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令和5年-厚年法・問4-ウ「保険料負担と納付義務」

2024-07-26 02:00:00 | 過去問データベース

 

今回は、令和5年-厚年法・問4-ウ「保険料負担と納付義務」です。

☆☆==================================================☆☆

被保険者が同時に2以上の事業所に使用される場合における各事業主
の負担すべき標準賞与額に係る保険料の額は、各事業所についてその
月に各事業主が支払った賞与額をその月に当該被保険者が受けた賞与
額で除して得た数を当該被保険者の保険料の額に乗じて得た額とされ
ている。

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「保険料負担と納付義務」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆==================================================☆☆

【 H28-6-B 】
第1号厚生年金被保険者が同時に2以上の適用事業所(船舶を除く。)
に使用される場合における各事業主の負担すべき標準報酬月額に係る
保険料の額は、各事業所について算定した報酬月額を当該被保険者の
報酬月額で除し、それにより得た数を当該被保険者の保険料の半額に
乗じた額とする。

【 H10-2-A 】
同時に二以上の事業所に使用される被保険者の保険料は、それぞれ
の事業所から受ける報酬により保険料額を算定し、合算した額を主
たる事業所において徴収する。

【 H30-9-A 】
被保険者が厚生年金保険法第6条第1項第3号に規定する船舶に使用
され、かつ、同時に事業所に使用される場合においては、船舶所有者
(同号に規定する船舶所有者をいう。以下同じ。)以外の事業主は保
険料を負担せず、保険料を納付する義務を負わないものとし、船舶所
有者が当該被保険者に係る保険料の半額を負担し、当該保険料及び
当該被保険者の負担する保険料を納付する義務を負うものとされて
いる。

【 H27-6-A[改題]】
第1号厚生年金被保険者が同時にいずれも適用事業所である船舶甲
及び事業所乙に使用される場合、当該被保険者を使用する甲及び乙
が負担すべき標準賞与額に係る保険料の額は、甲及び乙がその月に
支払った賞与額をその月に当該被保険者が受けた賞与額で除して得
た数を当該被保険者の保険料の半額に乗じて得た額とし、甲及び乙
がそれぞれ納付する義務を負う。

【 H19-7-C[改題]】
第1号厚生年金被保険者が同時に2以上の適用事業所に使用される
場合において、2以上の事業所のうち一つが船舶であるときは、船舶
所有者が当該被保険者に係る保険料の半額を負担しかつ当該保険料
及び当該被保険者の負担する保険料を納付する義務を負い、船舶以
外の事業主は保険料を負担せず、納付義務も生じない。

【 H17-2-D[改題]】
第1号厚生年金被保険者が同時に二以上の適用事業所に使用される
場合において、一が船舶で他が船舶以外の事業所のときは、当該被
保険者に係る保険料の半額を負担し納付する義務を負うのは船舶の
所有者であり、他の事業所は保険料の負担及び納付義務を負わなく
て良い。

【 H12-8-D[改題]】
第1号厚生年金被保険者が厚生年金保険法第6条第1項第3号に規定
する船舶に使用され、かつ同時に船舶以外の事業所に使用されている
場合には、船舶所有者以外の事業主は保険料納付義務を負わず、船舶
所有者が当該被保険者と当該保険料を折半して納付する義務を負う。

☆☆==================================================☆☆

第1号厚生年金被保険者が2以上の適用事業所に使用される場合、保険
料の負担や納付はどのように行うのかというのが論点の問題です。

もし、どこか特定の事業主に負担させるということですと、それは、
不公平になってしまいます。そのため、公平な負担という観点から、按分
して負担をするようにしています。
つまり、各事業主の負担すべき標準報酬月額や標準賞与額に係る保険料の
額は、事業主負担である2分の1の額(半額)を各事業所において定時
決定等により算定した額で按分した額となります。

