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令和6年-安衛法・問10-B「計画の届出」

2024-11-15 02:00:00 | 過去問データベース

 

今回は、令和6年-安衛法・問10-B「計画の届出」です。

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事業者は、建設業に属する事業の仕事のうち重大な労働災害を生ずるおそれが
ある特に大規模な仕事で、厚生労働省令で定めるものを開始しようとするとき
は、その計画を当該仕事の開始の日の30日前までに、厚生労働省令で定める
ところにより、都道府県労働局長に届け出なければならない。

☆☆======================================================☆☆

「計画の届出」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆======================================================☆☆

【 H7-9-E 】
事業者は、一定の動力プレスを設置しようとする場合には、その計画を設置
の30日前までに所轄都道府県労働局長に届け出なければならない。

【 H25-9-A 】
事業者は、労働安全衛生法第88条第2項の規定に基づき、建設業に属する
事業の仕事のうち重大な労働災害を生ずるおそれがある特に大規模な仕事で、
厚生労働省令で定めるものを開始しようとするときは、その計画を当該仕事
の開始の日の30日前までに厚生労働大臣に届け出なければならず、厚生労働
大臣は届出のあった当該仕事の計画のうち、高度の技術的検討を要するもの
について審査をし、審査の結果必要があると認めるときは、当該届出をした
事業者の意見をきいた上で、届出をした事業者に対し、労働災害の防止に関す
る事項について必要な勧告をすることができる。

【 H10-8-B[改題]】
建設業に属する事業の仕事のうち、高さが300メートル以上の塔の建設の
仕事を開始しようとする事業者は、その計画を当該仕事の開始の日の14日前
までに、厚生労働大臣に届け出なければならない。

【 H8-10-E 】
石綿が吹きつけられている耐火建築物又は準耐火建築物における石綿の除去
の作業を行う仕事を開始しようとするときは、その計画を当該仕事の開始の
日の30日前までに、所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。

【 H18-10-E 】
建設業に属する事業者は、石綿等が吹き付けられている耐火建築物又は準
耐火建築物における石綿等の除去の作業を行う仕事を開始しようとするとき
は、その計画を当該仕事の開始の日の30日前までに、所轄労働基準監督
署長に届け出なければならない。

【 H10-8-E[改題]】
厚生労働大臣は、届出のあった計画のうち、高度の技術的検討を要するもの
について、労働政策審議会の意見を聴いて審査を行い、審査の結果必要がある
と認めるときは、その届出をした事業者に対し、労働災害の防止に関する事項
について必要な勧告又は要請をすることができる。

☆☆======================================================☆☆

労働安全衛生法では、事業者に対し、一定の機械等の設置や一定の仕事の計画
等について届出を義務づけています。
で、この届出は
(1) 一定の機械等の設置等に係る計画の届出
(2) 大規模な建設業の仕事に係る計画の届出
(3) 一定の建設業等の仕事に係る計画の届出
の3つがあります。

【 H7-9-E 】は(1)の届出についてですが、届出先が誤っています。
「所轄都道府県労働局長」ではなく、「所轄労働基準監督署長」に届け出な
ければなりません。
3つの届出のうち、(2)は厚生労働大臣に、そのほかは所轄労働基準監督署長
に届け出なければなりません。「都道府県労働局長」に届け出るものはない
ので、この点、注意しておきましょう。

【 R6-10-B 】、【 H25-9-A 】、【 H10-8-B[改題]】の3問は、
(2)の届出についてです。
届出先について、【 R6-10-B 】は「都道府県労働局長」とあるので誤り
です。
他の2問はいずれも「厚生労働大臣」とあり、正しいのですが、届出期限に
ついて、「30日前までに」と「14日前までに」というように異なっています。
正しいのは、「30日前までに」です。
【 H10-8-B[改題]】は、誤りです。

【 H8-10-E 】と【 H18-10-E 】は、(3)の届出についてです。
で、いずれも届出期限が「30日前までに」としていますが、誤りです。
この届出は、「14日前までに」です。
3つの届出で、この(3)の届出だけが、「14日前まで」で、そのほかは「30日
前まで」です。この違いも、このように何度も論点にされているので、間違え
ないようにしないといけない箇所です。

ということで、3つの届出を区別できるようにしておきましょう。

それと、もう一つ、
【 H10-8-E[改題]】ですが、こちらは届出先や期限は論点ではありま
せん。
【 H25-9-A 】の後半部分も、そうです。
現状の規制を超えているような仕事が行われる場合、そのまま行わせてよい
のかどうか、しっかりとした確認をし、もし問題があるようであれば、対策
を採らなければなりません。ですので、厚生労働大臣は、届出のあった当該
仕事の計画のうち、高度の技術的検討を要するものについて審査をし、審査
の結果必要があると認めるときは、当該届出をした事業者の意見をきいた上
で、届出をした事業者に対し、労働災害の防止に関する事項について必要な
勧告をすることができるようにしています。
【 H25-9-A 】は、正しいです。
【 H10-8-E[改題]】では、審査に関して、「労働政策審議会の意見を
聴いて」とありますが、意見を聴くところが違います。意見を聴くのは、
「学識経験者」です。したがって、【 H10-8-E[改題]】は誤りです。

届出先や届出期限は、出題頻度が高いので、当然、押さえるでしょうが、
それしか見ていないと、このような問題が出たとき、対応することができ
ないなんてことにもなりかねません。
それを考えると、できれば、この点も押さえておくとよいでしょう。

 

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令和6年-安衛法・問9-A「長時間労働者に対する面接指導」

2024-11-08 02:00:00 | 過去問データベース

 

今回は、令和6年-安衛法・問9-A「長時間労働者に対する面接指導」です。

☆☆======================================================☆☆

労働安全衛生法第66条の8第1項において、事業者が医師による面接指導を
行わなければならないとされている労働者の要件は、休憩時間を除き1週間
当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が一月当たり
80時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる者(所定事由に該当する労働者
であって面接指導を受ける必要がないと医師が認めたものを除く。)である。

☆☆======================================================☆☆

「長時間労働者に対する面接指導」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆======================================================☆☆

【 R2-8-A 】
事業者は、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合に
おけるその超えた時間が1月当たり60時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認め
られる労働者から申出があった場合は、面接指導を行わなければならない。

【 H25-8-A[改題]】
事業者は、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合に
おけるその超えた時間が1月当たり80時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認め
られる労働者であって、法定の除外事由に該当しないものに対し、労働安全
衛生規則で定めるところにより、医師による面接指導を行わなければならない。

【 H21-9-A[改題]】
事業者は、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合に
おけるその超えた時間が1月当たり80時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認め
られる労働者に対しては、本人の申出の有無にかかわらず、面接指導を実施し
なければならない。

【 H18-選択[改題]】
労働安全衛生法第66条の8の規定に基づき、事業者は、休憩時間を除き
1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が
1か月当たり80時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる労働者に対し、
当該労働者の申出により、医師による面接指導(問診その他の方法により
心身の状況を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行うことを
いう。)を行わなければならない。また、労働安全衛生規則第52条の3第
4項においては、産業医は、当該労働者に対して、当該申出を行うよう
( E )することができる旨規定されている。

【 H19-10-A 】
労働安全衛生法第66条の8第1項に規定するいわゆる長時間労働者に対する
面接指導に関し、産業医は、所定の要件に該当する労働者に対して、面接指導
の申出を行うよう勧奨することができる。

☆☆======================================================☆☆

「長時間労働者に対する面接指導」に関する問題です。

【 R6-9-A 】から【 H21-9-A[改題]】までの4問は、長時間
労働者に対する面接指導の実施に関する問題で、対象となる労働者の要件を
論点にしています。
この要件の1つに「休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた
場合におけるその超えた時間」の状況があります、
この時間を【 R2-8-A 】では「60時間」、他の3問では「80時間」と
しています。
正しいのは「80時間」です。
面接指導の対象となる労働者は、「休憩時間を除き1週間当たり40時間を
超えて労働させた場合におけるその超えた時間が1月当たり80時間を超え、
かつ、疲労の蓄積が認められる労働者」です。
したがって、【 R2-8-A 】は誤りで、他の3問は、この点は正しいです。

