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令和6年-雇保法・問4-A「離職証明書」

2025-01-10 02:00:00 | 過去問データベース


今回は、令和6年-雇保法・問4-A「離職証明書」です。

☆☆======================================================☆☆

事業主は、その雇用する労働者が離職した場合、当該労働者が離職の日に
おいて59歳未満であり、雇用保険被保険者離職漂(以下本問において「離
職票」という。)の交付を希望しないときは、事業所の所在地を管轄する公共
職業安定所長に対して雇用保険被保険者離職証明書(以下本問において「離職
証明書」という。)を添えずに雇用保険被保険者資格喪失届を提出することが
できる。

☆☆======================================================☆☆

「離職証明書」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆======================================================☆☆

【 H21-2-B 】
事業主は、その雇用する一般被保険者が離職したため雇用保険被保険者資格
喪失届を提出するに当たり、当該被保険者が雇用保険被保険者離職票の交付
を希望するならば、その者の離職時点における年齢にかかわりなく、雇用保険
被保険者離職証明書を添付しなければならない。

【 H18-2-D 】
満35歳の一般被保険者が、離職の際に、雇用保険被保険者離職票の交付を希望
しない場合、事業主は、雇用保険被保険者資格喪失届に雇用保険被保険者離職
証明書を添付しないことができる。

【 H16-1-E 】
事業主は、その雇用する満63歳の被保険者が離職した場合、本人が雇用保険
被保険者離職票の交付を希望しない場合であっても、その事業所の所在地を
管轄する公共職業安定所の長に、雇用保険被保険者離職証明書を添付して、
雇用保険被保険者資格喪失届を提出しなければならない。

【 H26-4-A 】
事業主がその事業所の所在地を管轄する公共職業安定所長へ雇用保険被保険
者資格喪失届を提出する場合、離職の日において59歳以上である被保険者
については、当該被保険者が雇用保険被保険者離職票の交付を希望しない
ときでも離職証明書を添えなければならない。

【 R4-3-E 】
事業主は、59歳以上の労働者が当該事業主の行う適用事業に係る被保険者
でなくなるとき、当該労働者が雇用保険被保険者離職票の交付を希望しな
いときでも資格喪失届を提出する際に雇用保険被保険者離職証明書を添え
なければならない。

【 H12-選択[改題]】
事業主は、被保険者が離職した場合、その翌日から起算して( A )日
以内に、( B )を添付して、事業所の所在地を管轄する公共職業安定
所長に( C )を提出しなければならない。ただし、当該被保険者が
( D )の交付を希望しない場合、その被保険者が離職の日において
( E )歳以上である場合を除き、( B )を添付しないことができる。

☆☆======================================================☆☆

「離職証明書」に関する問題です。
離職証明書の添付に関しては、過去に何度も出題されていますが、
ここに挙げた問題は、
資格喪失届に、離職証明書を添付しなければならないかどうか
というのが論点になっています。

では、規定ではどうなっているのかというと、

離職の日において59歳以上の被保険者については、
離職票の交付の希望の有無にかかわらず、
資格喪失届に離職証明書を添付しなければなりません。

一方、
離職の日において59歳未満の被保険者については、
離職票の交付を「希望しない」場合には、
資格喪失届に離職証明書を添付する必要はありません。
離職票の交付を「希望する」場合には、
資格喪失届に離職証明書を添付しなければなりません。

【 H21-2-B 】では、「交付を希望するならば」とあるので、離職時の
年齢に関係なく、添付しなければならないことになります。正しいです。

【 H18-2-D 】では、「満35歳の一般被保険者」が「交付を希望しない
場合」とあるので、この場合は、添付しなくても構わないので、正しいです。
【 R6-4-A 】も「59歳未満」、「交付を希望しない」とあるので、添付
しなくても構いません。正しいです。
【 H16-1-E 】では「満63歳の被保険者」
【 H26-4-A 】と【 R4-3-E 】では「59歳以上」とあるので、
離職票の交付の希望の有無にかかわらず、添付しなければなりません。
ですので、いずれも正しいです。

【 H12-選択[改題]】の答えは、
A : 10
B : 雇用保険被保険者離職証明書
C : 雇用保険被保険者資格喪失届 
D : 雇用保険被保険者離職票
E : 59
です。

離職証明書の添付が必要かどうか、
「59歳以上」という、この年齢をそのまま出題してくるってこともあります
が、事例的に出題してくることもあります。

それと、ここでは掲載していませんが、離職後に受給資格があるか否かに
よって、添付が必要かどうかなんてことを論点にしてくることもあります。

いずれにせよ、
「59歳以上」の場合は、必ず添付ですから。

 

 

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令和6年-雇保法・問1-E「学生等の適用」

2025-01-03 02:00:00 | 過去問データベース


今回は、令和6年-雇保法・問1-E「学生等の適用」です。

☆☆======================================================☆☆

学校教育法に規定する大学の夜間学部に在籍する者は、被保険者となるべき
他の要件を満たす限り被保険者となる。

☆☆======================================================☆☆

「学生等の適用」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆======================================================☆☆

【 H27-1-C 】
学校教育法第1条、第124条又は第134条第1項の学校の学生又は生徒で
あっても、休学中の者は、他の要件を満たす限り雇用保険法の被保険者と
なる。

【 H15-2-D 】
大学の昼間学生は、休学中であっても被保険者となることはない。

【 H25-1-B 】
学校教育法第1条、第124条又は第134条第1項の学校の学生又は生徒で
あっても、卒業を予定している者であって、適用事業に雇用され、卒業した
後も引き続き当該事業に雇用されることとなっているものは、雇用保険法
が適用される。

【 H22-1-D 】
短期大学の学生は、定時制ではなく昼間に開講される通常の課程に在学する
者であっても、適用事業に雇用される場合はすべて被保険者となる。

【 H8-1-E 】
学校教育法第1条にいう学校の学生、生徒等については、通信教育を受け
ている者又は大学の夜間学部の者については、被保険者となるが、高等
学校の夜間又は定時制の課程の者については、原則として被保険者となら
ない。

☆☆======================================================☆☆

「学生等の適用」に関する問題です。
雇用保険法では、「学校の学生又は生徒であって、厚生労働省令で定める者」
を適用除外としています。
この厚生労働省令で定める者というのは、
● 卒業を予定している者であって、適用事業に雇用され、卒業した後も引き
 続き当該事業に雇用されることとなっているもの
● 休学中の者
● 定時制の課程に在学する者
● 前記に準ずる者として厚生労働省職業安定局長が定めるもの
これらに該当する者「以外」の者です。
なので、これらに該当する者は、他の適用除外事由に該当しなければ、被保
険者となります。
一般の労働者と同じように働くことができますから。

ということで、【 H27-1-C 】は「他の要件を満たす限り雇用保険法の
被保険者となる」とあるので、正しいです。
これに対して、【 H15-2-D 】は誤りです。
休学中であれば、被保険者となり得るので。

【 H25-1-B 】に挙げる学生等は、その他の適用除外事由に該当しなけ
れば、雇用保険法が適用されます。
つまり、被保険者となります(正しい肢とされています)。

