熊本市には「熊本城周辺地域における建築物等の高さに関する景観形成基準」なるものがある。
簡単に言えば熊本城の高さを越えてはいけないという郷土愛にあふれた規定である。大先生方が諮問されて決定に及んだ。
熊本城周辺地域における高さの基準
熊本城特別地区 海抜50mを超えないこと。
京町台地地区 海抜63mを超えないこと。
一般地区 海抜55mを超えないこと。
「熊本城周辺地域」というのがみそで、それを外れたらご自由にという訳だが、この基準を越えた建物は当然存在している。
NHKの局舎が千葉城跡から現在地に移ったおり、放送塔が基準を越えたらしいが特例を以てクリアしたということがあった。(建築基準法の工作物に該当する)
この「海抜」というのが面白いが、そもそもどこから来ている数字のか、これは熊本城天守周辺の標高でありほぼほぼ50mである。
2015年のYAHOOの質問箱に「熊本城の高さ」についてのクエッションがあった。
これに対する回答が以下のものだが、これがいまだに生きていて世間に流布している。
さてこの回答は正確なものなのだろうか?
回答 熊本城のある茶臼山は比高約38m。天守は天守台が平左衛門丸から八間なので約14.5m。天守建物の高さは十六間三尺五寸なので約32.58m。
単純計算では平左衛門丸からの天守(大天守)の高さは約47m、茶臼山を含めれば熊本城全体では85mです。
この回答者は随分とお詳しいようで天守の高さを尺貫法で示しておられる。
天守台の標高については、富田紘一先生の「熊本城・歴史と魅力」(p63)によると58.5mだとされ、これに天守の高さ32.6mを加えると91.1m程になると思われる。
これを正解としたいが如何だろうか?御城周辺部の標高は11~12m、つまり地上面からすると約80mばかりである。
甦った天守の最上階から望む山々や風景は、清正・忠廣そして細川忠利以下代々の藩主がながめた姿である。