そこで、この要件に該当する労働者すべてについて、事業者が面接指導を行わ
なければならないのかといえば、そうではありません。
労働者本人の申出があった場合に、事業者が行わなければならないものです。
そのため、「本人の申出の有無にかかわらず」とある【 H21-9-A[改題]】
は誤りです。

【 R6-9-A 】は申出の記載がありませんが、「労働安全衛生法第66条
の8第1項」に定める要件を問うものなので、記載がなくても正しいです。
【 H25-8-A[改題]】も、申出について、直接的記載はありませんが、
「労働安全衛生規則で定めるところにより」とあります。申出に基づき行う
ことは、労働安全衛生規則に規定されているので、正しいと判断して構わない
ことになります。
申出に基づくという点、労働者の申出の有無にかかわらず要件に該当する
労働者に対して行わなければならない「研究開発に係る業務に従事する
労働者に対する面接指導」とは違っているので、注意しておきましょう。

【 H18-選択[改題]】と【 H19-10-A 】は、論点が異なります。
前述したように、長時間労働者に対する面接指導は、労働者の申出により行わ
れるのですが、労働者は、言い出し難いということがあります。
そうなると、要件に該当していたとしても申出をしないということが考えら
れます。
そこで、産業医が、労働者に対して「面接指導の申出を行うよう勧奨すること
ができる」ようにしています。
産業医に勧奨されたということですと、申出がしやすくなりますから。

ということで、【 H19-10-A 】は正しく、【 H18-選択[改題]】の
答えは「勧奨」です。

【 H18-選択[改題]】では、面接指導の要件の部分は、問題文にあります
が、空欄はありません。
ただ、今後、「80時間」とか、「疲労の蓄積」なんて部分が空欄になるって
こともあり得るので、出題されたときは、確実に空欄を埋められるようにして
おきましょう。

 

 

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令和6年-安衛法・選択「労働者死傷病報告」

2024-11-01 02:00:00 | 過去問データベース

 

今回は、令和6年-安衛法・選択「労働者死傷病報告」です。

☆☆======================================================☆☆

事業者は、労働者が労働災害その他就業中又は事業場内若しくはその付属建設物
内における負傷、窒息又は急性中毒により死亡し、又は休業(休業の日数が4日
以上の場合に限る。)したときは、( E )、所轄労働基準監督署長に報告しなけ
ればならない。

☆☆======================================================☆☆

「労働者死傷病報告」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆======================================================☆☆

【 H25-9-D[改題]】
労働者が事業場内における負傷により休業の日数が2日の休業をしたときは、
事業者は、遅滞なく、電子情報処理組織を使用して、所定の事項を所轄労働
基準監督署長に報告しなければならない。

【 H4-8-C[改題]】
事業者は、労働者が労働災害で死亡し、又は4日以上休業したときは、遅滞
なく、労働災害の発生状況等を労働基準監督署長に報告しなければならない。

【 H20-9-A[改題]】
事業者は、労働者が事業場内において負傷、窒息又は急性中毒により休業した
日数が3日であった場合、その労働者死傷病報告を所轄労働基準監督署長に
行わなければならない。

【 H16-8-C[改題]】
派遣中の労働者が派遣就業中に労働災害により死亡し、又は休業した場合に
おける労働安全衛生規則第97条の規定に基づく労働者死傷病報告は、派遣先
の事業者のみが行えば足りる。

☆☆======================================================☆☆

事業者は、労働者が労働災害その他就業中又は事業場内もしくはその附属
建設物内における負傷、窒息又は急性中毒により死亡し、又は休業したとき
は、電子情報処理組織を使用して、所定の事項を所轄労働基準監督署長に
報告しなければなりません。

この報告については、原則として、「遅滞なく」行うこととされています。
この点が、【 R6-選択 】で出題されていて、答えは「遅滞なく」です。

ただ、報告期限については一律ではなく、休業日数が4日未満の場合(労災
保険の休業補償給付が支給されない程度の休業の場合)は、事業者は、1月
から3月まで、4月から6月まで、7月から9月まで及び10月から12月
までの期間(四半期ごと)における当該事実について、それぞれの期間にお
ける最後の月の翌月末日までに、電子情報処理組織を使用して、所定の事項を
所轄労働基準監督署長に報告しなければならないとされています。

【 H25-9-D[改題]】では、「休業の日数が2日」とあるので、報告期限
は、「遅滞なく」ではありませんから、誤りです。

【 H4-8-C[改題]】は、「死亡し、又は4日以上休業」で、「遅滞なく」
とあるので、正しいです。

では、【 H20-9-A[改題]】ですが、こちらは、報告期限について記載
はありません。論点ではないためです。休業した日数が3日であっても、報告
が必要かどうかということを論点にしたもので、休業日数が4日未満であっ
ても、報告は必要です。したがって、正しいです。


それと【 H16-8-C[改題]】、こちらは、派遣労働者の労働災害について、
派遣元事業者に報告義務があるのか、派遣先事業者に報告義務があるのかを
論点にした問題で、「派遣先の事業者のみ」とあります。誤りです。
派遣先の事業者だけでなく、派遣元の事業者も報告義務があります。
つまり、どちらも、報告をしなければならないということです。

届出については、その期限が論点にされやすいですが、そもそも報告が必要
かどうかとか、派遣労働者の場合はどちらが報告するのか、このような点も
論点にされているので、期限だけでなく、これらの点も知っておきましょう。

 

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令和6年-労基法・問3-C「賠償予定の禁止」

2024-10-25 02:00:00 | 過去問データベース

 

今回は、令和6年-労基法・問3-C「賠償予定の禁止」です。

☆☆======================================================☆☆

使用者が労働者に対して損害賠償の金額をあらかじめ約定せず、現実に生じた
損害について賠償を請求することは、労働基準法第16条が禁止するところでは
ないから、労働契約の締結に当たり、債務不履行によって使用者が損害を被っ
た場合はその実損害額に応じて賠償を請求する旨の約定をしても、労働基準法
第16条に抵触するものではない。

☆☆======================================================☆☆

「賠償予定の禁止」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆======================================================☆☆

【 R4-5-C 】
労働基準法第16 条のいわゆる「賠償予定の禁止」については、違約金又は
あらかじめ定めた損害賠償額を現実に徴収したときにはじめて違反が成立
する。

【 H23-2-C 】
使用者は、労働契約の締結において、労働契約の不履行について違約金を
定めることはできないが、労働者が不法行為を犯して使用者に損害を被ら
せる事態に備えて、一定金額の範囲内で損害賠償額の予定を定めることは
できる。

【 H10-2-C 】
運送会社がトラックの運転手を雇い入れる際、「故意又は重大な過失により
会社に損害を与えた場合、損害賠償を行わせることがある」旨の契約を締結
することは、禁止されている。

【 H30-5-B 】
債務不履行によって使用者が損害を被った場合、現実に生じた損害について
賠償を請求する旨を労働契約の締結に当たり約定することは、労働基準法第
16条により禁止されている。

【 H12-2-A 】
使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め又は損害賠償額を予定
する契約をしてはならないが、実際に労働者の債務不履行により被った
損害の賠償を請求することは禁止されていない。

【 H5-4-E 】
使用者は、労働契約の不履行について損害賠償を請求することはできない。

【 H20-1-B 】
使用者は、労働契約の不履行について、労働者に対し損害賠償を請求して
はならない。

☆☆======================================================☆☆

「賠償予定の禁止」に関する問題です。

労働基準法16条では、
「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定
する契約をしてはならない」
と規定しています。

ということは、「労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を
予定する契約」を締結すれば、その時点で、同条違反となります。
つまり、損害賠償額を現実に徴収したときに違反となるのではないので、
【 R4-5-C 】は誤りです。

では、その契約内容について、
【 H23-2-C 】の「一定金額の範囲内で損害賠償額の予定を定める」と
いうのは、「損害賠償額を予定する契約」ですから、そのような定めをする
ことはできません。誤りです。