【 H22-1-D 】は、誤りです。
昼間学生については、適用事業に雇用される場合でも、適用除外事由に該当し
得るので、「すべて被保険者となる」わけではありません。
【 R6-1-E 】と【 H8-1-E 】では、夜間や定時制課程の学生等
挙げています。
昼間学生が夜間等において就労しても、原則として被保険者とはなりませんが、
大学の夜間学部や高等学校の夜間等の定時制の課程の者等については、適用
事業に雇用されていれば、被保険者となり得ます。
そのため、
「被保険者となるべき他の要件を満たす限り」とある【 R6-1-E 】は、
正しいです。
それと、この扱いは、大学と高等学校とで異なることはないので、高等学校
に関して「原則として被保険者とならない」とある【 H8-1-E 】は、
誤りです。

学生等が被保険者となるか否かについては、いろいろなパターンで出題する
ことができるので、どのような場合に被保険者になるのか、どのような場合に
適用除外となるのか、判断することができるようにしておきましょう。

 

 

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令和6年-雇保法・問1-C「被保険者資格」

2024-12-27 02:00:00 | 過去問データベース

 

今回は、令和6年-雇保法・問1-C「被保険者資格」です。

☆☆======================================================☆☆

労働者が長期欠勤して賃金の支払を受けていない場合であっても、被保険者
となるべき他の要件を満たす雇用関係が存続する限り被保険者となる。

☆☆======================================================☆☆

「被保険者資格」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆======================================================☆☆

【 H30-2-B 】
一般被保険者たる労働者が長期欠勤している場合、雇用関係が存続する限り
賃金の支払を受けていると否とを問わず被保険者となる。

【 H24-1-A 】
適用事業の事業主との間に雇用関係が存続していても、労働者が長期に
わたり欠勤していることにより賃金の支払を受けていない場合には、当該
労働者は被保険者とならない。

【 H12-2-C 】
労働者が長期欠勤している場合であっても、雇用関係が存続する限りは、
賃金の支払いを受けているか否かを問わず、被保険者の資格を失わない。

【 H8-1-D 】
労働者が長期欠勤している場合であっても、当該適用事業との間で雇用
関係が存続する限りは、賃金の支払を受けていると否とを問わず、被保険
者となる。

【 H4-1-B 】
労働者が長期欠勤し、賃金の支払を受けていない場合であっても、雇用関係
が存続する限り被保険者である。

【 R3-3-C 】
労働者が長期欠勤している場合であっても、雇用関係が存続する限り、賃金
の支払を受けているか否かにかかわらず、当該期間は算定基礎期間に含まれる。

【 H19-1-E 】
民間企業に勤務する被保険者が病気のため当該企業を長期にわたり欠勤し
ている場合でも、雇用関係が存続する限り、賃金の支払いを受けているか
否かにかかわりなく被保険者たる資格を失わず、この期間は基本手当の
算定基礎期間に算入される。

☆☆======================================================☆☆

労働者が長期欠勤している場合の被保険者資格に関する問題です。

雇用保険において、「被保険者」とは、適用事業に雇用される労働者であって、
適用除外事由に該当しないものです。
つまり、雇用関係があれば、被保険者となり得ます。

この雇用関係は、「労働者が事業主の支配を受けて、その規律の下に労働を
提供し、その対償として事業主から賃金、給与などの支払を受けている関係」
です。
ということは、賃金の支払がないと、雇用関係がないと判断できてしまうかも
しれませんが・・・・・
一時的に賃金を受けない状態が発生したとしても、それだけで、被保険者資格
は失いません。
すなわち、労働の対償として賃金を受けているということが雇用関係であって
も、賃金の支払を受け続けていることが被保険者資格存続の要件ではありません。
そのため、長期にわたり欠勤し、その間、賃金の支払がなくとも、被保険者たる
資格を失いません。

ということで、【 H24-1-A 】は誤りで、その他の問題は正しいです。

【 R3-3-C 】と【 H19-1-E 】では、その期間が算定基礎期間
となるか否かも論点にしています。
被保険者である期間でも、賃金の支払がない期間は、「被保険者期間」とし
ては算定されませんが、算定基礎期間には含まれます。

算定基礎期間は、単に「被保険者であった期間」ですから、その間の賃金
の支払状況は問われません。
なので、「算定基礎期間となる」という点も正しいです。

ここは、勘違いしやすいところなので、注意しておきましょう。

 

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令和6年-雇保法・問1-A「取締役の適用」

2024-12-20 02:00:00 | 過去問データベース

 

今回は、令和6年-雇保法・問1-A「取締役の適用」です。

☆☆======================================================☆☆

報酬支払等の面からみて労働者的性格の強い者と認められる株式会社の代表
取締役は被保険者となるべき他の要件を満たす限り被保険者となる。

☆☆======================================================☆☆

「取締役の適用」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆======================================================☆☆

【 R4-労基1-D 】
株式会社の代表取締役は、法人である会社に使用される者であり、原則として
労働基準法の労働者になるとされている。

【 H29-労基2-エ 】
株式会社の取締役であっても業務執行権又は代表権を持たない者は、工場長、
部長等の職にあって賃金を受ける場合には、その限りにおいて労働基準法
第9条に規定する労働者として労働基準法の適用を受ける。

【 H19-労基1-B 】
労働基準法でいう「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に
使用される者で賃金を支払われる者をいい、法人のいわゆる重役で業務
執行権又は代表権を持たない者が、工場長、部長の職にあって賃金を受ける
場合は、その限りにおいて同法第9条に規定する労働者である。

【 H13-労基1-C 】
労働基準法でいう「労働者」とは、職業の種類を問わず事業又は事務所に
使用される者で賃金を支払われる者をいい、株式会社の取締役である者は
労働者に該当することはない。

【 H28-労災1-B 】
法人のいわゆる重役で業務執行権又は代表権を持たない者が、工場長、部長
の職にあって賃金を受ける場合は、その限りにおいて労災保険法が適用される。

【 H30-雇保2-C 】
株式会社の取締役であって、同時に会社の部長としての身分を有する者は、
報酬支払等の面からみて労働者的性格の強い者であって、雇用関係がある
と認められる場合、他の要件を満たす限り被保険者となる。

【 H17-雇保1-A 】
株式会社の取締役は、同時に会社の従業員としての身分を有している場合で
あっても、役員報酬を支払われている限り委任関係とみなされ、被保険者と
なることはない。

☆☆======================================================☆☆

労働基準法の「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業に使用される者で、
賃金を支払われる者です。
そうすると、法人の代表者等で、事業主体との関係において使用従属の関係
に立たないものについては、使用されるものではありませんから、労働者とは
なりません。
これに対して、重役等で、業務執行権又は代表権を持たず、工場長や部長等の
職にあって賃金を受ける者は、その限りにおいて、労働基準法の「労働者」に
該当します。

したがって、
【 R4-労基1-D 】は誤りで、
【 H29-労基2-エ 】、【 H19-労基1-B 】は正しいです。

【 H13-労基1-C 】では
「株式会社の取締役である者は労働者に該当することはない」
としています。
前述のとおり、労働者に該当することがあるので、誤りです。

では、労災保険ではどうかといえば、労災保険は、労働基準法の災害補償
を保険制度化したものですから、その適用を受ける労働者の範囲は、労働
基準法と同じです。つまり、労働基準法の労働者であれば、労災保険法が
適用されるということです。
なので、【 H28-労災1-B 】は、正しいです。

それと、雇用保険でも、基本的な考え方は同じです。
代表取締役は被保険者となりませんが、従業員としての身分を有しており、
報酬支払等の面から労働者的性格が強い者であって、雇用関係があると認め
られる者は、雇用保険法が適用されます。
つまり、所定の要件を満たせば、被保険者となります。
したがって、【 H30-雇保2-C 】は正しく、【 R6-雇保1-A 】と
【 H17-雇保1-A 】は誤りです。