したがって、「被保険者の保険料の額に乗じて得た額」と「半額」という
記述がない【 R5-4-ウ 】と「合算した額を主たる事業所において
徴収する」とある【 H10-2-A 】は誤りで、【 H28-6-B 】は
正しいです。

単に、2以上の適用事業所に使用される場合は、このように、各事業所
ごとに、定時決定などにより算定された額に基づき按分した負担となる
のですが、一方が船舶の場合、扱いが異なります。
船舶所有者以外の事業主は、負担も納付義務も負いません。
ですので、後の5問のうち【 H27-6-A[改題]】は誤りで、他の4問
は正しいです。

船舶に使用される被保険者は、第3種被保険者です。そのため、元々、
一般の事業所に使用される被保険者と保険料率が異なっていました。
さらに、船舶に使用される被保険者は、健康保険ではなく、船員保険の
適用を受け、船員たる被保険者の標準報酬月額の決定及び改定について
は、船員保険法の規定の例によることとなっています。
そうすると、それぞれが、負担したり、納付したりすることになると、
ややこしいことが起きてしまいます。
保険料の計算だけでなく、その月は、第3種被保険者としての被保険者
期間?それとも、それ以外?なんてことも。

ということで、船舶と船舶以外の事業所に使用される場合は、船舶のほう
だけで、保険料の負担・納付をすることにしています。

 

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令和5年-厚年法・問3-D「配偶者に係る加給年金額」

2024-07-19 02:00:00 | 過去問データベース

 

今回は、令和5年-厚年法・問3-D「配偶者に係る加給年金額」です。

☆☆==================================================☆☆

老齢厚生年金における加給年金額の加算対象となる配偶者が、繰上げ
支給の老齢基礎年金の支給を受けるときは、当該配偶者に係る加給
年金額は支給が停止される。

☆☆==================================================☆☆

「配偶者に係る加給年金額」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆==================================================☆☆

【 R4-9-E 】
加給年金額が加算されている老齢厚生年金の受給者である夫について、
その加算の対象となっている妻である配偶者が、老齢厚生年金の計算
の基礎となる被保険者期間が240月以上となり、退職し再就職はせず
に、老齢厚生年金の支給を受けることができるようになった場合、老齢
厚生年金の受給者である夫に加算されていた加給年金額は支給停止と
なる。

【 H28-5-B 】
加給年金額が加算された老齢厚生年金について、その加算の対象となる
配偶者が老齢厚生年金の支給を受けることができるときは、その間、
加給年金額の部分の支給が停止されるが、この支給停止は当該配偶者の
老齢厚生年金の計算の基礎となる被保険者期間が300か月以上の場合に
限られる。

【 H22-2-E[改題]】
老齢厚生年金の加給年金については、加算が行われている配偶者が、その
額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240か月以上である老齢厚
生年金の支給を受けることができるときは、その間、当該配偶者について
加算する額に相当する部分の支給を停止する。

【 H16-6-E 】
老齢厚生年金に加算される配偶者の加給年金額は、配偶者自身が老齢
厚生年金の年金たる給付を受けることができても、被保険者期間の月数
が240月未満であれば停止されることはない。

【 H26-5-C 】
加給年金額の対象となる配偶者が障害等級3級の障害厚生年金を受給
している場合であっても、加給年金額は支給停止されない。

【 R3-8-D 】
老齢厚生年金における加給年金額の加算の対象となる配偶者が、障害
等級1級若しくは2級の障害厚生年金及び障害基礎年金を受給して
いる間、当該加給年金額は支給停止されるが、障害等級3級の障害
厚生年金若しくは障害手当金を受給している場合は支給停止される
ことはない。

【 H28-5-A 】
配偶者に係る加給年金額が加算された老齢厚生年金について、その
対象となる配偶者が繰上げ支給の老齢基礎年金の支給を受けるとき
は、当該配偶者については65歳に達したものとみなされ、加給年金
額に相当する部分が支給されなくなる。

