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歴史は、その書名に

2024年12月06日 | 読書
 11月23日に行われた「野口芳宏先生 師道の碑」の除幕式と祝賀会への参加は叶わなかったが、賛同者として名を連ねたので実行委員会より当日発刊の著書が送られてきた。Re90『教師人生を楽しむ』(野口芳宏・編著 さくら社)。先生の自選論文集と、全国諸氏からの寄稿(野口語録、野口実践)で構成されている。



 自選論文にある随想、論考のどれもを記憶していると喜びながら、その教えがしっかり身についているかと言えば甚だ心許ない。浅学菲才はもちろんだが、コラムにある「素直さ」に欠けているのかもしれない。「秋田の子どもは素直だから学力が高いよ」…かつて師から掛けられた誉め言葉を複雑な気持ちで思い出す。


 見開きの形で紹介された「野口語録」と選んだ方の思いや解釈は、共感できることが多い。長い間に私も似たようなエピソードは限りなくある。身近に接した者であれば、先生の何気ない一挙手一投足に「あっ」と感ずる瞬間が必ずあるように思う。それは、講義や著書に向き合う時、見事に重なり蘇って心に残る。


 実践者、研究者のイチオシ「野口実践」も頷きながら読んだ。松澤正仁先生の記した「気持ちの良い敗北感」は、まさに私自身の出合いも象徴している。複数の方が書いた「幸福の条件」の道徳授業は、模擬授業はもちろん、自校で地域住民が参観するなか、飛び込み授業を行っていただいた思い出がいまだに印象深い。


 退職した翌年、研修会後の宴席スピーチで「野口先生と逢わなければ、こんなに楽しい教員人生は送れなかったと思う」と感謝を述べたら、先生が破顔一笑「嬉しいこと言ってくれるねえ、沼澤さん」と声をかけてくださった。似たような思いを持つ方はきっと数多い。だからこの書名は、多数の歴史の凝縮でもある。


1 コメント

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ありがとうございます! (横山験也)
2024-12-06 19:47:13
野口先生の新刊をご紹介くださり、感謝しています!!
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