吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

教科書 その6

2011年10月22日 06時49分33秒 | インポート

 もしかしたら糖尿関連の合併症かも?と思い、その病院の屈強な理学療法士を頼み数人で押さえつけて採血した。もし何でもなかったら「あの医者の命令で私は無理やり押さえつけられて暴力を受けた」と後からいわれる危険性もあった。危ない橋である。ところが幸か不幸か結果は血糖値が30mg/dlと低血糖状態であった。あわてて唸って暴れている患者をまた皆で押さえつけてブドウ糖の注射をおこなった。3本目くらいになると患者は「は? えっ? ここはどこ? 僕は何をしていたんですか」と我に返りおとなしくなった。劇的だった。話によると持病の糖尿病の薬を飲んだはよいが急に配達の仕事が入り食事をとらなかったそうだ。こんな低血糖症状など教科書には書いていない。いつも思うが教科書というのは必ずしも経験豊かな人が書いているんじゃないんだなと感じている。