今回は、選択式問題のうち
厚生年金保険の問題をみてみましょう。
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平成16年の改正では、厚生年金保険の最終的な保険料水準を( A )%に
固定し、その範囲内で給付費を賄うことを基本に、給付水準を自動的に調整
する仕組み(マクロ経済スライド)を導入した。
この自動調整の仕組みは、現役世代の人数の減少分と( B )を、毎年度の
年金額の改定率から減じるものである。しかしながら、新しく年金を受給し
始める時点での標準的な年金額の厚生年金保険法の( C )から公租公課の額
を控除して得た額に対する比率(所得代替率)については、50%を上回る水準を
確保することとし、所得代替率が50%を下回ることが見込まれる場合には、調整
の終了後の措置を講じるとともに、( D )の在り方についての検討を行い、所要
の措置を講じることとした。
また、財政運営の方式としては、100年程度での間において給付と負担の均衡を
図り、財政均衡期間の最終年度における積立金水準を支払準備金程度(給付費の
約1年分程度)とする有限均衡方式を導入した。
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出るべくして出たという問題ですね。
平成16年の改正点ですね。
ただ、このような問題って、最近の傾向を考えると、社会保険に関する一般常識や
国民年金からの出題が多いので、厚生年金保険からの出題は、ちょっと意外でしたが。
( A )は厚生年金保険の最終的な保険料率です。
昨年も保険料率が出題されていますが、昨年はその年の率でしたね。
今年はさすがにそれはないですよね。
試験が終わってすぐに率が変わってしまうのですから。
その辺をわかっていて、
最終的な率をしっかり押さえていれば、まぁ、
とれるところですね。
( B )はマクロ経済スライドの仕組みさえわかっていれば、埋められる
でしょう。
本来は、保険料水準固定方式に下で年金額を改定するのですが、特例的に
調整率を用いた改定、つまり、調整期間中はマクロ経済スライドを行う
ことになっているわけでして・・・・・
社会全体の年金制度を支える力の変化(現役世代の減少
)と
平均余命の伸びに伴う給付費の増加というマクロでみた給付と負担の変動に応じて、給付水準
を自動的に調整する仕組み
がマクロ経済スライドですよね。
( C )は、一般的な新聞にも頻繁に取り上げられていた内容で、
所得代替率が
50%を下回らないようにしましょうという話の論点で、
現役サイドは男性の平均的な報酬を使い、年金は夫婦2人分の基礎年金と夫の
厚生年金を使うというものですよね。
なので、「
男子被保険者の平均標準報酬額」ですね。
全被保険者ではないですよ・・・・平均標準報酬月額でもないですからね。
( D )の「
給付と費用負担」、これは出題者が大好きな用語ですよね。
27号で
「社一」は「負担」という言葉が好きなのか「負担」(平成7年、9年)、
「保険料負担」(平成13年)、「国庫負担」(平成14年)というように、類似の
用語が出題されています」
なんてことを書いていたのですが・・・・
平成7年の問題は、「給付」と「負担」という文章で、どちらも空欄にしていた
というもので、平成9年の問題は給付と「負担」とあり、給付のほうは文章で
明らかにしています・・・なので、文章ではセット化しているものがけっこう
多いんですよね。
ただ、この問題の嫌らしいところは、2行下に「給付と負担」という言葉がある
んですよね。
もしかしたら、それで迷った方がいたかもしれませんね(?)。
( E )は有限均衡方式に関する出題ですね。
財政運営方式が永久均衡方式から有限均衡方式に変わったというのは、やはり、
16年改正の大きなポイントですからね。
およそ100年後に1年分残すなんて、誰が計算できるんだってほど複雑な計算を
するんでしょうが・・・・・そのようなシステムにするってことで。
有限均衡方式の考えがわかれば(数字を押さえておく必要はありますが)埋められる
のではないでしょうか。
それと、
Aは平成16年版厚生労働白書P212、Bは平成16年版厚生労働白書P214、
Eは平成16年版厚生労働白書P213に記載があるので、
改正点を押さえてなくても、白書を押さえていれば・・・白書というより、
厚生労働省や社会保険庁が出している情報を押さえていれば、最悪3点は
確保が可能では?
まぁ、数字の解答が2箇所あったので、ちゃんと覚えていなかったなんてことも
あるかもしれませんが、重要な箇所なので4点は取って欲しい問題ですね。
ちなみに、年金制度改革に関することを再確認したいのであれば、
社会保険庁の下記を参考にするとよいかもしれませんね。
その1
その2
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解答
A 18.3
B 平均余命の伸び
C 男子被保険者の平均標準報酬額
D 給付と費用負担
E 1