六月八日の入梅以来、ようやく梅雨らしい雨に見舞われた。
午前10:30ころから、有志十二名にて益城町砥川にある旧郷士・S家のお宅を拝見する。
幕末期の建築だろうと思われ、もともとは3間間口の建物であったらしいが、谷樋をとって同様3間間口の建物を増築、のちには六間間口を大屋根にされたらしい。いかにも庄屋クラスの農家を思わせる建物であるが、士分であれば三千石以上の家といった感じである。
古いお家柄らしくすぐ近所にはS家の氏神である砥川神社(旧・阿蘇十二宮神社)がある。こちらは台風で被害を受けたらしくお社が全面改築されていたが、確かな仕事の立派なお社である。境内には系図では伺えないという阿蘇家某氏の元亀時代の逆修碑が残されていた。(拓本で詳細を拝見)
お昼を済ませて益城町津守地区にある、徳富蘇峰・蘆花兄弟の生母等四姉妹の「四賢婦人記念館」を訪ねる。
四人の女性がこの地で生まれたので、其のかたがたを顕彰しているが、一族一党が明治の新時代にそれぞれ名を残した。
熊本市の東部にあるこの町は、一時期熊本市との合併問題でゆれたがこれを拒み、行政単位が小さいがゆえ郷土に対する思いも深く町の誇りとして顕彰し続けられていることを実感する。同町の郷土史家・松野国策先生の貴重な解説をいただきながら、三時間半ばかりの有意義な時間をすごした。