【 H10-2-C 】の場合は、「損害賠償を行わせることがある」旨の契約を
締結することとあります。
【 H30-5-B 】では、「現実に生じた損害について賠償を請求する」旨
を労働契約の締結に当たり約定することとあります。
これらは、いずれも「額」を定めているのではないので、「損害賠償額を予定
する契約」ではありません。
「賠償予定の禁止」の規定では、「金額を予定すること」を禁止するのであっ
て、現実に生じた損害について賠償を請求することを禁止するものではありま
せん。

そのため、これらの事項を労働契約に定めることは禁止されていないので、
いずれも誤りです。
一方、【 R6-3-C 】では、「損害を被った場合はその実損害額に応じて
賠償を請求する旨の約定をしても、労働基準法第16条に抵触するものでは
ない」とあるので、正しいです。

【 H12-2-A 】の「労働者の債務不履行により被った損害の賠償を請求
すること」、これは、「損害賠償額を予定する契約」を締結したのではなく、
損害があったから請求をするというだけですので、禁止されていません。
正しいです。

「損害賠償額を予定する契約」をすると、実損額にかかわらず、その額を賠償
しなければならなくなってしまうので、そのような契約を禁止しています。
一方、現実に生じた損害に対して損害賠償請求をすること、これがダメだと
いうことですと、使用者サイドのほうに大きな負担を強いることになってし
まいかねないので、労働基準法では請求することを禁止していません。
ですので、【 H5-4-E 】と【 H20-1-B 】は、誤りです。
労働契約の不履行について、労働者に対し損害賠償を請求することはできるので。

何ができるのか、何が禁止されているのか、整理しておきましょう。

 

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令和6年-労基法・問3-A「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」

2024-10-18 02:00:00 | 過去問データベース

 

今回は、令和6年-労基法・問3-A「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに
関する基準」です。

☆☆======================================================☆☆

使用者は、労働基準法第14条第2項に基づき厚生労働大臣が定めた基準により、
有期労働契約(当該契約を3回以上更新し、又は雇入れの日から起算して1年
を超えて継続勤務している者に係るものに限り、あらかじめ当該契約を更新し
ない旨明示されているものを除く。)を更新しないこととしようとする場合には、
少なくとも当該契約期間が満了する日の30日前までに、その予告をしなければ
ならない。

☆☆======================================================☆☆

「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆======================================================☆☆

【 H16-2-E[改題]】
有期労働契約基準において、使用者は、期間の定めのある労働契約(当該
契約を3回以上更新し、又は雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務
している者に係るものに限り、あらかじめ当該契約を更新しない旨明示され
ているものを除く。)を更新しないこととしようとする場合には、少なくとも
当該契約の期間の満了する日の30日前までに、その予告をしなければなら
ないとされている。

【 H24-2-A 】
労働基準法第14条第2項の規定に基づく「有期労働契約の締結、更新及び
雇止めに関する基準(平成15年厚生労働省告示第357号)」によると、期間
が2か月の労働契約(あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されている
ものを除く。)を3回更新し、4回目に更新しないこととしようとする使用者
は、少なくとも当該契約の期間の満了する日の30日前までに、その予告を
しなければならない。

【 H19-4-D 】
ある使用者が、その期間が3か月の労働契約を2回更新し、3回目を更新し
ないこととした。その場合には、労働基準法第14条第2項の規定に基づく
「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」によれば、少なくとも
当該契約の期間の満了する日の30日前までに、その予告をしなければならない。

☆☆======================================================☆☆

「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」のうち雇止めの予告
に関する問題です。
有期労働契約については、期間が満了すれば、労働契約は終了します。
ただ、有期労働契約の更新などがあり、ある程度の期間、継続して使用されて
いると、労働者は、次も更新があるだろうと期待をしてしまいます。
そこで、一定の期間継続して使用した後に、契約を更新しない場合は、解雇の
予告に準じた予告をすることを使用者に求めています。

その規定は、「使用者は、有期労働契約(当該契約を3回以上更新し、又は
雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者に係るものに限り、
あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されているものを除く)を更新しな
いこととしようとする場合には、少なくとも当該契約の期間の満了する日の
30日前までに、その予告をしなければならない」というものです。

【 R6-3-A 】と【 H16-2-E[改題]】は、ほぼこの規定どおりの
出題で正しいです。

【 H24-2-A 】と【 H19-4-D 】は、事例的に出題しています。

で、【 H24-2-A 】では、「2か月の労働契約を3回更新」とあります。
継続勤務した期間は1年以下ですが、更新回数が3回以上ですから、予告
が必要になります。正しいです。

一方、【 H19-4-D 】では、「3か月の労働契約を2回更新」とあります。
これですと、継続勤務した期間は1年以下で、更新回数も3回未満です。
そのため、予告は必要ありません。誤りです。

この規定、特に、「契約を3回以上更新し、又は雇入れの日から起算して
1年を超えて継続勤務」の部分については、今後も、このように具体的に
出題してくることがあるでしょうから、そのような問題に対応できるよう
にしておきましょう。

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令和6年-労基法・問1-D「出向労働者」

2024-10-11 02:00:00 | 過去問データベース

 

今回は、令和6年-労基法・問1-D「出向労働者」です。

☆☆======================================================☆☆

「在籍型出向(出向元及び出向先双方と出向労働者との間に労働契約関係がある
場合)の出向労働者については、出向元、出向先及び出向労働者三者間の取決め
によって定められた権限と責任に応じて出向元の使用者又は出向先の使用者が、
出向労働者について労働基準法等における使用者としての責任を負う。

☆☆======================================================☆☆

「出向労働者」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆======================================================☆☆

【 H14-2-A 】
いわゆる在籍型出向の出向労働者については、出向元及び出向先の双方と
それぞれ労働契約関係があるので、原則として出向元及び出向先に対しては
それぞれ労働契約関係が存する限度で労働基準法等の適用があるが、その
うち労働契約関係の基本である賃金に関する事項については出向元のみが
使用者となり、それ以外の事項については、出向元、出向先及び出向労働者
三者間の取決めによって定められた権限と責任に応じて、出向元の使用者
又は出向先の使用者が出向労働者について労働基準法等における使用者
としての責任を負うものと解されている。

【 H12-1-D 】
いわゆる在籍型出向により出向先の指揮命令の下で労働する労働者について
は、雇用主である出向元は出向先での労働に関しても労働基準法の各条文
について全面的に使用者としての責任を負う一方、出向先は、その権限と
責任に応じて労働基準法における使用者としての責任を出向元と連帯して
負うにとどまる。

【 H19-1-A 】
いわゆる在籍型出向の出向労働者については、出向元及び出向先の双方と
それぞれ労働契約関係があるので、出向元及び出向先に対しては、それぞれ
労働契約関係が存する限度で労働基準法の適用がある。すなわち、出向元、
出向先及び出向労働者三者間の取決めによって定められた権限と責任に応じ
て出向元の使用者又は出向先の使用者が出向労働者について労働基準法に
おける使用者としての責任を負うものである。

☆☆======================================================☆☆

いずれも、在籍型出向の出向労働者に対する使用者責任は、出向元が負うのか、
出向先が負うのかを論点にしています。

【 H14-2-A 】では、賃金に関する事項だけ扱いが異なるような記述
があります。
【 H12-1-D 】では、出向元は全面的に責任を負うという記述があり
ます。

一方、【 R6-1-D 】と【 H19-1-A 】では、三者間の取決めに
よるとあります。

在籍型出向は、出向先と出向労働者との間に出向元から委ねられた指揮命令
関係ではなく、労働契約関係及びこれに基づく指揮命令関係がある形態です。
また、在籍型出向の出向労働者については、出向元及び出向先の双方とそれ
ぞれ労働契約関係があるので、出向元及び出向先に対しては、それぞれ労働
契約関係が存する限度で労働基準法等の適用があります。
すなわち、在籍型出向の出向労働者に関しては、出向元、出向先及び出向
労働者三者間の取決めによって定められた権限と責任に応じて、出向元の
使用者又は出向先の使用者が出向労働者について労働基準法等における
使用者としての責任を負うものとされています。

ですので、【 H14-2-A 】、【 H12-1-D 】は誤りで、【 R6-1-D 】
と【 H19-1-A 】は正しいです。

労働者派遣とは異なり、在籍型出向は、出向元及び出向先のいずれについても
労働契約関係がある、つまり、労働者としての籍を二重に有することになるので、
単純にどっちの責任と法的に決めるのは困難です。
その状況によって、判断をしていかなければなりませんので。
ということで、
当事者間の取決めによりましょうってことになっています。