【 H15-3-A 】
加給年金額の対象となる配偶者が老齢基礎年金の繰上げ支給を受けて
いる場合であっても、当該配偶者に係る加給年金額は支給停止されない。

☆☆==================================================☆☆

「加給年金額」に関する問題です。

老齢厚生年金の受給権者に生計を維持する配偶者や子がいる場合、本来
の年金額では必ずしも生活を営むために十分ではないということが考え
られます。
そこで、本来の年金額に加算を行うのが加給年金額です。

そのため、配偶者が、それなりの額の年金の支給を受けられるのであれ
ば、加給年金額を加算するほどの所得保障を行う必要性に欠けるといえる
ので、次の年金給付を受給できるときは、配偶者の加給年金額は支給
停止されます。
(1) 老齢厚生年金(被保険者期間の月数が240〔中高齢者の特例に該当
するときは、生年月日に応じて定められた期間〕以上)
(2) 障害基礎年金、障害厚生年金
(3) その他の年金たる給付のうち、老齢もしくは退職又は障害を支給
 事由とする給付であって政令で定めるもの

【 H28-5-B 】では、「配偶者の老齢厚生年金の計算の基礎となる
被保険者期間が300か月以上の場合に限られる」とありますが、(1)に
あるように、「240月」以上の場合に支給が停止されるので、誤りです。

【 R4-9-E 】と【 H22-2-E[改題]】は、正しいです。

【 H16-6-E 】では、「240月未満」とあるので、通常、支給停止
はされませんが、「停止されることはない」とあり、例外なく、支給
停止されることはない表現になっています。

配偶者が「中高齢者の特例」に該当するのであれば、その被保険者期間
の月数が240月とみなされるので、この場合は支給停止となります。
ですので、誤りです。

【 H26-5-C 】では「配偶者が障害等級3級の障害厚生年金を受給
している」とあり、【 R3-8-D 】では「障害等級3級の障害厚生
年金若しくは障害手当金を受給している」とありますが、障害等級3級
であっても、障害厚生年金の額は、加給年金額が加算されないだけであ
って、障害等級2級と同額です。
ということは、加算の必要性に欠けるといえ、支給停止の対象となるので、
「支給停止されない」・「支給停止されることはない」というのは誤りです。

他の3問(【 R5-3-D 】、【 H28-5-A 】、【 H15-3-A 】)
は、配偶者が繰上げ支給の老齢基礎年金を受けている場合です。繰上げ
支給の老齢基礎年金を受けると、65歳に達していると扱われることが
ありますが、この加給年金額の規定においては、そのような扱いをし
ません。
そのため、配偶者が繰上げ支給の老齢基礎年金を受けていたとしても、
加給年金額が加算されなくなったり、支給が停止されたりすることは
ありません。

ということで、【 R5-3-D 】と【 H28-5-A 】は誤りで、
【 H15-3-A 】は正しいです。

加給年金額は、どのような場合に支給が調整されるのか、いろいろな
パターンで出題されているので、調整される場合、調整されない場合、
整理しておきましょう。

 

 

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今回は、令和5年-厚年法・問3-A「任意適用事業所」

2024-07-12 02:00:00 | 過去問データベース

今回は、令和5年-厚年法・問3-A「任意適用事業所」です。

☆☆==================================================☆☆

任意適用事業所の事業主は、厚生労働大臣の認可を受けることにより
当該事業所を適用事業所でなくすることができるが、このためには、
当該事業所に使用される者の全員の同意を得ることが必要である。
なお、当該事業所には厚生年金保険法第12条各号のいずれかに該当
する者又は特定4分の3未満短時間労働者に該当する者はいないもの
とする。

☆☆==================================================☆☆

「任意適用事業所」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆==================================================☆☆

【 H25-5-A 】
厚生年金保険法第6条第3項に定める任意適用事業所となる認可を受け
ようとするときは、当該事業所の事業主は、当該事業所に使用される者
(同法第12条の規定により適用除外となる者を除く。以下同じ。)の
3分の2以上の同意を得て、厚生労働大臣に申請しなければならない。