ということで、取締役が労働者として適用されるかどうかという点に
ついては、横断的に押さえておきましょう。

 

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令和6年-労災法・問7-エ「受給権の保護」

2024-12-13 02:00:00 | 過去問データベース

 

今回は、令和6年-労災法・問7-エ「受給権の保護」です。

☆☆======================================================☆☆

労働者が退職したときは、保険給付を受ける権利は消滅する。

☆☆======================================================☆☆

「受給権の保護」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆======================================================☆☆

【 H29-7-D 】
保険給付を受ける権利は、労働者の退職によって変更されることはない。

【 H27-6-イ 】
労災保険給付を受ける権利は、労働者の退職によって変更されることはない。

【 H16-3-B[改題]】
休業補償給付、複数事業労働者休業給付又は休業給付は、業務上の事由、
複数事業労働者の2以上の事業の業務を要因とする事由又は通勤による
傷病の療養のため労働することができないために賃金を受けない場合に
支給されるものであるから、労働契約の期間満了等により労働関係が
消滅した後においても、当該傷病による療養のため労働することができ
ないために賃金を受けない状態にある限り、支給される。

【 H8-2-D 】
休業補償給付を受ける労働者について、当該労働者が従事する事業の
廃止に伴い労働関係が終了した場合又は本人の自己都合で会社を退職
した場合でも、当該休業補償給付は引き続き支給される。

☆☆======================================================☆☆

「受給権の保護」に関する問題です。

保険給付を受ける権利は、労働者という身分があることを前提として生じ
ますが、いったん発生した保険給付を受ける権利は、その身分を失ったと
しても、変更されません。
つまり、労働者の退職によって変更されることはありません。
これは、労働者が業務上の事由により負傷又は疾病を被った場合に、保険
給付が雇用関係の存在している期間中についてのみ補償され、退職等の理由
により雇用関係がなくなった場合は補償されないということになると被災
労働者の被った損害の一部しかてん補されないことになるため、退職を理由
により使用者との間に雇用関係がなくなったとしても、支給事由が存在する
限り保険給付を受けることができるようにしたものです。

【 H16-3-B[改題]】と【 H8-2-D 】に関しては具体的な出題で、
退職の事由が挙げられていますが、退職の事由を問わず、保険給付を受ける
権利は変更されません。
ですので、いずれの場合も、支給要件を満たしているのであれば、休業補償
給付は引き続き支給されます。

ということで、【 R6-7-エ 】は誤りですが、その他の問題は正しいです。

このような規定は、具体的な内容で出題してくることがあり、もっともらしい
言い訳を問題文に組み込んで誤っている内容を正しく見せようという文章と
して出題されることがあるので、そのような出題があった場合、惑わされない
ようにしましょう。

 

 

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令和6年-労災法・問2-E「通勤による疾病」

2024-12-06 02:00:00 | 過去問データベース

 

今回は、令和6年-労災法・問2-E「通勤による疾病」です。

☆☆======================================================☆☆

長年営業に従事している労働者が、通常通りの時刻に通常通りの経路を徒歩
で勤務先に向かっている途中に突然倒れ、急性心不全で死亡した場合、通勤
災害と認められる。

☆☆======================================================☆☆

「通勤による疾病」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆======================================================☆☆

【 H21-1-D 】
通勤による疾病は、通勤による負傷に起因する疾病その他厚生労働省令で
定める疾病に限られ、その具体的範囲は、労災保険法施行規則に基づき厚生
労働大臣が告示で定めている。

【 H20-2-A 】
通勤による疾病については、通勤による負傷に起因する疾病のほか、業務上
の疾病の範囲を定める厚生労働省令の規定が準用される。

【 H13-1-C 】
通勤による疾病は、厚生労働省令で定めるものに限られる。

【 H17-2-A 】
業務上の事由による疾病として療養補償給付の対象となる疾病の範囲は、
厚生労働省令(労働基準法施行規則別表第1の2)で定められており、
通勤による疾病として療養給付の対象となる疾病の範囲も、この厚生労働
省令の規定が準用される。

【 H14-2-D 】
通勤による疾病の範囲は、通勤による負傷に起因する疾病のほか、業務上の
疾病の範囲に準じて厚生労働大臣告示において具体的に疾病の種類が列挙
されている。

【 H19-1-B 】
通勤による疾病とは、通勤途上で生じた疾病その他厚生労働省令で定める
疾病をいう。

【 H18-選択 】
労働者災害補償保険法による保険給付の事由となる業務災害及び通勤災害
のうち業務上の疾病の範囲は、( A )で、通勤災害のうち通勤による
疾病の範囲は、( B )で定められている。
業務上の疾病として( A )の別表第1の2に掲げられている疾病のうち
同表第11号に掲げられている疾病は、その他( C )である。
通勤による疾病として( B )に定められている疾病は、( D )に
起因する疾病その他( E )である。

☆☆======================================================☆☆

「通勤による疾病」に関する問題です。
業務上の疾病に関する問題もよく出ますが、通勤による疾病に関しても、
かなり出題されています。

通勤による疾病について、「厚生労働省令で定めるものに限る」とされて
おり、その厚生労働省令では、「通勤による負傷に起因する疾病その他通勤
に起因することの明らかな疾病」と定めています。

で、この「厚生労働省令」ですが、
これは、「労働者災害補償保険法施行規則」です。

業務災害は労働基準法の災害補償がベースになっていますが、通勤災害は、
労災保険で独自に保護していますから、根拠は、労災保険法にあるので、
疾病の範囲も「労働者災害補償保険法施行規則」で規定しています。
なので、業務上の疾病の範囲を定める厚生労働省令の規定が準用されて
いるのではありません。

それと、疾病の具体的範囲を、
「厚生労働大臣が告示で定めている」ということはありませんし・・・・
「厚生労働大臣告示において具体的に疾病の種類が列挙されている」
ってこともありません。

ということで、
【 H21-1-D 】、【 H20-2-A 】、【 H17-2-A 】、
【 H14-2-D 】は、誤り。
【 H13-1-C 】は、正しいです。
それと、
【 H19-1-B 】には、「通勤途上で生じた疾病」とありますが、これら
すべてが「通勤による疾病」に該当するわけではありません。
通勤途上であっても、通勤に起因しないことで生じる疾病もありますから。
これを具体的に出題したのが、【 R6-2-E 】です。
「通勤による疾病」とは、通勤による負傷又は通勤に関連ある諸種の状態
(突発的又は異常なできごと等)が原因となって発病したことが医学的に
明らかに認められるものをいいます。【 R6-2-E 】の労働者の通勤途中
に発生した急性心不全による死亡については、特に発病の原因となるような
通勤による負傷又は通勤に関連する突発的なできごと等が認められません。
そのため、「通勤に通常伴う危険が具体化したもの」とは認められません。
【 H19-1-B 】と【 R6-2-E 】は、誤りです。

【 H18-選択 】の答えは
A:労働基準法施行規則
B:労働者災害補償保険法施行規則
C:業務に起因することの明らかな疾病
D:通勤による負傷
E:通勤に起因することの明らかな疾病
です。

とにかく、これだけ出ていますから、今後、また出題されるでしょう。
ということで、ここは、しっかりと押さえておきましょう。
絶対に、ハズせませんよ。

 

