患者は近隣ホテルの浴衣を着た宿泊客である。しかも大分酔っぱらっている。それで喧嘩になったりで来院するご本人はエキサイトしていることが多かった。診療するこちら側には何ら関係はないのに、診療中、患者は強い口調でこちらにもあたってくるのである。例えば、「転んでぶつけたのですか?」と聞くと、「転んだんじゃねーの、転ばされたのっ!!何回言わすんだ」と言った調子である。何もこちらは怒鳴られる筋合はない。ぐっとこらえながら「この傷は縫わないとダメですね。縫いましょう」というと、「はっ?縫う? オイちょっと待ってくれ、治療方針は俺に決めさせてくれ」と・・・。しばらく説明しても泥酔しているので居眠りをして聞いていない。起こして返事を聞いても「うるさいなぁ~もう少し考えさせてくれよー」と言いながら、居眠りをしてしまう。そうこうしているうちに待ち患者のカルテの山はどんどん高くなっていくのである。