アーバンベアとは、都市など住宅地に近づき過ぎたヒグマたちのことを指すそうである。住宅地に近づき過ぎたヒグマの被害に遭わないために、近年のヒグマの生態について専門家からお話を聴いた。
昨日4月3日(日)午後、エルプラザにおいて「北海道自然観察協議会」が主催するヒグマに関する講演会に参加した。講演はNPO法人もりねっと北海道の代表であり、ヒグマの会の副会長でもある山本牧氏が講師を務め、「今どきのヒグマ事情~アーバンベアの背景と対策~」と題してお話された。
※ 講演をしていただいたNPOもりねっと北海道代表の山本牧氏です。
先日の三角山でのヒグマ騒動が象徴的であるが、昨年は東区の市街地に姿を現し人々を襲い駆除されたが、近年は札幌市周辺、特に南区、西区の住宅地と近接した山間部でのヒグマ出現のニュースが後を絶たない状況である。このことはヒグマの生息数が平成2(1990)年に春グマ駆除を廃止する以前の北海道内に約6,000頭が生息していたと推定されるが、春グマ駆除を廃止したことによって現在では生息数が約10,000頭にまで回復していることが原因の一つとなっていると山本氏は指摘した。
※ 以下、2枚の写真は山本氏のスライドを写させていただきました。
そのうえで、私が山本氏のお話で印象に残った言葉は「ヒグマは非常の学習能力が高い」という言葉だった。その学習能力の高さがヒグマを住宅地に近づかせてもいると言う。つまりヒグマを容易に駆除できなくなった、また駆除するハンターが減少したことにより「現代に生きるヒグマはヒトに対しての恐怖心を持たなくなった」ことが市街地周辺に出没するヒグマの増加を招いているという。
さらにはヒグマが畑の作物の味を知ってしまったことがあるという。講演ではデントコーンの耕作地の広がりがヒグマを招いているとも語られたが、デントコーンだけではなく人間が栽培する畑作物が簡単に手に入り、しかも栄養豊富であることをヒグマたちが学習してしまったことが挙げられるという。
※ 牧草地(緑色)とデントコーン畑(黄色)の作付面積の変遷です。デントコーンの美味しさを知ったヒグマは背丈の高いデントコーン畑で身を隠してデントコーンを食い漁るそうです。
するとその対策は?生物多様性が叫ばれる現代において、以前のように駆除という手段は取りにくい。今取られている対策は、電気柵で畑を囲うこと、あるいはヒグマの通り道になりそうなところの下草狩りをすることでヒグマが近づきにくい環境を作ることだと言われている。
しかし、ヒグマに恐怖を覚える私などから言わせると何だか「隔靴掻痒」的な対策のように映ってしまう。「ヒトは怖いもの」ということを学習能力の高いヒグマに覚えさせることが対策の第一ではないのだろうか?それはもっともっとヒトがヒグマの被害に遭わなければ議論の対象にならないということなのだろうか?
このような現状の中、私たちがヒグマから身を守るためには①音を出す、②複数人で行動する、③周囲の様子に気を配る、ということを山本氏は強調された。
私はこれまで登山やハイキングなどは、そのほとんどが単独行動だった。この日のお話を伺い、そうした行動はあまりにも危険だということを悟らされた。体力の衰えもあり登山などは控えようと思っていたが、今後もし登山をする場合は募集登山などに限定して楽しみたいと考えている。