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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

民話の里・遠野市と賢治ふるさと花巻市を巡る

2024-11-06 17:57:11 | 講演・講義・フォーラム等
 幽玄の郷を思わせる遠野盆地、そして宮沢賢治一色に塗りつぶされたかのような花巻市を巡った。それは文学に疎い私にとって遠い世界でもあったが、異郷に足を踏み入れ私なりに感ずるところもあった。

 11月2日(土)は、JRの「いわてホリデーパス」を利用して、盛岡近郊(でもないかな?)の遠野市と花巻市を訪れた。
 まずは、柳田國男の「遠野物語」で有名になった遠野市を目ざした。盛岡市からは乗り継ぎも含めて約2時間15分かかった。(実際の乗車時間は1時間40分だったのだが)遠野市での滞在時間はわずか2時間である。あいにくの雨のためレンタサイクルが使えなかったので、遠野市内の中心部を徒歩で巡るのが精一杯だった。

    
    ※ JR「遠野駅」です。

 私は観光案内書で入手したマップをもとに、駅前から真っすぐ南に伸びる道路を「遠野市博物館」を目ざした。その道路の沿道には「民話の里遠野」らしく、遠野物語に関連したものだけではなく、世界の民話や童話の主人公の像(ex.桃太郎、雪女、あかずきん、など)があちらこちらに立てられていた。特に記憶に残ったのはやはり遠野駅で最初に登場した「遠野物語」に登場するカッパたち(4人?4匹?)が池の周りで相談している像だった。

    
   ※ 遠野駅前に造られた池には遠野物語に登場するカッパたちが像が立っていました。
    
    ※ この像は「雪女」の像です。
    
    ※ こちらも遠野物語に登場する「獅子踊り」の像です。    
    
    ※ 通りには立像だけでなく、路上にはデザインされた陶板も敷設されていました。写真は「ザシキワラシ」の一場面を具象化したものです。

 「遠野市博物館」では、遠野物語の一節が水木しげるさんの作画で動画化されているフィルムを興味深く拝見した。しかし、滞在時間2時間では遠野の魅力のほんのさわりに触れただけということかもしれない。 

    
    ※ 遠野市博物館のエントランスです。
    
    ※ 博物館内で上映されていた水木しげるさん原画のカッパです。
    
    ※ 博物館内に展示されていた「ザシキワラシ」を具象化した像です。

 そのことより、花巻市から遠野市の向かう列車が東北の山奥深く踏み入っていく時間が私には印象深かった。ちょうど小雨が降っていたこともあり、山々には雲がかかり、その中から鬼やカッパなど人々に言い伝えられている生き物が今にも出てくるのではないか?といった雰囲気を醸し出し、まさに「幽玄の郷」といった趣きだった。

    
  ※ 遠野に向かう列車の中から撮った一枚です。いかにも幽玄の郷に向かう雰囲気です。

 続いて遠野市から折り返し、「宮沢賢治童話村」が近い「新花巻駅」で下車し、徒歩で童話村に向かった。花巻市観光は宮沢賢治一色といった感じで「宮沢賢治童話村」を始め、「宮沢賢治記念館」、「宮沢賢治イーハトーブ館」、「早池峰と賢治の展示館」、「宮沢賢治生家」、「賢治の広場」等々、宮沢賢治関連の施設や史跡に溢れている。その中でも「宮沢賢治童話村」が最も彼の世界を知ることができるのではとチョイスしたのである。さらには童話村の横に「花巻市博物館」が立地していたのも、その理由の一つである。
    
    ※ 宮沢賢治童話村のエントランスとなっていた「銀河ステーション」です。
    
    ※ 賢治作品の「やまなし」の一節を表現した石碑です。
    
    ※ 童話の村の中心施設である「賢治の学校」の外観です。
    
    ※ 「セロ弾きのゴーシュ」の作品を具象化した人形たちです。
    
    ※ こちらは「注文の多い料理店」のはじまりを具象化した作品です。
    
    ※ 「賢治の広場」に建っていた野外ステージです。
    
※童話村の小高いところには5棟の「賢治の教室」が並んでいました。(写真はウェブ上から)

 「宮沢賢治童話村」は新花巻駅から1.3キロ、雨の中を一人歩いて向かった。メインの施設「賢治の学校」を中心に、「銀河ステーション」、「天空の広場」、「賢治の教室」(5棟)、「妖精の小径」、「山野草園」などの施設が散在しているいわば野外公演のような施設だった。メイン施設の「賢治の学校」は、賢治の作品をイメージした内装が各所に施され、賢治ファンにとっては、「あゝ、あの場面だ。この場面はあそこに書かれていたところだ!」感激するのだろうが、賢治作品に疎い私にはファンタージーな空間という感想しかもてなかったのは残念である。いずれにしても、「宮沢賢治童話村」は、宮沢作品を具現化した施設として人気を博している施設のようである。
 続いて私は、隣の「花巻市博物館」を訪れた。こちらは極端なほど宮沢賢治についての展示はなかったようだ。博物館ではちょうど花巻市近辺の縄文時代の発掘展が開催されていたが、私が昨年訪れた北東北の縄文遺跡群と遜色のない出土品が展示されていた。私はそこで窓口の係員に「これほど素晴らしい出土品があるのに、どうして世界遺産に登録された北海道・北東北縄文遺跡群の構成遺産に含まれなかったのでしょうか?」と尋ねたのだが、係員から要領を得た答えを得ることができなかった。そこで私は花巻市が北東北地方とはやや距離が離れていることがその理由かな?と自分を納得させた。

    
               ※ 花巻市博物館の外観です。
    
    ※ 花巻市近くの古墳からも遮光器土偶が発掘されていたようです。

 二つの観光地とも、私が訪れることができたのはほんの僅かな一部に過ぎない。移動手段が列車と徒歩に限られたのでは致し方ないことである。しかし、そのことが訪れた施設や史跡をより深く味わえた(本当かな?)ことも事実であると思い自分を納得させた。