 

 

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令和6年-労基法・問1-B「均等待遇」

2024-10-04 02:00:00 | 過去問データベース

今回は、令和6年-労基法・問1-B「均等待遇」です。

☆☆======================================================☆☆

「労働基準法3条は労働者の信条によって賃金その他の労働条件につき差別する
ことを禁じているが、特定の信条を有することを、雇入れを拒む理由として定め
ることも、右にいう労働条件に関する差別取扱として、右規定に違反するものと
解される。」とするのが、最高裁判所の判例である。

☆☆======================================================☆☆

「賃金債権の放棄」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆======================================================☆☆

【 H21-1-B 】
労働基準法第3条が禁止する労働条件についての差別的取扱いには、雇入れ
における差別も含まれるとするのが最高裁判所の判例である。

【 H28-1-ウ 】
労働基準法第3条は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、
労働条件について差別することを禁じているが、これは雇入れ後における
労働条件についての制限であって、雇入れそのものを制限する規定ではない
とするのが、最高裁判所の判例である。

【 H9-2-D 】
労働基準法第3条では、信条による労働条件の差別的取扱いを禁止している
が、企業における労働者の雇入れについては、特定の思想、信条を有する者
をその故をもって雇い入れることを拒んでも、直ちに違法とすることができ
ない。

【 H11-1-A 】
使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働
時間について差別的取扱いを行ってはならず、このことは解雇や安全衛生
についても同様である。

【 H2-1-A 】
「労働条件」とは、賃金、労働時間はもちろんのこと、解雇、災害補償、
安全衛生、寄宿舎等に関する条件をすべて含む労働者の職場における一切
の待遇をいう。

【 H30-4-イ 】
労働基準法第3条にいう「賃金、労働時間その他の労働条件」について、
解雇の意思表示そのものは労働条件とはいえないため、労働協約や就業
規則等で解雇の理由が規定されていても、「労働条件」にはあたらない。

☆☆======================================================☆☆

ここで挙げた問題は、「均等待遇」に関するもののうち差別禁止の対象となる
「労働条件」に含まれるものは何か?というのが論点です。

まず、【 R6-1-B 】は、「雇入れ」が対象となるような記載で、
【 H21-1-B 】では、「雇入れ」を含むとしています。
労働基準法で保護する労働条件というのは、【 H28-1-ウ 】にあるように、
雇い入れた後の労働条件ですから、労働基準法3条が禁止する労働条件につい
ての差別的取扱いには、「雇入れ」における差別は含まれません。
ですので、【 R6-1-B 】と【 H21-1-B 】は誤り、【 H28-1-ウ 】
は正しいです。

この点を、より具体的に出題したのが、【 H9-2-D 】で、
「特定の思想、信条を有する者をその故をもって雇い入れることを拒んでも、
直ちに違法とすることができない」
とあります。
これは、そのとおりです。
雇入れは、「均等待遇」で規定している労働条件には入らないので、「雇い入れ
ることを拒んでも」、つまり、差別的取扱いをしても、それだけで、直ちに違法
とすることはできないことになります。

【 H11-1-A 】と【 H2-1-A 】では、いくつかの事項を列挙して
います。
これら列挙している事項はいずれも「労働条件」に含まれます。
そして、「雇入れ」のような、余分な記述はありません。したがって、正しい
です。

【 H30-4-イ 】では、「解雇の意思表示」に関して「労働条件」にはあた
らないとしています。

解雇の意思表示そのものは労働条件とはいえません。ただ、労働協約、就業
規則等で解雇の基準又は理由が規定されていれば、それは労働するに当たっ
ての条件として労働条件となるので、誤りです。

1つの事項だけを挙げて、それが労働条件となるか否かを問う問題があったり、
いくつかの労働条件を列挙するような問題もありますが、いくつかの労働
条件を列挙し、その中に、さりげなく「雇入れ」など労働条件とならない事項
を入れて、誤りにするなんて問題が出題されるってことがあるので、いくつも
列挙されているときは、そのような事項を見逃したりしないよう、注意しま
しょう。

 

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令和6年-労基法・選択「賃金債権の放棄」

2024-09-27 02:00:00 | 過去問データベース

 

今回は、令和6年-労基法・選択「賃金債権の放棄」です。

☆☆======================================================☆☆

最高裁判所は、賃金に当たる退職金債権放棄の効力が問題となった事件において、
次のように判示した。
本件事実関係によれば、本件退職金の「支払については、同法〔労働基準法〕
24条1項本文の定めるいわゆる全額払の原則が適用されるものと解するのが
相当である。しかし、右全額払の原則の趣旨とするところは、使用者が一方的
に賃金を控除することを禁止し、もつて労働者に賃金の全額を確実に受領させ、
労働者の経済生活をおびやかすことのないようにしてその保護をはかろうとする
ものというべきであるから、本件のように、労働者たる上告人が退職に際しみず
から賃金に該当する本件退職金債権を放棄する旨の意思表示をした場合に、右全
額払の原則が右意思表示の効力を否定する趣旨のものであるとまで解することは
できない。もっとも、右全額払の原則の趣旨とするところなどに鑑みれば、右
意思表示の効力を肯定するには、それが上告人の( C )ものであることが
明確でなければならないものと解すべきである」。

☆☆======================================================☆☆

「賃金債権の放棄」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆======================================================☆☆

【 H22-3-D 】
労働基準法第24条第1項の賃金全額払の原則は、労働者が退職に際し自ら
賃金債権を放棄する旨の意思表示をした場合に、その意思表示の効力を否定
する趣旨のものと解することができ、それが自由な意思に基づくものである
ことが明確であっても、賃金債権の放棄の意思表示は無効であるとするのが
最高裁判所の判例である。

【 H25-7-オ 】
退職金は労働者にとって重要な労働条件であり、いわゆる全額払の原則は
強行的な規制であるため、労働者が退職に際し退職金債権を放棄する意思
表示をしたとしても、同原則の趣旨により、当該意思表示の効力は否定され
るとするのが、最高裁判所の判例である。

【 H27-4-C 】
退職金は労働者の老後の生活のための大切な資金であり、労働者が見返り
なくこれを放棄することは通常考えられないことであるから、労働者が
退職金債権を放棄する旨の意思表示は、それが労働者の自由な意思に基づ
くものであるか否かにかかわらず、労働基準法第24条第1項の賃金全額
払の原則の趣旨に反し無効であるとするのが、最高裁判所の判例である。

【 R元-5-B 】
賃金にあたる退職金債権放棄の効力について、労働者が賃金にあたる退職
金債権を放棄する旨の意思表示をした場合、それが労働者の自由な意思に
基づくものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するとき
は、当該意思表示は有効であるとするのが、最高裁判所の判例である。

☆☆======================================================☆☆

いずれも「賃金債権の放棄」に関する最高裁判所の判例についての問題です。

まず、退職金について、これは、就業規則において支給条件が明確に規定され、
使用者に支払義務がある場合には、労働基準法にいう「賃金」に該当し、賃金
全額払の原則が適用されます。
この賃金全額払の原則は、「賃金の全額を支払うこと」を義務づけたもので
あり、労働者が退職に際し自ら退職金債権を放棄する旨の意思表示の効力を
否定する趣旨のものではありません。

最高裁判所の判例では、
「退職金債権放棄の意思表示が労働者の自由な意思に基づくものであると
認めるに足る合理的な理由が客観的に存在していたものということができる
なら、その意思表示の効力は、これを肯定して差支えないというべきである」
としています。
つまり、労働者が退職に際し自ら賃金債権を放棄する旨の意思表示をした
場合に、それが労働者の自由な意思に基づくものであることが明確であれば、
賃金債権の放棄の意思表示は有効であるということです。

したがって、【 R元-5-B 】は正しいですが、その他の択一式の問題は
いずれも誤りです。

は【 R6-選択 】は、正に、このキーワードが空欄になっていて、答えは
「自由な意思に基づく」です。

この判例も、繰り返し出題されています。
そのため、今後も出題される可能性が高いです。
キーワードは、再び選択式での出題も考えられるので、「自由な意思に基づく」
だけでなく、「合理的な理由が客観的に存在する」なども、しっかりと確認して
おきましょう。