【 R2-6-B 】
任意適用事業所の認可を受けようとする事業主は、当該事業所に使用さ
れる者(厚生年金保険法第12条に規定する者及び特定4分の3未満短時間
労働者を除く。)の3分の1以上の同意を得たことを証する書類を添えて、
厚生年金保険任意適用申請書を日本年金機構に提出しなければならない。

【 H25-5-B 】
任意適用事業所の事業主は、厚生労働大臣の認可を受けて、当該事業所
を適用事業所でなくすることができるが、その認可を受けようとするとき
は、当該事業主は、当該事業所に使用される者の3分の2以上の同意を
得て、厚生労働大臣に申請しなければならない。

【 H30-5-A 】
任意適用事業所を適用事業所でなくするための認可を受けようとする
ときは、当該事業所に使用される者の3分の2以上の同意を得て、厚生
労働大臣に申請することとされている。なお、当該事業所には厚生年金
保険法第12条各号のいずれかに該当し、適用除外となる者又は特定4分
の3未満短時間労働者に該当する者はいないものとする。

【 H19-1-E[改題]】
適用事業所以外の事業所が適用事業所になるとき、及び適用事業所でなく
するときは、当該事業所に使用される従業員(適用除外に該当する者及び
特定4分の3未満短時間労働者に該当する者を除く。)の4分の3以上の
同意を得て厚生労働大臣の認可を受けなければならない。

【 H9-記述 】
任意適用に係る認可を受けた適用事業所の事業主は、( A )の認可を
受けて、当該事業所を適用事業所でなくすることができる。ただし、この
認可を受けようとするときは、当該事業所の事業主は、当該事業所に使用
される者(適用除外の者を除く。)の( C )以上の同意を得なければ
ならない。

☆☆==================================================☆☆

「任意適用事業」に関する問題です。

任意適用事業所が適用を受けるには、厚生労働大臣の認可を受けなければ
なりません。適用を取消す場合も、認可が必要です。

その前提として、その事業所で使用される従業員の多数の同意が必要です。
適用されることになれば、保険料負担が発生することになりますし、適用
されなくなってしまうと、将来受ける年金額に影響が出ますので。
ここで挙げた問題は、その同意について論点にしています。

まず、任意適用事業所が適用事業所となる認可を受けようとするときは、
当該事業所に使用される者(適用除外事由に該当する者及び特定4分の
3未満短時間労働者を除きます)の「2分の1」以上の同意が必要です。

【 H25-5-A 】では「3分の2」、【 H19-1-E[改題]】では
「4分の3」としているので、誤りです。
加入する際は、半分以上が納得すればよいということです。
【 R2-6-B 】は、「同意を得たことを証する書類」としての出題
ですが、論点は同じで、「3分の1」ではないので、誤りです。

次に、「適用事業所でなくするとき」について、この場合は、「認可を受け
ようとするとき」より多くの同意を求めており、「4分の3」以上となり
ます。
【 R5-3-A 】では「全員」、【 H25-5-B 】と【 H30-5-A 】
では「3分の2」とあるので、これらの問題も誤りです。

【 H9-記述 】の答えは A:厚生労働大臣 C:4分の3 です。

それと、この任意適用事業所の規定については、健康保険法でも、これに
準じた規定があり、過去に出題があります。例えば、
【 H21-健保2-D 】
任意適用事業所の事業主は、当該事業所に使用される者(被保険者である
者に限る。)の2分の1以上の同意を得て、厚生労働大臣に申請し、認可
を受けた場合、適用事業所でなくすることができる。
という出題です。
「適用事業所でなくする」場合ですので、「2分の1」では誤りです。