 

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令和6年-労災法・問2-D「業務災害の認定」

2024-11-29 02:00:00 | 過去問データベース

 

今回は、令和6年-労災法・問2-D「業務災害の認定」です。

☆☆======================================================☆☆

労働者が、退勤時にタイムカードを打刻し、更衣室で着替えをして事業場施設
内の階段を降りる途中、ズボンの裾が靴に絡んだために足を滑らせ、階段を
5段ほど落ちて腰部を強打し負傷した場合、通勤災害とは認められない。

☆☆======================================================☆☆

「業務災害の認定」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆======================================================☆☆

【 H6-1-D 】
所定の勤務を終えてタイムレコーダーを打刻した後、会社内の2階更衣室で
着替えをしてから階段を歩いて降りていたところ、ズボンの裾が靴にからん
だため足を滑らし、階段の5~6段目より落ちて負傷した。本件は、通勤災害
である。

【 H26-1-C 】
事業場施設内における業務に就くための出勤又は業務を終えた後の退勤で
「業務」と接続しているものは、業務行為そのものではないが、業務に通常
付随する準備後始末行為と認められている。したがって、その行為中の災害
については、労働者の積極的な私的行為又は恣意行為によるものと認められず、
加えて通常発生しうるような災害である場合は、業務上とされている。

☆☆======================================================☆☆

「業務災害の認定」に関する問題です。

【 R6-2-D 】と【 H6-1-D 】は事例問題で、【 H26-1-C 】
は、その解説のような内容です。

事業場施設内における業務に就くための出勤又は業務を終えた後の退勤で
「業務」と接続しているものは、業務を行っているのではないので、当然、
業務行為そのものではありません。
ただ、業務に通常付随する準備後始末行為と認められます。
そして、その災害が労働者の積極的な私的行為又は恣意行為によるものとは
認められず、通常発生しうるような災害である場合は、事業主の支配下に伴う
危険が現実化した災害であると認められます。
つまり、業務災害として取り扱われます。

ということで、【 H26-1-C 】は正しいです。

事例問題の【 H6-1-D 】では通勤災害としていますが、事業場内にいる
ことから、通勤の経路上(「住居」と「就業の場所」との間)ではなく、通勤
災害とはなりません。誤りです。
【 R6-2-D 】は正しいです。

これまでは択一式でしか出題がありませんが、このような内容が選択式で出題
されることもあり得るので、基本的な考え方とキーワードは押さえておきま
しょう。

 

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令和6年-労災法・選択「障害補償給付/併合繰上げ」

2024-11-22 02:00:00 | 過去問データベース

 

今回は、令和6年-労災法・選択「障害補償給付/併合繰上げ」です。

☆☆======================================================☆☆

労災保険法施行規則第14条第2項は、「別表第1に掲げる身体障害が2以上
ある場合には、重い方の身体障害の該当する障害等級による。」と規定するが、
同条第3項柱書きは、「第( A )級以上に該当する身体障害が2以上あるとき」
は「前2項の規定による障害等級」を「2級」繰り上げた等級(同項第2号)、
「第( B )級以上に該当する身体障害が2以上あるとき」は「前2項の規定
による障害等級」を「3級」繰り上げた等級(同項第3号)によるとする。

☆☆======================================================☆☆

「障害補償給付/併合・併合繰上げ」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆======================================================☆☆

【 H12-4-B 】
障害補償給付を支給すべき障害が二以上ある場合の障害等級は、重い方の
障害等級によるが、次の場合には、重い方の障害をそれぞれ当該各号に掲
げる等級だけ繰り上げた等級による。
(1) 第13級以上の障害が二以上あるとき   1級
(2) 第9級以上の障害が二以上あるとき   2級
(3) 第6級以上の障害が二以上あるとき   3級

【 H30-6-E 】
障害等級表に該当する障害が2以上あって厚生労働省令の定める要件を
満たす場合には、その障害等級は、厚生労働省令の定めに従い繰り上げた
障害等級による。具体例は次の通りである。
(1) 第5級、第7級、第9級の3障害がある場合     第3級
(2) 第4級、第5級の2障害がある場合         第2級
(3) 第8級、第9級の2障害がある場合         第7級

【 H21-6-C 】
障害等級表に該当する障害が2以上あって厚生労働省令の定める要件を
満たす場合には、その障害等級は、厚生労働省令の定めるところに従い繰り
上げた障害等級による。繰り上げた障害等級の具体例を挙げれば、次の
とおりである。
(1) 第8級、第11級及び第13級の3障害がある場合 第7級
(2) 第4級、第5級、第9級及び第12級の4障害がある場合 第1級
(3) 第6級及び第8級の2障害がある場合 第4級

【 H4-3-D 】
同一業務災害により、1手の中指を失い(障害等級第11級の身体障害)、
かつ、3歯に対し歯科補てつを加えた(障害等級第14級の身体障害)
場合は、障害等級第10級の障害補償一時金が支給される。

【 R5―2 】
業務上の災害により、ひじ関節の機能に障害を残し(第12級の6)、かつ、
四歯に対し歯科補てつを加えた(第14級の2)場合の、障害補償給付を
支給すべき身体障害の障害等級として正しいものはどれか。
A 併合第10級    B 併合第11級    C 併合第12級
D 併合第13級    E 併合第14級

【 H8-記述 】
障害の系列を異にする身体障害について、障害等級が第( B )級以上
に該当するものが2以上あるときは、重い方の障害等級を2級だけ繰り
上げた障害等級により、障害等級が第( C )級以上に該当するものが
2以上あるときは、重いほうの障害等級を3級だけ繰り上げた障害等級に
よることを原則とする。

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「障害等級の併合・併合繰上げ」に関する問題です。
この規定については、ご覧のように、とにかく、よく出題されます。
出題の形式も様々で、記述式や選択式からの出題があり、択一式からの出題
もあり、択一式では1問構成の場合もあるし、単に1肢としての出題もあり
ます。

「障害等級の併合繰上げ」については、
複数の身体障害を残し、かつ、第13級以上の障害が2以上あるときは、その
障害等級に応じて重いほうの身体障害の等級を次のように繰り上げます。

1. 第13級以上の障害が2以上あるとき:1級繰り上げる。
2. 第8級以上の障害が2以上あるとき: 2級繰り上げる。
3. 第5級以上の障害が2以上あるとき:3級繰り上げる。

ですので、【 H12-4-B 】は、誤りです。
「第9級」とあるのは「第8級」、「第6級」とあるのは「第5級」です。

障害の系列を異にする身体障害が2以上あるとき、それらを併せた状態と
しての等級を定めることは、難しい面があるので、このような基準を設けて、
決定するようにしています。

そこで、【 H30-6-E 】と【 H21-6-C 】では、事例として3つの
パターンを挙げていますが、【 H30-6-E 】の(2)の場合、前記の3.に該当
するので、第4級を3級繰り上げた第1級となるため、誤りです。

【 H21-6-C 】については、
(1) 第8級、第11級及び第13級の3障害がある場合は、
 前記1.に該当するので、第8級を1級繰り上げ、第7級となります。
(2) 第4級、第5級、第9級及び第12級の4障害がある場合は、
 前記3.に該当するので、第4級を3級繰り上げ、第1級となります。
(3) 第6級及び第8級の2障害がある場合は、
 前記2.に該当するので、第6級を2級繰り上げ、第4級となります。
ということで、正しいです。

