はどうなのでしょうか?
 経産省の青山課長は、かつて半導体大国だった我が国が衰退していったのは、成功に胡坐をかき、アメリカとの対応に失敗し、しかも国としての継続性に欠けていたと振り返りました。
 私は門外漢ですから専門的なこと、難しいことは分かりません。ただ、現実に立ち返ってみると、現在の我が国の半導体産業は、台湾、韓国、アメリカなどからは大きく立ち遅れている現状です。そうした中、2nm(ナノ)半導体というのは、まだ世界のどの国も実現できていないものですが、各国もその実現のために凌ぎを削っているのが現況です。その中でRapidasが世界に先駆けて開発できる ことが約束されているわけではありません。
 熾烈な競争は莫大に資金も必要とするようです。国ではすでに9200億円もの投資をしていると言われます。はたして先の失敗のように継続性に問題はないのでしょうか?
 不安な点はまだ考えられますが、ここでは敢えて触れないでおきましょう。

 明るい話題がないわけではありません。本日の新聞によると、北洋銀行が50億円の出資を決めたとのニュースが流れました。また、また国も今年度中にさらに1,000億円の出資をするということですし、国内の大手企業も出資の意向を示していると伝えられているということは、先行きに見通しが出てきた証かもしれません。

 私などには縁のない遠い世界のお話ですが、Rapidasが立地する同じ北海道民として、なんとか小池社長が夢みる「北海道デジタルパーク」構想が実現されることを願って止まないのですが…。

   
   ※ 社名の前のマークは富士山をイメージしているそうです。

 なおRapidasという会社名は、ラテン語で「速い」、「迅速」という意味があり、「どこよりも早く作る」という意味を込めて小池社長が命名したそうです。