子供の顔の切り傷は小さいものやまゆ毛の中のものでは、将来的にはほとんど目立たなくなることが多い。必ず「傷は多かれ少なかれ残りますよ。もし将来目立つようであればその時形成外科で修復することも可能ですから」と話すようにしているのだが、過剰に落胆する親御さんも多い。あまりにも毎日「先生、この子の顔の傷は残りますか? 目立ちますか?」と聞かれると、こちらも少々辟易してくる。気持ちはわかるが、数年後の創部瘢痕の程度など毎日同じように聞かれても答えられるはずがない。でも将来的にトラブルになるといけないのでその都度、説明する。 「将来的に傷が残るかどうかよりも、今、傷がくっつくかどうか、あるいは傷口が化膿してひらいてしまうかどうかのほうが先決です。まずは傷が治ることを心配しましょう。傷が残るかどうかはまず、ここのハードルを越えてからです」とお話しする。しかしここまで毎日話してもあまり効き目がないようである。 「傷は治って当たり前」と最初から思われている様子でありこちらとしては辛いのである。<o:p></o:p>