昨年3月に続い2度目の「ハルニレ」の舞台でした。その時と比較して、演者の演技も、舞台進行も進化していたように感じました。しかし、大変な費用と時間を要して準備した舞台の観客のあまりにも少ないのが気になりました。

一昨日(3月15日)夜、札幌市公文書館での講座に続いて、宮の沢ちえりあホールで開催された北大ミュージカル「ハルニレ」のステージの「夜の部」を観賞に出かけました。
今回の舞台は「LIFE-Size」(等身大の)という題名で、「‟自分らしさ”ってなんだ?」というテーマのもと「私たちハルニレの‟等身大”の物語」であるとプログラムでは謳っていました。
つまり、彼らが次の舞台を創っていくうえで、自分たち自体を投影させた等身大の物語を舞台に反映させたいという思いそのものを舞台化させたものだということでした。いかにも学生らしいテーマの据え方かな、と思い好感が持てました。
各人が一人ひとり‟自分らしさ”って何なのか、改めて自分を見つめ直していく姿が描かれ、そこに歌やダンスが挿入されていくというステージでした。
自分を素直に見つめ直す…、そして皆の前でそれを告白する。そのことで自分自身に対して新たな発見があったり、友人の良さを発見するきっかけともなっていったようです。

脚本を担当した山下さんは言います。「背伸びしない、地に足のついた作品をつくりたかったから」と…。その趣旨は生かされた舞台になったと思います。
問題は、そのストーリーをいかにミュージカルとして昇華させていくかということだと思います。全体のストーリー、舞台設定、音楽、照明、etc.…。
結論的に云うと、各人が告白する‟自分らしさ”が私にはいま一つ伝わってこなかったところはありましたが、ミュージカル全体としてみると、適度に歌やダンスが挿入され、全体での歌唱、群舞などにも見るべきものがあったように思いました。また、舞台を照らす照明も効果的に使われ、前回気になったマイクのスイッチングもタイミングよく、演者もそれを支えるスタッフの方々も進歩した跡が伺えた舞台だったと思いました。
ミュージカルとして観た時、惜しむらくは個々人の歌唱力に課題が残ったかなぁ、という思いです。歌唱力というのは一朝一夕に向上するものではないかもしれませんが、私はアンケートに、「ぜひ専門家のレッスンを受けるべきでは?」と記したのでした。

しかし、ミュージカルというのは昨年も記しましたが、音楽(歌)あり、劇(セリフ)あり、ダンスあり、その上「ハルニレ」の場合は脚本も自前、演出も仲間内、そして舞台製作、音響・照明、その他諸々を全て自前でやり遂げるのだから、壮大な総合芸術です。
大変な時間と労力を費やして実現した舞台だと思われます。そのことだけでも素晴らしい挑戦だと思います。それを無料で公開しているのです。
それなのに、ちえりあホールを埋めた観客は多めに見ても半数に満たなかったでしょう。努力の割にはあまりにも寂しすぎると思いました。
そのことも私はアンケートに記させてもらいました。「観客を呼ぶ努力もしてほしい」と…。
いつか「ハルニレ」の舞台が客席いっぱいの観客で満たされた中で歓声を浴びることを願っています。
※ ステージはもちろん写真撮影NGでした。そこでウェブページから雰囲気が伝わる2枚を拝借しました。