【 H4-3-D 】は、一方の障害が第14級です。
この場合、繰上げは行いません。
第13級以上の障害に第14級の障害を加えても、1つ上の等級として評価
するほどの状態にはならないので、繰上げを行いません。
【 H4-3-D 】では1級繰り上げた内容となっているので、誤りです。
【 R5―2 】も一方の障害が第14級の場合なので、答えは「C 併合
第12級」です。

【 R6-記述 】の答えは、「A:8 B:5」です。

【 H8-記述 】の答えは、「B:8 C:5」です。

さすがに、これだけ出題されていますから、今後も、繰り返し出題される
でしょう。ということで、労災保険において、この等級は、優先して覚える
べきものの1つといえます。
この問題が出たときに間違えるようだと、はっきりいって、他の受験生に
1点ハンディをあげたようなものですから。
絶対に、間違えないようにしましょう。

 

 

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令和6年-安衛法・問10-B「計画の届出」

2024-11-15 02:00:00 | 過去問データベース

 

今回は、令和6年-安衛法・問10-B「計画の届出」です。

☆☆======================================================☆☆

事業者は、建設業に属する事業の仕事のうち重大な労働災害を生ずるおそれが
ある特に大規模な仕事で、厚生労働省令で定めるものを開始しようとするとき
は、その計画を当該仕事の開始の日の30日前までに、厚生労働省令で定める
ところにより、都道府県労働局長に届け出なければならない。

☆☆======================================================☆☆

「計画の届出」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆======================================================☆☆

【 H7-9-E 】
事業者は、一定の動力プレスを設置しようとする場合には、その計画を設置
の30日前までに所轄都道府県労働局長に届け出なければならない。

【 H25-9-A 】
事業者は、労働安全衛生法第88条第2項の規定に基づき、建設業に属する
事業の仕事のうち重大な労働災害を生ずるおそれがある特に大規模な仕事で、
厚生労働省令で定めるものを開始しようとするときは、その計画を当該仕事
の開始の日の30日前までに厚生労働大臣に届け出なければならず、厚生労働
大臣は届出のあった当該仕事の計画のうち、高度の技術的検討を要するもの
について審査をし、審査の結果必要があると認めるときは、当該届出をした
事業者の意見をきいた上で、届出をした事業者に対し、労働災害の防止に関す
る事項について必要な勧告をすることができる。

【 H10-8-B[改題]】
建設業に属する事業の仕事のうち、高さが300メートル以上の塔の建設の
仕事を開始しようとする事業者は、その計画を当該仕事の開始の日の14日前
までに、厚生労働大臣に届け出なければならない。

【 H8-10-E 】
石綿が吹きつけられている耐火建築物又は準耐火建築物における石綿の除去
の作業を行う仕事を開始しようとするときは、その計画を当該仕事の開始の
日の30日前までに、所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。

【 H18-10-E 】
建設業に属する事業者は、石綿等が吹き付けられている耐火建築物又は準
耐火建築物における石綿等の除去の作業を行う仕事を開始しようとするとき
は、その計画を当該仕事の開始の日の30日前までに、所轄労働基準監督
署長に届け出なければならない。

【 H10-8-E[改題]】
厚生労働大臣は、届出のあった計画のうち、高度の技術的検討を要するもの
について、労働政策審議会の意見を聴いて審査を行い、審査の結果必要がある
と認めるときは、その届出をした事業者に対し、労働災害の防止に関する事項
について必要な勧告又は要請をすることができる。

☆☆======================================================☆☆

労働安全衛生法では、事業者に対し、一定の機械等の設置や一定の仕事の計画
等について届出を義務づけています。
で、この届出は
(1) 一定の機械等の設置等に係る計画の届出
(2) 大規模な建設業の仕事に係る計画の届出
(3) 一定の建設業等の仕事に係る計画の届出
の3つがあります。

【 H7-9-E 】は(1)の届出についてですが、届出先が誤っています。
「所轄都道府県労働局長」ではなく、「所轄労働基準監督署長」に届け出な
ければなりません。
3つの届出のうち、(2)は厚生労働大臣に、そのほかは所轄労働基準監督署長
に届け出なければなりません。「都道府県労働局長」に届け出るものはない
ので、この点、注意しておきましょう。

【 R6-10-B 】、【 H25-9-A 】、【 H10-8-B[改題]】の3問は、
(2)の届出についてです。
届出先について、【 R6-10-B 】は「都道府県労働局長」とあるので誤り
です。
他の2問はいずれも「厚生労働大臣」とあり、正しいのですが、届出期限に
ついて、「30日前までに」と「14日前までに」というように異なっています。
正しいのは、「30日前までに」です。
【 H10-8-B[改題]】は、誤りです。

【 H8-10-E 】と【 H18-10-E 】は、(3)の届出についてです。
で、いずれも届出期限が「30日前までに」としていますが、誤りです。
この届出は、「14日前までに」です。
3つの届出で、この(3)の届出だけが、「14日前まで」で、そのほかは「30日
前まで」です。この違いも、このように何度も論点にされているので、間違え
ないようにしないといけない箇所です。

ということで、3つの届出を区別できるようにしておきましょう。

それと、もう一つ、
【 H10-8-E[改題]】ですが、こちらは届出先や期限は論点ではありま
せん。
【 H25-9-A 】の後半部分も、そうです。
現状の規制を超えているような仕事が行われる場合、そのまま行わせてよい
のかどうか、しっかりとした確認をし、もし問題があるようであれば、対策
を採らなければなりません。ですので、厚生労働大臣は、届出のあった当該
仕事の計画のうち、高度の技術的検討を要するものについて審査をし、審査
の結果必要があると認めるときは、当該届出をした事業者の意見をきいた上
で、届出をした事業者に対し、労働災害の防止に関する事項について必要な
勧告をすることができるようにしています。
【 H25-9-A 】は、正しいです。
【 H10-8-E[改題]】では、審査に関して、「労働政策審議会の意見を
聴いて」とありますが、意見を聴くところが違います。意見を聴くのは、
「学識経験者」です。したがって、【 H10-8-E[改題]】は誤りです。

届出先や届出期限は、出題頻度が高いので、当然、押さえるでしょうが、
それしか見ていないと、このような問題が出たとき、対応することができ
ないなんてことにもなりかねません。
それを考えると、できれば、この点も押さえておくとよいでしょう。

 

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令和6年-安衛法・問9-A「長時間労働者に対する面接指導」

2024-11-08 02:00:00 | 過去問データベース

 

今回は、令和6年-安衛法・問9-A「長時間労働者に対する面接指導」です。

☆☆======================================================☆☆

労働安全衛生法第66条の8第1項において、事業者が医師による面接指導を
行わなければならないとされている労働者の要件は、休憩時間を除き1週間
当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が一月当たり
80時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる者(所定事由に該当する労働者
であって面接指導を受ける必要がないと医師が認めたものを除く。)である。

☆☆======================================================☆☆

「長時間労働者に対する面接指導」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆======================================================☆☆

【 R2-8-A 】
事業者は、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合に
おけるその超えた時間が1月当たり60時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認め
られる労働者から申出があった場合は、面接指導を行わなければならない。

【 H25-8-A[改題]】
事業者は、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合に
おけるその超えた時間が1月当たり80時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認め
られる労働者であって、法定の除外事由に該当しないものに対し、労働安全
衛生規則で定めるところにより、医師による面接指導を行わなければならない。

