札響のコンサートマスターの田島高宏氏をゲストコンサートマスターに迎え、札幌フィルのメンバーも相当に頑張ったようだ。特に交響組曲「シェヘラザード」は聴き応え十分の演奏だった。
一昨日の札響のコンサートに続いて、昨夜は「札幌フィルハーモニー管弦楽団」の定期演奏会が札幌コンサートホールKitaraで行われたのに参加した。
プログラムには札幌フィルの自己紹介が載っていたが、それによると札幌フィルは昭和46(1971)年に創立されたというから活動歴50年を超える札幌で最も歴史のあるアマチュアのオーケストラということだ。
しかし、195万都市のポテンシャルというのは凄いものだと思う。私が知っているだけでもプロフェッショナルの札響をはじめ、アマチュアのフルオーケストラを5つも有している上、吹奏楽団となると幾多の楽団が活動していることを考えると「凄いなぁ」と私などは思ってしまう。
さて、そのことは別として昨夜の札幌フィルの演奏会についてである。私の中では、前日に札響の演奏を聴いた後で、札幌フィルが演奏会を持つのは辛いものがあるなぁ、という思いがあった。そうした思いを抱いたまま、最初の曲E・フンパーディンクの歌劇「ヘンゼルとグレーテル」より前奏曲の出だしでホルンが奏でだしたときに、正直言って「あ~あ…」という思いを拭えなかった。「やっぱり管楽器は難しいのかなぁ」と…。楽器のことなど何一つ分からない私であるが、数多くさまざまな音楽を聴く中で多少は聴く耳が育ってきたのかなぁ、という思いがある。
曲の出だしにそうした思いを持ったものだから、前半の二つの曲にはどうしても入り込めなかった。
休憩を挟んで演奏時間45分という最後の大曲R・コルサコフの交響組曲「シェヘラザード」の演奏が始まった。この曲はゲストコンサートマスターの田島高宏氏がソロを取る場面が多かった。さすがに世界の舞台で活躍してきた田島氏の演奏は群を抜いていたように思われた。そのような田島氏をゲストに迎えたということで札幌フィルの楽団員たちにも期するものがあったようだ。おそらく相当の練習量もあったのだろう。明らかにそれまでの演奏とは一味も二味も違い、素晴らしい演奏が展開された。オーボエがソロを取った場面も田島氏に迫るような演奏だった。また、チェロの一人は難しいリズムを正確に刻んでいたように私には映った。曲の盛り上がりも十分で、それまでの札幌フィルの印象をガラッと変えてくれるような素晴らしい演奏だと思えた。
45分間の長丁場を演奏し終えた団員たちの表情には「やり切った!」という満足感に満ちていたように私には映った。
指揮を担当された高井明氏も満足された表情が万雷の拍手に応えていた。
プログラムの片隅には団員募集の告知が載せられていた。そこを拝見すると「大学オーケストラの経験があれば問題ない」と記されていた。それだけ見ても、札幌フィルのレベルの高さを窺い知ることができる。札幌フィルの今後ますますの活躍をお祈りしたい。