Q 健康保険の被扶養者として認定されるための要件の一つに、年収が130
万円未満であることという収入要件があるが、この要件に変更があるのか。
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健康保険の被扶養者の認定について、収入要件の変更はありません。
なお、年収が130万円未満であっても、4分の3基準又は4要件を満たし
た場合は、厚生年金保険・健康保険の被保険者となります。
Q 短時間労働者の厚生年金保険・健康保険の適用については、所定内
賃金が月額8.8万円以上であるほかに、年収が106万円以上であるか
ないかも勘案するのか。
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所定内賃金が月額8.8万円以上であるかないかのみに基づき、要件を満たす
か否かを判定します(年収106万円以上というのはあくまで参考の値です。)。
Q 学生については、4分の3基準に該当していても、学生という理由のみ
をもって健康保険・厚生年金保険の被保険者とならないのか。
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学生であっても、適用事業所に使用され4分の3基準を満たす場合は、正社員
等と同様に一般被保険者として健康保険・厚生年金保険の被保険者となります。
Q 特定の月の所定労働時間に例外的な長短がある場合とはどのような場合
か。また、そのような場合は 1週間の所定労働時間をどのように算出すれば
よいか。
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夏季休暇等のため夏季の特定の月の所定労働時間が例外的に短く定められて
いる場合や、繁忙期間中の特定の月の所定労働時間が例外的に長く定められ
ている場合等は、当該特定の月以外の通常の月の所定労働時間を12分の52
で除して、1週間の所定労働時間を算出します。
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Q 所定労働時間が1年単位で定められている場合、1週間の所定労働時間
をどのように算出すればよいか。
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1年の所定労働時間を52で除して算出します。
Q 所定労働時間が1か月単位で定められている場合、1週間の所定労働時間
をどのように算出すればよいか。
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1か月の所定労働時間を12分の52で除して算出します(1年間を52週とし、
1か月を12分の52週とし、12分の52で除すことで1週間の所定労働時間
を算出する)。
Q 1週間の所定労働時間が短期的かつ周期的に変動する場合とはどのよう
な場合か。また、そのような場合は1週間の所定労働時間をどのように算出
すればよいか。
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4週5休制等のため、1週間の所定労働時間が短期的かつ周期的に変動し
一定ではない場合等は、当該周期における1週間の所定労働時間を平均し、
算出します。
Q 一度申出が受理されれば、社会保険に加入し続けることができるのか。
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その通りです。
ただしその後の事情変更により、厚生年金保険の被保険者及び70歳以上被
用者(以下「4分の3以上同意対象者」といいます。)の4分の3以上の同
意(※1)を得て、事業主が事務センター等に社会保険から脱退する旨の申出
を行い、受理された場合には、受理された日の翌日に、短時間労働者の方の
社会保険の資格が喪失することになります(※2)。
(※1)「4分の3以上同意対象者」の4分の3以上で組織する労働組合が
ある場合は、その労働組合の同意が必要になります。
労働組合がない場合は、
・「4分の3以上同意対象者」の4分の3以上を代表する者の同意
・「4分の3以上同意対象者」の4分の3以上の同意
のいずれかの同意が必要になります。
(※2)労使合意に基づき適用拡大の申出を行った事業所が、その後、特定
適用事業所(厚生年金保険の被保険者数が常時51人以上であること)
に該当した場合には、特定適用事業所でいる間は、労使合意によっ
て社会保険から脱退することはありません。
Q 労働者の同意や事業主の申出は企業単位と事業所単位のどちらで行う
のか。
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法人事業所であれば企業単位(法人単位)で、個人事業所であれば適用事
業所単位となります。
Q 同意対象者から選ばれる過半数代表者になるための要件はあるのか。
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以下の(1)・(2)のいずれにも該当することが必要です。
(1) 労働基準法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者で
ないこと
(2) 過半数代表者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手、
持ち回り決議等の方法により選出された者であること
※ 上記(1)は、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的
な立場にある方をいい、役職名だけでなく、その職務内容、責任と権限、
勤務様態等の実態によって判断してください。
※ 上記(1)に該当する者がいない場合は、過半数代表者は(2)に該当する
者とします。
なお、事業主は、過半数代表者であることや、過半数代表者になろう
としたこと等を理由として、労働者に対して不利益な取扱いをしないよ
うにしなければいけません。
