その講演した先生は某病院の創傷センターの医師である。彼の話の内容は今まで自分が経験しおこなってきたこととまったく同じ話であったので、別段新しい知見というわけではなかった。しかしながらその先生も提示したのだが「○○整形外科学書ではこの部分の記載は1ページ、また△△整形外科マニュアルには半ページしか書いてありません。治療法は『保存的治療』のたった4文字しかありません」と嘆いていた。これにはおどろいた何十年もの間、治療法はまったく進歩していないのである。というかおそらく教科書を書いている専門医たる整形外科医には興味がないところなのであろう。その講演した先生も整形外科医ではなく一般外科医であった。整形外科や形成外科や皮膚科がボーダーラインの疾患として取り扱う可能性があるが、どこの科も触れたがらないところなのであろう。確かに極めて治りにくい病態なのである。