友人Mの話をする。彼とは10年くらい前にネットにおけるMartinの某サイトで知り合った。年代も近いし、やはり少年時代は自分と同じようにK楽器で、陳列ケースのMartinを指をくわえてみていた経験があったのである。彼と自分の決定的な違いは彼にはものすごく強いD-45の刷り込みがあったことである。彼はサイトではD-45への造詣の深さで有名だった。おそらくオタク度としては3本の指に入ったろう。「19〇〇年製のD-45は、糸巻きは〇〇製で、表板はジャーマン・スプルース、サイドとバックはハカランダであるが・・・」などとその仕様に関する知識の豊富さはショップの店員以上であった。ところが彼のいいところ?は鼻持ちならないただのスペック・オタクではなく、理路整然として説得力があり、何よりその薀蓄が楽しかったのである。何回か会って話もしたが、彼の薀蓄は自分の指向性と同方向であったので共感できる部分が多かったのである。