さて結局、新品でも中古でもよく鳴るものもあればダメなものもある。職人が一つ一つハンドメイドで作った古い時代のギターであっても必ずしもいいわけではない。だから手にとって自分で見て、弾いて調べる必要がある。そして店で気に入ったものがあった場合、それを一度逃がすと二度と出会えないのである。同じ年代に作られた同じ型番のものでもまったくの「別物」になのである。友人Mがその結論に到達するまでには何回もD-45を買い換えたそうである。「これでいい」と思っても、次にもっといい鳴りのものに出会うと欲しくなるのである。そうやって彼は随分散財したらしい。しかしながらついに彼は自分のオタク度の目にかなうだけの逸品に出会ったのである。1991年製のカスタムD-45でトップはジャーマン・スプルース(あとでMartin本社に彼が確認し判明したがイングルマン・スプルースだったそうだ)、サイド、バックは上質のハカランダであった。彼は糸巻きをグローバーに、そしてブリッジピンとブリッジは象牙に交換している。