ドキュメンタリー映像を視るのが好きである。「事実は小説より奇なり」とは、誰が言った言葉だったか?単純な発想ではあるが、創った映像より、事実を写し取った映像の方が私には数倍の面白さを感ずるのだ…。
9月10日(土)、札幌市教育文化会館において日本映画テレビ技術協会北海道支部という長い名前の会が「キタ・ドキュメント」なる上映会を開催した。上映会のスケジュールは10時20分から18時30分まであったのだが、私は昨日レポした「オータムコンサート」のために中抜けした以外は札幌市教育文化会館の4回講堂にくぎ付けになってドキュメンタリー・フィルムを見続けた。
私が視聴したドキュメンタリー・フィルムを羅列してみると…
◆HBC制作 「ネアンデルタール人は核の夢を見るか~高レベル放射性廃棄物の行方」(49分)
◆TVh制作 「青春サラブレッド~北の大地 馬にかけた彼女たちの挑戦」(54分)
◆HTB制作 「テレメンタリー2021 ポネオハウ~アイヌの私~」(55分)
◆特別上映 「札幌 国際短編映画祭セレクション」② (20分)
◆奨励部門 「海の魅力を伝えたい」《NHK》 (2分)
◆ディリーニュース部門 「マグロのナブラ」《NHK》 (1分30秒)
◆企画・短編部門 「ウイッグで笑顔を」《NHK》 (6分30秒)
◆学生部門 「牛小屋の笑顔」《北広島高校》 (6分)
◆STV政制作 「どさんこドキュメント となりのヒグマ~なぜ札幌に現れたのか~」
(30分)
◆UHB制作 「核と風~分断される町~」(54分)
プログラムの中の最初のHBC制作の映像と、最後のUHB制作の映像が両者ともに寿都町の町長が突如、高レベル放射性廃棄物(いわゆる核のゴミ)の調査地に立候補した問題を取り上げた映像だった。これは主催者の意図的な配列だったと思われるが、寿都町だけの問題ではなく広域に関わる問題だけに、多くの放送媒体が取り上げたものとみられる。
両局の映像は共に寿都町の住民たちが困惑する表情をレポートしているが、それでは「どうすべきだ」という主張は薄いように思われた。公共の電波に乗せるのだから賛否両論に配慮しなければならないことは分かるが、問題に対してもう少し深堀してほしかったという思いが残った。
私の中で印象的だったのはTVh制作の「青春サラブレッド~北の大地 馬にかけた彼女たちの挑戦」と、HTB制作の「テレメンタリー2021 ポネオハウ~アイヌの私~」の二つの映像だった。
前者は静内農業高校の女子高生が馬術部に青春をかける姿を追ったものだが、彼女たちの純粋な馬にかける思いが伝わってくる佳作だった。
後者はいわゆる人種差別問題を扱ったものである。人間の中に宿痾のように棲みつく人種差別を被害者の側から追った映像は、メディアとしては常に注意深く観察を続け、絶えずこの問題を発信していく必要性を感じさせてくれた。
その他の映像も一つ一つが私たちに現実を突きつけたり、時代の今を写し出す映像ばかりで非常に興味深かった。
来年度もまた開催する、と主催者は予告したがスケジュールさえ合えば来年度も参加したイベントである。