圧倒的な音量、そして声量豊かな鈴木聖美の歌声、札幌文化芸術劇場hitaruの空間は耳をつんざくような大音量に包まれる中でJimmy All Starsの音を堪能した。ただ、最近こうしたコンサートから遠ざかっていたお爺にとってはどこかに違和感を持ちながらの2時間でもあった…。
9月9日(月)夜、hitaruにおいてJimmy All StarsのPremium LIVE 2024に参加した。
そもそも私はこのLIVEに参加する予定などなかった。ところが!前日8日に「ギター音楽祭」に参加した際に、コンサートなどで良く顔を合わせる方と出会った。私はその方の名前も知らないのだが、顔を合わせれば挨拶するくらいの間柄だった。その方が私の席まで来て「お聴きになる音楽のジャンルにこだわりはありますか?」、「9日夜に何か予定はありますか?」と問うてきた。私は音楽のジャンルに特別こだわりはない。さらに9日夜の予定もなかった。すると「Jimmy All Stars Premium LIVE 2024」のチケットを「どうぞ使ってください」と差し出されたのだ。チケットの価格を見ると5,000円という価格に驚いて強く辞退したのだが「都合が悪くなったのでどうぞ使ってください」と強く勧められたので、いただくことにしてLIVEに参加したというわけである。
Jimmy All Starsは、名ギタリストであった故ジミー東原氏がジャズミュージシャンたちに声掛けして、その都度集まり活動するというグループで、その後ジミー東原氏が亡くなった後もジミー東原氏の遺志を継いで活動を続けているグループである。その特徴は管楽器の実力者が揃っているということである。構成はトランペット3名、アルトサックス2名、トロンボーン、テナーサックス、バリトンサックス、各1名の8名の管楽器陣と、ピアノ、ギター、ベースギター、ドラムの全12名のバンドである。
この日はその他にCrystal Snow Special Stringsという弦楽器陣8名がゲストとして加わった豪華演奏陣だった。
LIVEは最初からノリノリでスタートした。「我が心のジョージア(Georgia on My Mind)」、「A列車で行こう(Take the “A” train)」とまずは耳馴染みの曲から始まった。その後からは司会の元STVアナの喜瀬ひろし氏が一つ一つ曲名を紹介しながら進行したが、私が耳慣れない曲であったことで、曲名もはっきりと聴き取れなかったことで紹介は叶わない。
第1部の最後にはジミー東原氏の兄で、「株式会社 太陽グループ」の総帥・トランぺッターの東原俊郎氏が、太陽グループのCMのバックで流れるルイ・アームストロングの名曲「この素晴らしき世界(What a wonderful world)」をソロで披露した。
第一部では途中からJimmy All Starsの専属歌手的な川島沙耶さんがクラシック畑の美声を披露した。
第2部はゲスト主演で鈴木聖美が夫妻揃って(夫:ギタリスト)登場し、パワフルな歌声を響かせた。鈴木聖美は10数年前、毎年ばんけいスキー場で開催されていた「ばんけいミュージックフェスティバル」に毎回ゲスト出演していたが、久々の出演ということだった。帰宅して調べてみると彼女は御年72歳だそうだ。まったく年齢を感じさせないパワフルな歌声は驚くばかりだった。私にとっては彼女の歌う歌は全く未知の曲ばかりだったが、アンコールで披露した彼女の弟:鈴木雅之とデュエットでヒットした「ロンリー・チャップリン」が懐かしかった。
とそれなりに楽しんだJimmy All Stars Premium LIVE 2024だったが、一つだけどうも馴染めないことがあった。それは、管楽器の音は生で十分音量が十分だと思うのだが、彼らの場合は一つ一つの管楽器の前にマイクが用意されていたのだ。彼らにとってはそれが当たり前のことだと思われるのだが、私のように門外漢は「なぜ、そこまで?」という思いが拭えなかった。それはまるで音の洪水で聴いている私たちの感覚を狂わすかのようにさえ感じてしまった。そのことで、ゲスト主演した弦楽器陣の音はほとんど私の耳には届かなかったのだ。(彼らの方にマイクはなかった)
まあ、それがJimmy All Starsのコンセプトなのだとは思うが…。
最近は私から見ると無駄にこうした拡声装置を使用している団体と時に出会うことがあるが、私的には「生の音を聴きたい」というのが本音である。