しかしどう考えても処方日数と来院サイクルがあわない。「あっ す すみません、そっ そうでしたね。毎月来られているし・・・」 あまりの毅然とした態度にこちらも怯んでしまいそう答えざるをえなかった。しかしその患者さんの診察終了後に外来の看護師に唐突に言われた。「あれ、先生知らなかったの? あの患者さん痴呆症(現:認知症)ですよ。 広い庭で毎日花に囲まれている話や、伊豆の別荘の話はみんな作り話ですよー」 えっ?そんな話、聞いてないよー。どうやら脳梗塞で入院中はかなりの神経症状はあったのだが外来通院中に徐々に軽快しつつ現在の状態にようやく落ち着いたようであった。だからこれでもかなり「いい状態になった」のだそうだ。この流れは外来では周知の事実のようだった。長年にわたり4人も医者がかわるとなかなか最初のニュアンスが伝わらない。まるで伝言ゲームで情報の正確性が徐々に減衰していくような感じである。あ~恥かいた(笑)。