 

 

 

 

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高齢化率

2024-09-25 02:00:00 | 過去問データベース

9月15日に、総務省統計局が
「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」を公表しました。
https://www.stat.go.jp/data/topics/topi1420.html

これによると、総人口が減少する中で、65歳以上人口は3625万人と過去最多
となっています。
総人口に占める割合は29.3%と過去最高となっています。
この総人口に占める高齢者人口の割合を「高齢化率」といい、
「高齢化率」に関しては、次のように、過去に複数回出題されています。

【 H4-6-A 】
我が国では、平均寿命の伸長と出生率の低下(平成2年度においては過去最低
の1.54を記録)により、平成2年10月1日現在、65歳以上の高齢者の人口は
1,489万5千人で総人口の12%を占め、今後も急速な高齢化が進むことが予想
されている。

【 H22-2-E 】
日本の高齢化のスピードは、世界に例を見ないスピードで進行しており、高齢
化率(総人口に占める65歳以上の者の割合)が7%を超えてからその倍の14%
に達するまでの所要年数によって比較すると、フランスが115年、ドイツが40
年、イギリスが47年であるのに対し、日本はわずか24年しかかからなかった。

【 H27-9-E 】
日本の高齢化率(人口に対する65歳以上人口の占める割合)は、昭和45年に
7%を超えて、いわゆる高齢化社会となったが、その後の急速な少子高齢化の
進展により、平成25年9月にはついに25%を超える状況となった。

いずれも正しい内容として出題されたものです。
これらの問題にある数値、高齢化率の状況、これは知っておきましょう。
ただ、知っておくべきなのは、古いものではなく最新のもので、
令和6年なら、「29.3%」、およそ30%ということです。
それと、高齢化率の推移をみると、1950年(4.9%)以降一貫して上昇が
続いていて、1985年に10%、2005年に20%を超え、2024年は29.3%と
過去最高を更新しています。

ちなみに、「令和6年版高齢社会白書」には、「我が国の総人口は、令和5年
10月1日現在、1億2,435万人となっている。65歳以上人口は、3,623万人
となり、総人口に占める割合(高齢化率)も29.1%となった。」という記載
があります。

 

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令和6年-労基法・選択「労働時間」

2024-09-20 02:00:00 | 過去問データベース

 

今回は、令和6年-労基法・選択「労働時間」です。

☆☆======================================================☆☆

労鋤基準法(昭和62年法律第99号による改正前のもの)32条の労働時間
(以下「労働基準法上の労働時間」という。)とは、労働者が使用者の( B )
に置かれている時間をいい、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為
が使用者の( B )に置かれたものと評価することができるか否かにより
客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかん
により決定されるべきものではないと解するのが相当である。

☆☆======================================================☆☆

「労働時間」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆======================================================☆☆

【 H28-4-A 】
労働基準法第32条の労働時間とは、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれ
ている時間をいい、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者
の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に
定まる」とするのが、最高裁判所の判例である。

【 H20-4-A 】
労働基準法が規制対象とする労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に
置かれている時間をいい、その具体的な判断においては、労働契約、就業規則、
労働協約等の定めに従い決定されるべきであるとするのが最高裁判所の判例
である。


【 H22-4-A 】
ビルの巡回監視等の業務に従事する労働者の実作業に従事していない仮眠
時間についても、労働からの解放が保障されていない場合には労働準基法
上の労働時間に当たるとするのが最高裁判所の判例である。

【 R4-2-E 】
警備員が実作業に従事しない仮眠時間について、当該警備員が労働契約に
基づき仮眠室における待機と警報や電話等に対して直ちに対応することが
義務付けられており、そのような対応をすることが皆無に等しいなど実質的
に上記義務付けがされていないと認めることができるような事情が存しない
などの事実関係の下においては、実作業に従事していない時間も含め全体
として警備員が使用者の指揮命令下に置かれているものであり、労働基準法
第32 条の労働時間に当たるとするのが、最高裁判所の判例である。

【 H26-5-D 】
労働基準法第32条にいう「労働」とは、一般的に、使用者の指揮監督の
もとにあることをいい、必ずしも現実に精神又は肉体を活動させていること
を要件とはしない。したがって、例えば、運転手が2名乗り込んで交替で運転
に当たる場合において運転しない者が助手席で休息し、又は仮眠をとって
いるときであってもそれは「労働」であり、その状態にある時間は労働基準法
上の労働時間である。

【 H30-1-イ 】
貨物自動車に運転手が二人乗り込んで交替で運転に当たる場合において、
運転しない者については、助手席において仮眠している間は労働時間とし
ないことが認められている。

【 R2-6-A 】
運転手が2名乗り込んで、1名が往路を全部運転し、もう1名が復路を全部
運転することとする場合に、運転しない者が助手席で休息し又は仮眠して
いる時間は労働時間に当たる。

☆☆======================================================☆☆

「労働時間」に関する判例や通達からの出題です。

【 H28-4-A 】と【 H20-4-A 】では、労働時間とは、
「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいう」
としています。
この部分は、そのとおりです。
使用者の指揮命令下に置かれている時間が労働時間になります。
【 R6-選択 】では、この点を論点にしていて、答えは「指揮命令下」です。

例えば、就業規則に、始業時刻が9時、終業時刻が18時、12時から13時
まで休憩と定められていた場合、その間の8時間だけが労働時間になる、
とは限らないということです。
実際に、その時間を超えて、使用者の指揮命令下に置かれているのであれば、
その超えた時間も労働時間となります。

そのため、
「労働契約、就業規則、労働協約等の定めに従い決定されるべきであるとする」
とある【 H20-4-A 】は、誤りです。

これに対して、
「使用者の指揮命令下に置かれていたものと評価することができるか否かに
より客観的に定まる」としている【 H28-4-A 】は、正しいです。

では、【 H22-4-A 】ですが、
「労働からの解放が保障されていない」場合は、「労働時間に当たる」として
います。
「労働からの解放が保障されていない」というのは、使用者の指揮命令下に
置かれている状態ですので、やはり、労働時間となります。
したがって、【 H22-4-A 】も正しいです。
ちなみに、仮眠時間って寝ている時間です。
寝ていても労働時間になるというと、違和感を持つ人もいるかもしれません
・・・ただ、この点は、
仮眠室における待機と警報や電話等に対して直ちに相当の対応をすること
を義務づけられているような場合には、仮眠時間は全体として労働からの
解放が保障されているとはいえないので、労働時間に当たるとされています。
【 R4-2-E 】は、これについても含めた内容で、「労働時間に当たる」
としているので、正しいです。

それと、【 H26-5-D 】では、「労働」とはどういうものなのかを示し
つつ、具体例を挙げていますが、この具体例は、【 H30-1-イ 】と
【 R2-6-A 】でも出題されています。
で、【 H26-5-D 】と【 R2-6-A 】では「労働時間である」と
しているのに対して、【 H30-1-イ 】では「労働時間としないことが
認められている」としています。
【 H26-5-D 】と【 R2-6-A 】が正しくて、【 H30-1-イ 】
は誤りです。
「労働」とは、一般的に、使用者の指揮監督のもとにあることをいい、
必ずしも現実に精神又は肉体を活動させていることを要件とはしていません。
そのため、休息中や仮眠中も、「労働」となり得るのです。

 

 

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令和5年-厚年法・問10-イ「障害厚生年金の失権」

2024-08-23 02:00:00 | 過去問データベース

 

今回は、令和5年-厚年法・問10-イ「障害厚生年金の失権」です。

☆☆==================================================☆☆

甲は、障害等級3級の障害厚生年金の支給を受けていたが、63歳のとき
に障害等級3級に該当する程度の障害の状態でなくなったために当該
障害厚生年金の支給が停止された。その後、甲が障害等級に該当する
程度の障害の状態に該当することなく65歳に達したとしても、障害
厚生年金の受給権は65歳に達した時点では消滅しない。

☆☆==================================================☆☆

「障害厚生年金の失権」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆==================================================☆☆

