今回は、令和3年-国年法問1-D「振替加算の支給調整」です。
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振替加算の規定によりその額が加算された老齢基礎年金の受給権者が、遺族
厚生年金の支給を受けることができるときは、その間、振替加算の規定により
加算された額に相当する部分の支給が停止される。
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「振替加算の支給調整」に関する問題です。
次の問題をみてください。
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【 H30-4-D 】
老齢基礎年金の受給権者が、老齢厚生年金(その額の計算の基礎となる厚生年金
保険の被保険者期間の月数が240以上であるものとする。)を受けることができ
るときは、当該老齢基礎年金に振替加算は加算されない。
【 H20-2-A[改題]】
老齢基礎年金の受給権者が、一元化法改正前国家公務員共済組合法による退職
共済年金(その額の計算の基礎となる組合員期間の月数が240以上であるもの
とする。)を受給できる場合は、振替加算は行われない。
【 H12-5-B 】
老齢基礎年金の受給権者が、障害基礎年金、障害厚生年金、障害共済年金の支給
を受けることができるときは、その間、振替加算の支給を停止する。
【 H17-7-C 】
振替加算が行われた老齢基礎年金は、その受給権者が障害基礎年金、障害厚生
年金その他障害を支給要件とする年金給付であって政令で定めるものを受けら
れるときは、その間振替加算に相当する部分の支給が停止される。
【 H21-9-E 】
振替加算が加算された老齢基礎年金を受給している者であって、その者が障害
基礎年金等の障害を事由とする年金給付を受給できるとき(当該障害基礎年金
は支給停止されていない。)は、その間当該加算に相当する額が支給停止される。
【 H30-5-イ 】
振替加算の規定によりその額が加算された老齢基礎年金の受給権者が、障害厚生
年金(当該障害厚生年金は支給停止されていないものとする。)の支給を受ける
ことができるときは、その間、振替加算の規定により加算する額に相当する部分
の支給を停止する。
【 R1-8-E 】
障害基礎年金を受給中である66歳の女性(昭和28年4月2日生まれで、第2号
被保険者の期間は有していないものとする。)は、67歳の配偶者(昭和27年4月
2日生まれ)により生計を維持されており、女性が65歳に達するまで当該配偶者
の老齢厚生年金には配偶者加給年金額が加算されていた。この女性について、障害
等級が3級程度に軽減したため、受給する年金を障害基礎年金から老齢基礎年金
に変更した場合、老齢基礎年金と振替加算が支給される。
【 H9-3-A 】
振替加算が加算された老齢基礎年金は、その受給権者が障害基礎年金又は遺族
基礎年金の支給を受けることができる場合には、その間、振替加算相当額の支給
が停止される。
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「振替加算の支給調整」に関する問題です。
【 H30-4-D 】は、老齢基礎年金の受給権者が額の計算の基礎となる
被保険者期間の月数が240以上である老齢厚生年金を受けられる場合で、
この年金額と老齢基礎年金の額を合計した額がある程度の額となるため、
振替加算は行われません(厚生年金保険の加給年金額の調整と同趣旨です)。
正しいです。
【 H20-2-A[改題]】は退職共済年金に関するものですが、老齢厚生
年金の場合と同様で、正しいです。
いずれにしても、加算の必要性に欠けるってところです。
一方、【 H12-5-B 】、【 H17-7-C 】、【 H21-9-E 】、
【 H30-5-イ 】は、障害基礎年金などの支給を受けることができる
場合です。
障害基礎年金などを受けられる場合は、老齢基礎年金の満額以上の額の年金
の支給を受けることができるので、やはり、加算の必要性に欠けるところが
あります。
ただ、障害基礎年金などについては、受給権者が亡くなる前に失権をしてし
まうこともあり得ます。
そこで、単に「支給しない」としてしまうと、障害基礎年金などの失権後の
所得保障が低額となってしまうことがあるので、「支給を停止する」として
います。
なので、これら4問は、いずれも正しいです。
それと、障害基礎年金との調整は、障害基礎年金が支給されるから行うので
あって、受給権はあるけれど支給されない状態であれば、調整する必要性が
ありません。
【 R1-8-E 】のように、障害等級が3級程度に軽減し、障害基礎年金
が支給停止された場合には、振替加算を停止する理由がなくなります。
ですので、障害基礎年金から老齢基礎年金に裁定替えをすれば、振替加算が
行われます。
【 R1-8-E 】も、正しいです。
【 R3-1-D 】は、「遺族厚生年金」の支給を受けることができる場合
です。
【 H9-3-A 】では、「遺族基礎年金」についての記述もあります。
遺族厚生年金や遺族基礎年金を受けることができる場合、調整(支給停止)
の規定はありません。
【 R3-1-D 】と【 H9-3-A 】は、誤りです。
ただ、調整の規定がないというのは、遺族厚生年金や遺族基礎年金と振替
加算とが併給されるってことではありませんからね。
例えば、遺族基礎年金と老齢基礎年金の受給権を有し、老齢基礎年金を
選択した場合、もし振替加算の要件を満たすということがあったとしたら、
振替加算は支給されるということで、遺族基礎年金を選択したのであれば、
振替加算は支給されませんから。
ちなみに、配偶者が死亡して遺族基礎年金を受けている状況で老齢基礎年金
の受給権を得た場合には、その配偶者の加給年金額の対象となっている
ということはあり得ないので、そもそも振替加算が行われることはあり
ません。