【 H21-9-A[改題]】
事業者は、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合に
おけるその超えた時間が1月当たり80時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認め
られる労働者に対しては、本人の申出の有無にかかわらず、面接指導を実施し
なければならない。

【 H18-選択[改題]】
労働安全衛生法第66条の8の規定に基づき、事業者は、休憩時間を除き
1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が
1か月当たり80時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる労働者に対し、
当該労働者の申出により、医師による面接指導(問診その他の方法により
心身の状況を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行うことを
いう。)を行わなければならない。また、労働安全衛生規則第52条の3第
4項においては、産業医は、当該労働者に対して、当該申出を行うよう
( E )することができる旨規定されている。

【 H19-10-A 】
労働安全衛生法第66条の8第1項に規定するいわゆる長時間労働者に対する
面接指導に関し、産業医は、所定の要件に該当する労働者に対して、面接指導
の申出を行うよう勧奨することができる。

☆☆======================================================☆☆

「長時間労働者に対する面接指導」に関する問題です。

【 R6-9-A 】から【 H21-9-A[改題]】までの4問は、長時間
労働者に対する面接指導の実施に関する問題で、対象となる労働者の要件を
論点にしています。
この要件の1つに「休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた
場合におけるその超えた時間」の状況があります、
この時間を【 R2-8-A 】では「60時間」、他の3問では「80時間」と
しています。
正しいのは「80時間」です。
面接指導の対象となる労働者は、「休憩時間を除き1週間当たり40時間を
超えて労働させた場合におけるその超えた時間が1月当たり80時間を超え、
かつ、疲労の蓄積が認められる労働者」です。
したがって、【 R2-8-A 】は誤りで、他の3問は、この点は正しいです。

そこで、この要件に該当する労働者すべてについて、事業者が面接指導を行わ
なければならないのかといえば、そうではありません。
労働者本人の申出があった場合に、事業者が行わなければならないものです。
そのため、「本人の申出の有無にかかわらず」とある【 H21-9-A[改題]】
は誤りです。

【 R6-9-A 】は申出の記載がありませんが、「労働安全衛生法第66条
の8第1項」に定める要件を問うものなので、記載がなくても正しいです。
【 H25-8-A[改題]】も、申出について、直接的記載はありませんが、
「労働安全衛生規則で定めるところにより」とあります。申出に基づき行う
ことは、労働安全衛生規則に規定されているので、正しいと判断して構わない
ことになります。
申出に基づくという点、労働者の申出の有無にかかわらず要件に該当する
労働者に対して行わなければならない「研究開発に係る業務に従事する
労働者に対する面接指導」とは違っているので、注意しておきましょう。

【 H18-選択[改題]】と【 H19-10-A 】は、論点が異なります。
前述したように、長時間労働者に対する面接指導は、労働者の申出により行わ
れるのですが、労働者は、言い出し難いということがあります。
そうなると、要件に該当していたとしても申出をしないということが考えら
れます。
そこで、産業医が、労働者に対して「面接指導の申出を行うよう勧奨すること
ができる」ようにしています。
産業医に勧奨されたということですと、申出がしやすくなりますから。

ということで、【 H19-10-A 】は正しく、【 H18-選択[改題]】の
答えは「勧奨」です。

【 H18-選択[改題]】では、面接指導の要件の部分は、問題文にあります
が、空欄はありません。
ただ、今後、「80時間」とか、「疲労の蓄積」なんて部分が空欄になるって
こともあり得るので、出題されたときは、確実に空欄を埋められるようにして
おきましょう。

 

 

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令和6年-安衛法・選択「労働者死傷病報告」

2024-11-01 02:00:00 | 過去問データベース

 

今回は、令和6年-安衛法・選択「労働者死傷病報告」です。

☆☆======================================================☆☆

事業者は、労働者が労働災害その他就業中又は事業場内若しくはその付属建設物
内における負傷、窒息又は急性中毒により死亡し、又は休業(休業の日数が4日
以上の場合に限る。)したときは、( E )、所轄労働基準監督署長に報告しなけ
ればならない。

☆☆======================================================☆☆

「労働者死傷病報告」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆======================================================☆☆

【 H25-9-D[改題]】
労働者が事業場内における負傷により休業の日数が2日の休業をしたときは、
事業者は、遅滞なく、電子情報処理組織を使用して、所定の事項を所轄労働
基準監督署長に報告しなければならない。

【 H4-8-C[改題]】
事業者は、労働者が労働災害で死亡し、又は4日以上休業したときは、遅滞
なく、労働災害の発生状況等を労働基準監督署長に報告しなければならない。

【 H20-9-A[改題]】
事業者は、労働者が事業場内において負傷、窒息又は急性中毒により休業した
日数が3日であった場合、その労働者死傷病報告を所轄労働基準監督署長に
行わなければならない。

【 H16-8-C[改題]】
派遣中の労働者が派遣就業中に労働災害により死亡し、又は休業した場合に
おける労働安全衛生規則第97条の規定に基づく労働者死傷病報告は、派遣先
の事業者のみが行えば足りる。

☆☆======================================================☆☆

事業者は、労働者が労働災害その他就業中又は事業場内もしくはその附属
建設物内における負傷、窒息又は急性中毒により死亡し、又は休業したとき
は、電子情報処理組織を使用して、所定の事項を所轄労働基準監督署長に
報告しなければなりません。

この報告については、原則として、「遅滞なく」行うこととされています。
この点が、【 R6-選択 】で出題されていて、答えは「遅滞なく」です。

ただ、報告期限については一律ではなく、休業日数が4日未満の場合(労災
保険の休業補償給付が支給されない程度の休業の場合)は、事業者は、1月
から3月まで、4月から6月まで、7月から9月まで及び10月から12月
までの期間(四半期ごと)における当該事実について、それぞれの期間にお
ける最後の月の翌月末日までに、電子情報処理組織を使用して、所定の事項を
所轄労働基準監督署長に報告しなければならないとされています。

【 H25-9-D[改題]】では、「休業の日数が2日」とあるので、報告期限
は、「遅滞なく」ではありませんから、誤りです。

【 H4-8-C[改題]】は、「死亡し、又は4日以上休業」で、「遅滞なく」
とあるので、正しいです。

では、【 H20-9-A[改題]】ですが、こちらは、報告期限について記載
はありません。論点ではないためです。休業した日数が3日であっても、報告
が必要かどうかということを論点にしたもので、休業日数が4日未満であっ
ても、報告は必要です。したがって、正しいです。


それと【 H16-8-C[改題]】、こちらは、派遣労働者の労働災害について、
派遣元事業者に報告義務があるのか、派遣先事業者に報告義務があるのかを
論点にした問題で、「派遣先の事業者のみ」とあります。誤りです。
派遣先の事業者だけでなく、派遣元の事業者も報告義務があります。
つまり、どちらも、報告をしなければならないということです。

届出については、その期限が論点にされやすいですが、そもそも報告が必要
かどうかとか、派遣労働者の場合はどちらが報告するのか、このような点も
論点にされているので、期限だけでなく、これらの点も知っておきましょう。

 

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令和6年-労基法・問3-C「賠償予定の禁止」

2024-10-25 02:00:00 | 過去問データベース

 