【 H21-厚年9-C 】
障害厚生年金の受給権は、障害等級3級以上の障害の状態に該当しなく
なり、そのまま65歳に達した日又は障害の状態に該当しなくなった日
から起算してそのまま該当することなく3年経過した日のどちらか早い
日に消滅する。

【 H12-国年7-D 】
障害基礎年金の受給権は、厚生年金保険の障害等級3級に該当しない
者が65歳に達したとき、又はその障害等級3級に該当しなくなった日
から該当しないまま3年を経過したときのいずれか遅いほうが到達した
とき消滅する。

【 H30-厚年4-ウ 】
障害等級3級の障害厚生年金の受給権者であった者が、64歳の時点で
障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなったために支給
が停止された。その者が障害等級に該当する程度の障害の状態に該当
しないまま65歳に達したとしても、その時点では当該障害厚生年金の
受給権は消滅しない。

【 R2-厚年3-オ 】
障害等級3級の障害厚生年金の受給権者の障害の状態が障害等級に該当
しなくなったため、当該障害厚生年金の支給が停止され、その状態の
まま3年が経過した。その後、65歳に達する日の前日までに当該障害
厚生年金に係る傷病により障害等級3級に該当する程度の障害の状態
になったとしても、当該障害厚生年金は支給されない。

【 R3-国年10-D 】
障害基礎年金の受給権者が、厚生年金保険法第47条第2項に規定する
障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなった日から起算
して同項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態に該当する
ことなく3年を経過した日において、65歳に達していないときでも、
当該障害基礎年金の受給権は消滅する。

【 H20-国年8-B 】
障害基礎年金の受給権者が63歳の時点で、厚生年金保険法に規定する
障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなった日から起算
して3年を経過していたときは、その時点で当該障害基礎年金の受給
権が消滅する。

【 H19-国年2-D 】
61歳の障害基礎年金の受給権者であって国民年金法の規定による障害
等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなってから3年を経過
した者については、障害の状態に該当しなくなってから3年を経過した
日の翌日に障害基礎年金の受給権は消滅する。

【 H26-国年7-B 】
障害基礎年金の受給権は、厚生年金保険の障害等級3級以上の障害状態
にない者が、その該当しなくなった日から、障害等級3級以上の障害
状態に該当することなく5年を経過したとき消滅する。ただし、5年を
経過した日においてその者が65歳未満であるときを除く。

☆☆==================================================☆☆

障害基礎年金と障害厚生年金の失権事由は、同じです。
そのため、国民年金法、厚生年金保険法、それぞれから同じような内容
の出題があります。

障害基礎年金・障害厚生年金は、併合認定が行われれば、先発の年金の
受給権は消滅します。年金の受給権をいくつも持たせておくというのは、
管理するほうも大変ですから、併せて1つにしちゃうんですよね。
それと、受給権者が死亡したとき、これは、当然、もらう人がこの世に
いなくなるので、失権します。
これらの失権事由も出題されることがありますが、試験によく出るのは、
もう1つの失権事由です。障害状態に不該当となった場合です。
この障害状態というのは、厚生年金保険法に規定する障害等級3級以上
の状態で、この状態に該当しなくなった場合、受給権が消滅するための
要件の一部を満たすことになります。
厳密にいえば、該当しなくなり、そのまま3年が経ったという場合です。
でも、該当しなくなって、そのくらいの期間で失権では、再発したらどう
なるんだという問題があるので、65歳までは失権させないのです。
65歳になれば、老齢基礎年金がもらえるようになるので、障害基礎年金
や障害厚生年金がなくても大丈夫ってことになりますから。
つまり、障害状態に該当しなくなり3年が経ったというのと65歳になっ
たというのと、比べて、遅いほうで失権です。

【 H21-厚年9-C 】では、「どちらか早い日」としているので、誤り
です。
【 H12-国年7-D 】は、正しいです。
【 H30-厚年4-ウ 】と【 R5-厚年10-イ 】では、具体的な年齢を
挙げていますが、いずれも65歳に達した時点では、3年を経過していない
ので、失権はしません。そのため、いずれも正しいです
【 R2-厚年3-オ 】は、3年が経過しているけれど、65歳に達する日
の前日までなので、失権はしていない状況です。しかし、「支給されない」
とあるので、誤りです。
【 R3-国年10-D 】も65歳に達する前に受給権は消滅するとして
いるので、誤りです。
【 H20-国年8-B 】は、「63歳の時点で・・・受給権は消滅する」と
ありますが、63歳の時点では失権しないので、誤りです。

【 H19-国年2-D 】は、3年経過したときに65歳になっていません。
なので、この場合は失権しません。誤りです。
それと、この問題・・・「国民年金法の規定による障害等級に該当する
程度の障害の状態に該当しなくなって」とあります。国民年金法の規定
による障害等級は1級と2級です。そのため、これらに該当しなくても、
もし3級に該当しているのであれば、1級又は2級に不該当となって
何年経過したとしても、失権しませんので。
この点も、注意です。

【 H26-国年7-B 】は、単純に「3年」が「5年」となっている
ので、誤りです。

同じ論点の問題って、文章そのものも同じようなものが出てくることっ
て多いんですが、障害基礎年金・障害厚生年金の失権に関する論点は、
文章が、その都度、違っています。でも、その内容は同じですから、
ちゃんと理解しておけば、確実に得点に結びつくはずです。

 

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令和5年-厚年法・問10-ア「障害厚生年金の最低保障額」

2024-08-21 02:00:00 | 過去問データベース

 

今回は、令和5年-厚年法・問10-ア「障害厚生年金の最低保障額」です。

☆☆==================================================☆☆

障害厚生年金の給付事由となった障害について、国民年金法による障害
基礎年金を受けることができない場合において、障害厚生年金の額が
障害等級2級の障害基礎年金の額に2分の1を乗じて端数処理をして
得た額に満たないときは、当該額が最低保障額として保障される。なお、
配偶者についての加給年金額は加算されない。

☆☆==================================================☆☆

「障害厚生年金の最低保障額」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆==================================================☆☆

【 R2-4-D 】
 障害等級3級の障害厚生年金には、配偶者についての加給年金額は加算
されないが、最低保障額として障害等級2級の障害基礎年金の年金額の
3分の2に相当する額が保障されている。

【 H29-2-E 】
障害の程度が障害等級3級に該当する者に支給される障害厚生年金の額
は、障害等級2級に該当する者に支給される障害基礎年金の額に4分の
3を乗じて得た額(その額に50円未満の端数が生じたときは、これを
切り捨て、50円以上100円未満の端数が生じたときは、これを100円
に切上げるものとする。)に満たないときは、当該額とされる。

【 H25-10-C 】
障害等級3級に該当する者に支給される障害厚生年金の額が、障害等級
2級の障害基礎年金の額に3分の2を乗じて得た額に端数処理をして
得た額に満たないときは、障害等級2級の障害基礎年金の額に3分の2
を乗じて得た額に端数処理をして得た額を支給する。

【 H18-9-C 】
障害等級3級の障害厚生年金の年金額には、配偶者についての加給年金
額は加算されないが、障害基礎年金の年金額の3分の2に相当する最低
保障額がある。

☆☆==================================================☆☆

障害給付に係る障害等級は、国民年金では1級及び2級、厚生年金保険
では1級、2級及び3級となっており、障害等級3級は、厚生年金保険
の独自給付になります。
そのため、障害厚生年金の受給権者のうち障害等級3級に該当するもの
は、障害基礎年金が支給されません。

そこで、厚生年金保険において最低保障を設けています(1級及び2級
〔2階建ての場合〕には最低保障がないので、厚生年金保険だけで考える
と、障害の程度が重いのにもかかわらず、その額が3級より低くなる場合
が生じ得るため、障害基礎年金が支給されない場合に限り、最低保障を
設けています)。

ここに掲載した問題は、それを論点にした問題です。

【 R5-10-ア 】では、最低保障の額を「障害基礎年金の額の2分の1」
としています。
【 R2-4-D 】、【 H25-10-C 】、【 H18-9-C 】では、最低
保障の額を「障害基礎年金の額の3分の2」としています。
この「2分の1」と「3分の2」は「4分の3」なので、いずれも誤り
です。
ありがちな誤りの作り方です。
【 H29-2-E 】は、正しいです。