Q 短時間労働者が1名でも社会保険の加入を希望した場合、合意に向けて
の労使の協議は必ず行う必要があるのか。
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<事業主側が希望を把握した場合>
事業主において、短時間労働者の方から、直接、相談を受ける等により、
短時間労働者の方が社会保険の加入を希望していることを把握した場合は、
労働組合や過半数代表者の方に対して、すみやかに情報提供を行い、改正法
の趣旨を踏まえ、社会保険の適用に向けて、労使の協議が適切に行われるた
めの環境の整備に努めるようにしてください。
<労働組合等が希望を把握した場合>
短時間労働者の方は、社会保険の加入を希望する場合に、労働組合や過半
数代表者の方などに、相談することが考えられます。
労働組合や過半数代表者の方などは、こうした短時間労働者の意向や改正
法の趣旨を踏まえた上で、社会保険の適用に向けて、労使の協議が適切に行
われるよう努めてください。
(参考)改正法の趣旨
働く方々の年金や医療の給付を充実させ、安心して就労できる基盤を整
備することは、雇用に伴う事業主の責務であるとともに、結果として働く
方々の健康の保持や労働生産性の増進につながりうるものであるため、社
会保険の加入は事業主の方にもメリットがあると考えられます。
さらに、短時間労働者への社会保険の適用が、企業の魅力を向上させ、
より長く働いてくれるような人材の確保に効果的と考えられます。
事業主の方におかれましては、こうした改正法の趣旨を踏まえ、短時間
労働者の方の社会保険の加入について、ご検討いただくようお願いします。
Q 事業主の合意は必要か。
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労使合意に基づく適用拡大は、労働者と事業主双方が了承の上で行われる
ものです。そのため、申出は、双方了承の上で、事業主の方から行ってい
ただく必要があります。
なお、法人の会社において、代表取締役など事業主である方が厚生年金保
険の被保険者である場合は、当該事業主の方は、事業主としての立場のほか、
厚生年金保険の被保険者として、労働者側の同意対象者にもなります。
Q 任意特定適用事業所の労使合意に必要となる「働いている方々の2分の
1以上の同意」とは具体的にどのようなものか。
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同意の対象となる「働いている方々(以下「同意対象者」という。)」は、
以下の方々となります。
・ 厚生年金保険の被保険者
・ 70歳以上被用者
・ 3要件を満たす短時間労働者
これらの方々の過半数で組織する労働組合がある場合は、その労働組合
の同意が必要になります。
また、同意対象者の過半数で組織する労働組合がない場合は、
・ 同意対象者の過半数を代表する者(以下「過半数代表者」という。)の
同意
・ 同意対象者の2分の1以上の同意
のいずれかが必要になります。
なお、週の所定労働時間が20時間未満の方など厚生年金保険の被保険者
となり得ない方は、今回の労使合意による適用拡大の同意対象者には含ま
れませんが、たとえば労働基準法第36条に基づく労使協定(36協定)など
では、同意対象者に含まれているなど、異なる点がありますので、ご注意
ください。
Q 被保険者の総数が常時50人を超えない企業で、適用拡大をすることは
可能か。
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50人以下の企業であっても、労使合意(働いている方々の2分の1以上と
事業主の方が厚生年金保険・健康保険に加入することについて合意するこ
と)がなされれば、事務センター等に申出を行っていただくことで「任意特
定適用事業所」となり、次の要件(以下「3要件」という。)を全て満たす
短時間労働者の方は、企業単位で厚生年金保険・健康保険に加入できます。
(1) 1週の所定労働時間が20時間以上であること。
(2) 所定内賃金が月額8.8万円以上であること。
(3) 学生でないこと。
Q 「常時50 人を超える」と見込んで特定適用事業所該当届を提出し適用さ
れた後、実際には常時50人を超えなかった場合は遡及取消となるのか。
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遡及取消にはなりません。また、特定適用事業所を不該当とする場合は、
通常の手続きと同様に労使の合意が必要となります。
Q 特定適用事業所不該当届は、50人を超えなくなったら直ちに提出可能な
のか。被保険者の4分の3以上の同意を得てとあるが、70歳以上の被用者
は含まれるのか。
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特定適用事業所不該当届は、厚生年金保険の被保険者の総数が50人以下と
なった日以後であれば、その総数が常時50人を超えなくなった時点で提出
可能となります(常時50人超の判断については問9参照。実際に50人以下
となった月が、直近1年のうち6ヶ月以上となることを待つ必要はありません)。
※問9は下記
https://blog.goo.ne.jp/sr-knet/e/5d4ecceca1daa6a6fbb9858799c39a77
なお、被保険者の不利益を生ずる手続きが事業主の一方的意思によって
行われることを防止するため、届出の提出時には労使の合意が必要となり
ます。
特定適用事業所の不該当の届出に必要な同意は、次のとおりです。
(1) 同意対象者(厚生年金保険の被保険者、70歳以上被用者(※)、短
時間労働者)の4分の3以上で組織する労働組合がある場合は、当
該労働組合の同意
(※)過去に厚生年金保険の加入期間を有する方であって、仮に70歳
未満であれば、厚生年金保険の被保険者要件(短時間労働者の被保
険者要件を含む。)を満たすような働き方をしている方に限ります。
(2) (1)に掲げる労働組合がない場合は、次のいずれか
・同意対象者の4分の3以上を代表する者の同意
・同意対象者の4分の3以上の同意