今回は、令和6年-労基法・問3-C「賠償予定の禁止」です。

☆☆======================================================☆☆

使用者が労働者に対して損害賠償の金額をあらかじめ約定せず、現実に生じた
損害について賠償を請求することは、労働基準法第16条が禁止するところでは
ないから、労働契約の締結に当たり、債務不履行によって使用者が損害を被っ
た場合はその実損害額に応じて賠償を請求する旨の約定をしても、労働基準法
第16条に抵触するものではない。

☆☆======================================================☆☆

「賠償予定の禁止」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆======================================================☆☆

【 R4-5-C 】
労働基準法第16 条のいわゆる「賠償予定の禁止」については、違約金又は
あらかじめ定めた損害賠償額を現実に徴収したときにはじめて違反が成立
する。

【 H23-2-C 】
使用者は、労働契約の締結において、労働契約の不履行について違約金を
定めることはできないが、労働者が不法行為を犯して使用者に損害を被ら
せる事態に備えて、一定金額の範囲内で損害賠償額の予定を定めることは
できる。

【 H10-2-C 】
運送会社がトラックの運転手を雇い入れる際、「故意又は重大な過失により
会社に損害を与えた場合、損害賠償を行わせることがある」旨の契約を締結
することは、禁止されている。

【 H30-5-B 】
債務不履行によって使用者が損害を被った場合、現実に生じた損害について
賠償を請求する旨を労働契約の締結に当たり約定することは、労働基準法第
16条により禁止されている。

【 H12-2-A 】
使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め又は損害賠償額を予定
する契約をしてはならないが、実際に労働者の債務不履行により被った
損害の賠償を請求することは禁止されていない。

【 H5-4-E 】
使用者は、労働契約の不履行について損害賠償を請求することはできない。

【 H20-1-B 】
使用者は、労働契約の不履行について、労働者に対し損害賠償を請求して
はならない。

☆☆======================================================☆☆

「賠償予定の禁止」に関する問題です。

労働基準法16条では、
「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定
する契約をしてはならない」
と規定しています。

ということは、「労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を
予定する契約」を締結すれば、その時点で、同条違反となります。
つまり、損害賠償額を現実に徴収したときに違反となるのではないので、
【 R4-5-C 】は誤りです。

では、その契約内容について、
【 H23-2-C 】の「一定金額の範囲内で損害賠償額の予定を定める」と
いうのは、「損害賠償額を予定する契約」ですから、そのような定めをする
ことはできません。誤りです。

【 H10-2-C 】の場合は、「損害賠償を行わせることがある」旨の契約を
締結することとあります。
【 H30-5-B 】では、「現実に生じた損害について賠償を請求する」旨
を労働契約の締結に当たり約定することとあります。
これらは、いずれも「額」を定めているのではないので、「損害賠償額を予定
する契約」ではありません。
「賠償予定の禁止」の規定では、「金額を予定すること」を禁止するのであっ
て、現実に生じた損害について賠償を請求することを禁止するものではありま
せん。

そのため、これらの事項を労働契約に定めることは禁止されていないので、
いずれも誤りです。
一方、【 R6-3-C 】では、「損害を被った場合はその実損害額に応じて
賠償を請求する旨の約定をしても、労働基準法第16条に抵触するものでは
ない」とあるので、正しいです。

【 H12-2-A 】の「労働者の債務不履行により被った損害の賠償を請求
すること」、これは、「損害賠償額を予定する契約」を締結したのではなく、
損害があったから請求をするというだけですので、禁止されていません。
正しいです。

「損害賠償額を予定する契約」をすると、実損額にかかわらず、その額を賠償
しなければならなくなってしまうので、そのような契約を禁止しています。
一方、現実に生じた損害に対して損害賠償請求をすること、これがダメだと
いうことですと、使用者サイドのほうに大きな負担を強いることになってし
まいかねないので、労働基準法では請求することを禁止していません。
ですので、【 H5-4-E 】と【 H20-1-B 】は、誤りです。
労働契約の不履行について、労働者に対し損害賠償を請求することはできるので。

何ができるのか、何が禁止されているのか、整理しておきましょう。

 

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令和6年-労基法・問3-A「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」

2024-10-18 02:00:00 | 過去問データベース

 

今回は、令和6年-労基法・問3-A「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに
関する基準」です。

☆☆======================================================☆☆

使用者は、労働基準法第14条第2項に基づき厚生労働大臣が定めた基準により、
有期労働契約(当該契約を3回以上更新し、又は雇入れの日から起算して1年
を超えて継続勤務している者に係るものに限り、あらかじめ当該契約を更新し
ない旨明示されているものを除く。)を更新しないこととしようとする場合には、
少なくとも当該契約期間が満了する日の30日前までに、その予告をしなければ
ならない。

☆☆======================================================☆☆

「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆======================================================☆☆

【 H16-2-E[改題]】
有期労働契約基準において、使用者は、期間の定めのある労働契約(当該
契約を3回以上更新し、又は雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務
している者に係るものに限り、あらかじめ当該契約を更新しない旨明示され
ているものを除く。)を更新しないこととしようとする場合には、少なくとも
当該契約の期間の満了する日の30日前までに、その予告をしなければなら
ないとされている。

【 H24-2-A 】
労働基準法第14条第2項の規定に基づく「有期労働契約の締結、更新及び
雇止めに関する基準(平成15年厚生労働省告示第357号)」によると、期間
が2か月の労働契約(あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されている
ものを除く。)を3回更新し、4回目に更新しないこととしようとする使用者
は、少なくとも当該契約の期間の満了する日の30日前までに、その予告を
しなければならない。

【 H19-4-D 】
ある使用者が、その期間が3か月の労働契約を2回更新し、3回目を更新し
ないこととした。その場合には、労働基準法第14条第2項の規定に基づく
「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」によれば、少なくとも
当該契約の期間の満了する日の30日前までに、その予告をしなければならない。

☆☆======================================================☆☆

「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」のうち雇止めの予告
に関する問題です。
有期労働契約については、期間が満了すれば、労働契約は終了します。
ただ、有期労働契約の更新などがあり、ある程度の期間、継続して使用されて
いると、労働者は、次も更新があるだろうと期待をしてしまいます。
そこで、一定の期間継続して使用した後に、契約を更新しない場合は、解雇の
予告に準じた予告をすることを使用者に求めています。

その規定は、「使用者は、有期労働契約(当該契約を3回以上更新し、又は
雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者に係るものに限り、
あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されているものを除く)を更新しな
いこととしようとする場合には、少なくとも当該契約の期間の満了する日の
30日前までに、その予告をしなければならない」というものです。

【 R6-3-A 】と【 H16-2-E[改題]】は、ほぼこの規定どおりの
出題で正しいです。

【 H24-2-A 】と【 H19-4-D 】は、事例的に出題しています。

で、【 H24-2-A 】では、「2か月の労働契約を3回更新」とあります。
継続勤務した期間は1年以下ですが、更新回数が3回以上ですから、予告
が必要になります。正しいです。

一方、【 H19-4-D 】では、「3か月の労働契約を2回更新」とあります。
これですと、継続勤務した期間は1年以下で、更新回数も3回未満です。
そのため、予告は必要ありません。誤りです。

この規定、特に、「契約を3回以上更新し、又は雇入れの日から起算して
1年を超えて継続勤務」の部分については、今後も、このように具体的に
出題してくることがあるでしょうから、そのような問題に対応できるよう
にしておきましょう。

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令和6年-労基法・問1-D「出向労働者」

2024-10-11 02:00:00 | 過去問データベース

 