前述したとおり、障害等級3級は、厚生年金保険の独自給付なので、1級
や2級の場合と異なる点がいろいろとあります。
例えば、配偶者加給年金額が加算されないという点があります。
逆に、1級や2級の場合と同じ扱いをする点もあります。
被保険者期間については最低300月を保障する点です。
試験では、違いを論点にすることがありますが、共通のものを違っている
ようにして誤りの出題をすることもあります。
ということで、1級・2級と3級との違い、ここはちゃんと整理して
おきましょう。


 

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令和5年-厚年法・問7-B「加給年金額の特別加算」

2024-08-16 02:00:00 | 過去問データベース

 

今回は、令和5年-厚年法・問7-B「加給年金額の特別加算」です。

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昭和9年4月2日以後に生まれた老齢厚生年金の受給権者については、
配偶者の加給年金額に更に特別加算が行われる。特別加算額は、受給権者
の生年月日によって異なり、その生年月日が遅いほど特別加算額が少なく
なる。

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「加給年金額の特別加算」に関する問題です。

次の問題をみてください。

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【 H28-5-E 】
昭和9年4月2日以後に生まれた老齢厚生年金の受給権者に支給される
配偶者に係る加給年金額については、その配偶者の生年月日に応じた
特別加算が行われる。

【 H8-6-D 】
老齢厚生年金に加算される加給年金額には、配偶者の生年月日に応じて
一定の額が加算される。

【 H12-7-C 】
老齢厚生年金の受給権者が、昭和9年4月2日以降生まれの場合には、
その生年月日に応じて、配偶者の加給年金額に特別加算がなされる。

【 H30-1-C 】
昭和9年4月2日以後に生まれた老齢厚生年金の受給権者に支給され
る配偶者の加給年金額に加算される特別加算の額は、受給権者の生年
月日に応じて33,200円に改定率を乗じて得た額から165,800円に改定
率を乗じて得た額の範囲内であって、受給権者の生年月日が早いほど
特別加算の額は大きくなる。

【 H25-10-B 】
昭和9年4月2日以降に生まれた老齢厚生年金の受給権者に支給され
る配偶者の加給年金額に加算される特別加算の額は、昭和16年4月2日
生まれの受給権者よりも昭和18年4月2日生まれの受給権者の方が
高額になる。

【 H19-4-C[改題]】
昭和9年4月2日以後に生まれた老齢厚生年金の受給権者に係る配偶者
の加給年金額に加算される特別加算額は、受給権者の生年月日に応じて
34,700円から173 300円であって、受給権者の年齢が若いほど大きく
なる。

【 H15-3-B 】
老齢厚生年金の配偶者に係る加給年金額は、昭和9年4月2日以後に
生まれた受給権者の生年月日に応じて特別加算額が加算されるが、この
加算額は昭和18年4月2日以後の生年月日の者について同額である。

【 H12-7-E 】
昭和16年4月2日以降に生まれた老齢厚生年金の受給権者については、
その配偶者の加給年金額に加算される特別加算の額は、それ以降に生ま
れた受給権者の配偶者の加給年金の額に加算される特別加算の額と同額
である。

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「加給年金額に加算される特別加算」に関する問題です。

夫婦とも65歳以上で老齢給付の支給を受けている場合と夫婦の一方
だけが65歳以上で老齢給付を受けている場合との給付水準に著しい
格差が生じないようにするため、老齢厚生年金の加給年金額に加算さ
れるのが、特別加算です。
そのため、当然といえば当然なのですが、老齢厚生年金の受給権者の
状況、すなわち、その生年月日に応じて、特別加算が加算されます。

ということで、最初の2問、【 H28-5-E 】と【 H8-6-D 】
では、「配偶者の生年月日に応じた」としているので、誤りです。

老齢厚生年金の受給権者の生年月日に応じるのですから、すべての
受給権者が対象となるとは限らず、特別加算の加算対象とされるのは、
昭和9年4月2日以後に生まれた老齢厚生年金の受給権者に限られます。

その額は、といえば、
【 H12-7-C 】では、「生年月日に応じて」とあるだけで、
【 R5-7-B 】のように「生年月日が遅いほど特別加算額が少なく
なる」というようなことは記述されていません。
でも、特別加算額は「生年月日に応じて」異なっているので、この表現
は正しいです(【 H12-7-C 】は正しいです)。

では、「生年月日が遅いほど特別加算額が少なくなる」のでしょうか?
そうではありませ。【 H19-4-C[改題]】で「受給権者の年齢が若い
ほど大きくなる」としていますが、そのとおりです。
なので、【 H19-4-C[改題]】は正しく、【 R5-7-B 】と
「受給権者の生年月日が早いほど特別加算の額は大きくなる」と逆の
ことをいっている【 H30-1-C 】は、誤りです。

一般に、年齢が高いほど年金額が多くなるので、この特別加算は、若い
ほど多くなるようにしています。夫婦2人で年金を受給している場合と、
一方だけ受給している場合の年金額の格差を緩和するために加算する
ので、そのような仕組みになっています。

それと、生年月日が異なれば、すべて額が異なるのかといえば、一定の
ところからは、同額にしています。その生年月日について、
【 H15-3-B 】では、昭和18年4月2日以後の生年月日の者に
ついて同額、【 H12-7-E 】では、昭和16年4月2日以降に生ま
れた者について同額
としています。
【 H12-7-E 】のほうが誤りです。
昭和18年4月2日以後の生年月日の者について同額となります。
したがって、「昭和16年4月2日生まれの受給権者よりも昭和18年4月
2日生まれの受給権者の方が高額になる」としている【 H25-10-B 】
は、正しいです。

特別加算って、もともと、昭和14年4月2日以後生まれを対象にして
いたんです。
だから、そこから5段階に設定されていて、昭和18年4月2日以後
生まれは、一律になっています。
ちなみに、平成6年改正で、対象が5年前倒しになり、昭和9年4月2日
以後生まれに拡大されました。

 

 

 

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令和5年-厚年法・問6-A「特別支給の老齢厚生年金」

2024-08-09 02:00:00 | 過去問データベース

 

今回は、令和5年-厚年法・問6-A「特別支給の老齢厚生年金」です。

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第2号厚生年金被保険者期間のみを有する昭和36年1月1日生まれの
女性で、特別支給の老齢厚生年金の受給資格要件を満たす場合、報酬
比例部分の支給開始年齢は64歳である。

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「特別支給の老齢厚生年金」に関する問題です。

次の問題をみてください。

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【 H19-2-B 】
昭和24年4月2日から昭和28年4月1日までの間に生まれた男子に
ついては、60歳台前半の老齢厚生年金の支給要件を満たした場合、
原則として報酬比例部分のみの60歳台前半の老齢厚生年金が支給
される。

【 H14-6-E 】
昭和24年4月2日以後に生まれた男子には、報酬比例部分相当の老齢
厚生年金が支給され、昭和36年4月2日以後に生まれた男子には、65
歳になるまで老齢厚生年金が支給されない。

【 H20-5-A[改題]】
昭和41年4月2日以後生まれの女子の、第1号厚生年金被保険者期間
に基づく老齢厚生年金の支給開始年齢は、原則として65歳である。

【 H12-10-E[改題]】
昭和26年4月2日に生まれた第1号厚生年金被保険者期間のみ有する
女子が60歳に達して受給権を取得した場合には、60歳以上63歳未満
までは報酬比例部分相当の特別支給の老齢厚生年金が、63歳以上65歳
未満までは特別支給の老齢厚生年金(定額部分と報酬比例部分)が、
65歳以降は老齢厚生年金と老齢基礎年金がそれぞれ支給される。

【 H29-10-B 】
昭和29年4月1日生まれの女性(障害の状態になく、第1号厚生年金
被保険者期間を120月、国民年金の第1号被保険者としての保険料
納付済期間を180月有するものとする。)が、特別支給の老齢厚生年金
における報酬比例部分を受給することができるのは60歳からであり、
また、定額部分を受給することができるのは64歳からである。なお、
支給繰上げの請求はしないものとする。

