認知症の症状は多彩である。この時初めて認知症の患者さんとじっくりと診療させていただいた。もっとも1年弱も認知症だと認識せずに外来診療していたのだが大きな事故もなくてよかった。認知症の特徴は「自分が物忘れしたことに気がついていないこと」である。例えば「約束の時間が何時だったか忘れていました」というのは約束した事実を覚えているので認知症ではない。ところが「時間の約束なんかしていませんよ」と約束した事実を忘れてしまうのが認知症である。つまり過去の行為や事実を忘れてしまうのが特徴なのである。したがって時にトラブルの原因となるようである。