今回は、令和6年-労基法・問1-D「出向労働者」です。

☆☆======================================================☆☆

「在籍型出向(出向元及び出向先双方と出向労働者との間に労働契約関係がある
場合)の出向労働者については、出向元、出向先及び出向労働者三者間の取決め
によって定められた権限と責任に応じて出向元の使用者又は出向先の使用者が、
出向労働者について労働基準法等における使用者としての責任を負う。

☆☆======================================================☆☆

「出向労働者」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆======================================================☆☆

【 H14-2-A 】
いわゆる在籍型出向の出向労働者については、出向元及び出向先の双方と
それぞれ労働契約関係があるので、原則として出向元及び出向先に対しては
それぞれ労働契約関係が存する限度で労働基準法等の適用があるが、その
うち労働契約関係の基本である賃金に関する事項については出向元のみが
使用者となり、それ以外の事項については、出向元、出向先及び出向労働者
三者間の取決めによって定められた権限と責任に応じて、出向元の使用者
又は出向先の使用者が出向労働者について労働基準法等における使用者
としての責任を負うものと解されている。

【 H12-1-D 】
いわゆる在籍型出向により出向先の指揮命令の下で労働する労働者について
は、雇用主である出向元は出向先での労働に関しても労働基準法の各条文
について全面的に使用者としての責任を負う一方、出向先は、その権限と
責任に応じて労働基準法における使用者としての責任を出向元と連帯して
負うにとどまる。

【 H19-1-A 】
いわゆる在籍型出向の出向労働者については、出向元及び出向先の双方と
それぞれ労働契約関係があるので、出向元及び出向先に対しては、それぞれ
労働契約関係が存する限度で労働基準法の適用がある。すなわち、出向元、
出向先及び出向労働者三者間の取決めによって定められた権限と責任に応じ
て出向元の使用者又は出向先の使用者が出向労働者について労働基準法に
おける使用者としての責任を負うものである。

☆☆======================================================☆☆

いずれも、在籍型出向の出向労働者に対する使用者責任は、出向元が負うのか、
出向先が負うのかを論点にしています。

【 H14-2-A 】では、賃金に関する事項だけ扱いが異なるような記述
があります。
【 H12-1-D 】では、出向元は全面的に責任を負うという記述があり
ます。

一方、【 R6-1-D 】と【 H19-1-A 】では、三者間の取決めに
よるとあります。

在籍型出向は、出向先と出向労働者との間に出向元から委ねられた指揮命令
関係ではなく、労働契約関係及びこれに基づく指揮命令関係がある形態です。
また、在籍型出向の出向労働者については、出向元及び出向先の双方とそれ
ぞれ労働契約関係があるので、出向元及び出向先に対しては、それぞれ労働
契約関係が存する限度で労働基準法等の適用があります。
すなわち、在籍型出向の出向労働者に関しては、出向元、出向先及び出向
労働者三者間の取決めによって定められた権限と責任に応じて、出向元の
使用者又は出向先の使用者が出向労働者について労働基準法等における
使用者としての責任を負うものとされています。

ですので、【 H14-2-A 】、【 H12-1-D 】は誤りで、【 R6-1-D 】
と【 H19-1-A 】は正しいです。

労働者派遣とは異なり、在籍型出向は、出向元及び出向先のいずれについても
労働契約関係がある、つまり、労働者としての籍を二重に有することになるので、
単純にどっちの責任と法的に決めるのは困難です。
その状況によって、判断をしていかなければなりませんので。
ということで、
当事者間の取決めによりましょうってことになっています。

 

 

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令和6年-労基法・問1-B「均等待遇」

2024-10-04 02:00:00 | 過去問データベース

今回は、令和6年-労基法・問1-B「均等待遇」です。

☆☆======================================================☆☆

「労働基準法3条は労働者の信条によって賃金その他の労働条件につき差別する
ことを禁じているが、特定の信条を有することを、雇入れを拒む理由として定め
ることも、右にいう労働条件に関する差別取扱として、右規定に違反するものと
解される。」とするのが、最高裁判所の判例である。

☆☆======================================================☆☆

「賃金債権の放棄」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆======================================================☆☆

【 H21-1-B 】
労働基準法第3条が禁止する労働条件についての差別的取扱いには、雇入れ
における差別も含まれるとするのが最高裁判所の判例である。

【 H28-1-ウ 】
労働基準法第3条は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、
労働条件について差別することを禁じているが、これは雇入れ後における
労働条件についての制限であって、雇入れそのものを制限する規定ではない
とするのが、最高裁判所の判例である。

【 H9-2-D 】
労働基準法第3条では、信条による労働条件の差別的取扱いを禁止している
が、企業における労働者の雇入れについては、特定の思想、信条を有する者
をその故をもって雇い入れることを拒んでも、直ちに違法とすることができ
ない。

【 H11-1-A 】
使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働
時間について差別的取扱いを行ってはならず、このことは解雇や安全衛生
についても同様である。

【 H2-1-A 】
「労働条件」とは、賃金、労働時間はもちろんのこと、解雇、災害補償、
安全衛生、寄宿舎等に関する条件をすべて含む労働者の職場における一切
の待遇をいう。

【 H30-4-イ 】
労働基準法第3条にいう「賃金、労働時間その他の労働条件」について、
解雇の意思表示そのものは労働条件とはいえないため、労働協約や就業
規則等で解雇の理由が規定されていても、「労働条件」にはあたらない。

☆☆======================================================☆☆

ここで挙げた問題は、「均等待遇」に関するもののうち差別禁止の対象となる
「労働条件」に含まれるものは何か?というのが論点です。

まず、【 R6-1-B 】は、「雇入れ」が対象となるような記載で、
【 H21-1-B 】では、「雇入れ」を含むとしています。
労働基準法で保護する労働条件というのは、【 H28-1-ウ 】にあるように、
雇い入れた後の労働条件ですから、労働基準法3条が禁止する労働条件につい
ての差別的取扱いには、「雇入れ」における差別は含まれません。
ですので、【 R6-1-B 】と【 H21-1-B 】は誤り、【 H28-1-ウ 】
は正しいです。

この点を、より具体的に出題したのが、【 H9-2-D 】で、
「特定の思想、信条を有する者をその故をもって雇い入れることを拒んでも、
直ちに違法とすることができない」
とあります。
これは、そのとおりです。
雇入れは、「均等待遇」で規定している労働条件には入らないので、「雇い入れ
ることを拒んでも」、つまり、差別的取扱いをしても、それだけで、直ちに違法
とすることはできないことになります。

【 H11-1-A 】と【 H2-1-A 】では、いくつかの事項を列挙して
います。
これら列挙している事項はいずれも「労働条件」に含まれます。
そして、「雇入れ」のような、余分な記述はありません。したがって、正しい
です。

【 H30-4-イ 】では、「解雇の意思表示」に関して「労働条件」にはあた
らないとしています。

解雇の意思表示そのものは労働条件とはいえません。ただ、労働協約、就業
規則等で解雇の基準又は理由が規定されていれば、それは労働するに当たっ
ての条件として労働条件となるので、誤りです。

1つの事項だけを挙げて、それが労働条件となるか否かを問う問題があったり、
いくつかの労働条件を列挙するような問題もありますが、いくつかの労働
条件を列挙し、その中に、さりげなく「雇入れ」など労働条件とならない事項
を入れて、誤りにするなんて問題が出題されるってことがあるので、いくつも
列挙されているときは、そのような事項を見逃したりしないよう、注意しま
しょう。

 

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