【 H26-9-C[改題]】
特別支給の老齢厚生年金について、第1号厚生年金被保険者期間(第3種
被保険者期間はない。)のみ30年ある、昭和39年4月2日生まれの女性
(障害等級に該当しない。)には定額部分は支給されず、63歳から報酬
比例部分のみが支給される。

【 H24-9-B[改題]】
第1号厚生年金被保険者期間に基づく60歳台前半の女性の老齢厚生年金
における定額部分の支給開始年齢は、昭和16年4月2日以降に生まれた
者から段階的に引き上げられ、昭和24年4月2日以降に生まれた者につ
いては、60歳から65歳に達するまでの間、定額部分が支給されなくなる。

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60歳台前半の老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金)に関する問題
です。

特別支給の老齢厚生年金は、もともと60歳から定額部分と報酬比例部分
とを併せて支給されていました。
これを、一般の男子については、昭和16年4月2日以後生まれの者から
支給開始年齢を段階的に引き上げることとしました。
で、まずは定額部分を2年で1歳ずつ引き上げることにしたので、8年
後の昭和24年4月2日以後生まれは、定額部分が支給されなくなります。
そして、その4年後の昭和28年4月2日以後に生まれた者については、
報酬比例部分の支給開始年齢を2年で1歳ずつ引き上げることにしたの
です。
それゆえ、8年後の昭和36年4月2日以後生まれの者は、原則として
特別支給の老齢厚生年金が支給されなくなります。

ですので、【 H19-2-B 】と【 H14-6-E 】は、正しいです。
女子も、基本的には同じように支給開始年齢が引き上げられますが、
第1号厚生年金被保険者である女子については、もともとの支給開始
年齢が55歳であったため、まず、それを60歳に引き上げるという
ことがあったので、60歳からの支給開始年齢の引上げは、男子より
5年遅れとなっています。
そのため、昭和41年4月2日以後生まれの女子は、第1号厚生年金
被保険者期間に基づく特別支給の老齢厚生年金は支給されないので、
【 H20-5-A[改題]】は正しいです。

【 H12-10-E[改題]】では、昭和26年4月2日に生まれた第1号
厚生年金被保険者期間のみ有する女子を取り上げていますが、一般の
男子の昭和21年4月2日生まれと同じ扱いになります。
昭和20年4月2日から昭和22年4月1日までの間に生まれた一般
の男子は、63歳になるまで報酬比例部分のみ支給され、63歳から定額
部分と報酬比例部分を併せた特別支給の老齢厚生年金が支給されます。
ということで、【 H12-10-E[改題]】も正しいです。

【 H29-10-B 】も第1号厚生年金被保険者期間を有する女子の
場合で、昭和29年4月1日生まれなら、「定額部分を受給することが
できるのは64歳から」とあるのは、正しいです。

【 H26-9-C[改題]】は、報酬比例部分の支給開始年齢が段階的に
引き上げられていく第1号厚生年金被保険者であり、又は第1号厚生
年金被保険者期間を有する女子についての出題で、昭和39年4月2日
から昭和41年4月1日までの間に生まれたものは、「64歳」から報酬
比例部分のみが支給されます。「63歳から」ではありません。誤りです。
そこで、この問題では、「被保険者期間が30年ある」とか「障害等級に
該当しない」とかの記述があります。これは、「障害者の特例」や「長期
加入者の特例」に該当しないということをいっているのです。
ですから、定額部分は支給されないという点は正しくなります。
この点を論点にしてくることもあり得るので、このような記述があっ
たら、注意しましょう。

それと、【 H24-9-B[改題]】は、勘違いに注意です!
「第1号厚生年金被保険者期間に基づく…女性」とありながら、引上げ
に係る生年月日が「一般の男子」や「第2号厚生年金被保険者期間、
第3号厚生年金被保険者期間又は第4号厚生年金被保険者期間を有する
女性」のものになっています。誤りです。

最初の【 R5-6-A 】は、
「第2号厚生年金被保険者期間のみを有する・・・女性」とあります。
この場合は、一般の男子と同じになるので、昭和34年4月2日から
昭和36年4月1日までの間に生まれたのであれば、報酬比例部分
の支給開始年齢は64歳なので、正しいです。

支給開始年齢、いろいろなパターンで出題されるので、どのような
パターンの出題にも対応できるようにしておく必要があります。

 

 

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令和5年-厚年法・問5-C「死亡の推定」

2024-08-02 02:00:00 | 過去問データベース

 

今回は、令和5年-厚年法・問5-C「死亡の推定」です。

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船舶が行方不明となった際、現にその船舶に乗っていた被保険者若しく
は被保険者であった者の生死が3か月間分からない場合は、遺族厚生
年金の支給に関する規定の適用については、当該船舶が行方不明になっ
た日に、その者は死亡したものと推定される。

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「死亡の推定」に関する問題です。

次の問題をみてください。

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【 H26-国年2-B 】
船舶に乗っていた者がその船舶の航行中に行方不明となり、その生死
が1か月間分からない場合には、死亡を支給事由とする給付の支給に
関する規定の適用については、行方不明となった日に、その者が死亡
したものと推定する。

【 H12-国年2-D 】
船舶が行方不明となった際、その船舶に乗っていた者の生死が6か月間
分からないとき、死亡を支給事由とする給付の支給に関して、行方不明
になった日にその者は死亡したものと推定する。

【 H22-国年4-D 】
船舶が行方不明になった際に現にその船舶に乗船し、行方不明となった
者の生死が分からない場合は、その船舶が行方不明となった日から3か
月を経過した日にその者は死亡したものと推定する。

【 H7-国年1-B 】
船舶が沈没し、現にその船舶に乗っていた者の生死が3か月間分からない
場合には、死亡を支給事由とする給付の支給に関する規定の適用について
は、その船舶が沈没した日から3か月を経過した日に、その者は、死亡し
たものと推定することとされている。

【 H14-国年9-E 】
船舶が沈没若しくは行方不明になった際現にその船舶に乗船し、行方
不明となった者の生死が3か月間分からない場合は、その船舶が沈没
若しくは行方不明となった日から3か月を経過した日に、その者は死亡
したものと推定する。

【 R元-厚年6-A 】
行方不明となった航空機に乗っていた被保険者の生死が3か月間わか
らない場合は、遺族厚生年金の支給に関する規定の適用については、
当該航空機の到着予定日から3か月が経過した日に当該被保険者が
死亡したものと推定される。

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「死亡の推定」に関する問題です。

まず、
【 H26-国年2-B 】では、「生死が1か月間分からない場合」
【 H12-国年2-D 】では、「生死が6か月間分からないとき」
に死亡の推定が行われるとしています。

死亡の推定は、生死が「3か月間」分からない場合に行われます。
ですので、いずれも誤りです。

これらの問題は、どれだけの期間が経過したら死亡の推定が行われるの
かを論点にしています。
そのほかの問題では、いつ死亡したものと推定するのかが論点です。

【 H22-国年4-D 】では、
「行方不明となった日から3か月を経過した日」
【 H7-国年1-B 】では、
「沈没した日から3か月を経過した日」
【 H14-国年9-E 】では、
「行方不明となった日から3か月を経過した日」
に、その者は死亡したものと推定するといずれも死亡と推定する時期を
「3か月経過した日」としています。

【 R元-厚年6-A 】は、厚生年金保険法の問題で、航空機に関する
ものですが、死亡と推定する時期を「航空機の到着予定日から3か月が
経過した日」としています。
国民年金法でも、厚生年金保険法でも、考え方は同じで、死亡の推定の
時期は、
● 船舶であれば、「船舶が沈没した日」や「船舶が行方不明となった日」、
 「その者が行方不明となった日」
● 航空機であれば、「航空機が墜落した日」や「航空機が行方不明となった
 日」、「その者が行方不明となった日」
つまり、事故が発生した日、その日に、その者は死亡したものと推定されます。
ということで、いずれも誤りです。

【 R5-厚年5-C 】も厚生年金保険法の問題ですが、これは正しいです。

「死亡の推定が行われるまでの期間」と「死亡と推定される日」
この2つの関係が混乱してしまうと・・・・・
間違えてしまうので、注意しましょう。

それと、死亡の推定については、労災保険法にも出てくるので、あわせて
確認しておきましょう。

 

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