ここは論点とされやすいところですから、やはり、同じような誤りにして
います。
ということで、健康保険法の規定とあわせて押さえておきましょう。

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令和5年-国年法・問10-ウ「併給調整」

2024-07-05 01:00:01 | 過去問データベース

 

今回は、令和5年-国年法・問10-ウ「併給調整」です。

☆☆==================================================☆☆

65歳以上の場合、異なる支給事由による年金給付であっても併給される
場合があり、例えば老齢基礎年金と遺族厚生年金は併給される。一方で、
障害基礎年金の受給権者が65歳に達した後、遺族厚生年金の受給権を
取得した場合は併給されることはない。

☆☆==================================================☆☆

「併給調整」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆==================================================☆☆

【 R3-国年9-B 】
旧国民年金法による障害年金の受給権者には、第2号被保険者の配偶者
がいたが、当該受給権者が66歳の時に当該配偶者が死亡したことにより、
当該受給権者に遺族厚生年金の受給権が発生した。この場合、当該受給権
者は旧国民年金法による障害年金と遺族厚生年金の両方を受給できる。

【 H8-国年2-B 】
老齢基礎年金の受給権者であっても、65歳に達していれば遺族厚生年金
を併給することができる。

【 H16-国年1-A 】
65歳以上の老齢基礎年金の受給権者は、遺族厚生年金を併給して受給
することができる。

【 H28-厚年9-B 】
障害等級3級の障害厚生年金の受給権者が65歳になり、老齢基礎年金
の受給権を取得したとしても、それらは併給されないため、いずれか
一方のみを受給することができるが、遺族厚生年金の受給権者が65歳
になり、老齢基礎年金の受給権を取得したときは、それらの両方を受給
することができる。

【 H29-国年9-B 】
障害等級3級の障害厚生年金の受給権者が65歳となり老齢基礎年金及び
老齢厚生年金の受給権を取得した場合、この者は、障害等級3級の障害
厚生年金と老齢基礎年金を併給して受けることを選択することができる。

【 H20-国年1-D 】
65歳に達している者の老齢基礎年金と遺族厚生年金、老齢基礎年金と
障害厚生年金は、いずれも併給することができる。

【 H23-厚年4-A 】
障害厚生年金は、老齢基礎年金及び付加年金並びに当該障害厚生年金
と同一の支給事由に基づいて支給される障害基礎年金と併給できるが、
遺族基礎年金とは併給できない。

【 H25-国年3-A 】
65歳以上の者に支給される障害基礎年金と老齢厚生年金は併給される
が、65歳以上の老齢基礎年金の受給権者が遺族厚生年金の受給権を取得
したときは、併給の調整によりどちらか一方の年金給付は支給停止される。

【 H19-国年3-C 】
65歳未満の繰上げ支給の老齢基礎年金の受給権者が、遺族厚生年金の
受給権を取得した場合には、その翌月から65歳に達するまでの間につ
いても、繰上げにより減額された老齢基礎年金と遺族厚生年金を併給
することができる。

【 H30-国年9-D 】
繰上げ支給の老齢基礎年金の受給権者に遺族厚生年金の受給権が発生
した場合、65歳に達するまでは、繰上げ支給の老齢基礎年金と遺族
厚生年金について併給することができないが、65歳以降は併給する
ことができる。

☆☆==================================================☆☆

「併給調整」に関する問題です。

年金は、原則として1人に1つの年金を支給することになっていますが、
2階建て年金の仕組みなど、例外的な規定がいくつもあります。

そこで、65歳以上の場合、
老齢基礎年金と遺族厚生年金は併給することができます。
遺族厚生年金というのは、遺族の老後保障を担うという面があるので、
老齢基礎年金との併給を認めています。

また、遺族厚生年金は、受給権者が65歳以上であれば、障害基礎年金
との併給も認められています。同様に、旧国民年金法による障害年金と
遺族厚生年金も併給することができます。

ですので、前の4問のうち【 R5-国年10-ウ 】は誤りで、他の3問
は正しいです。

【 H28-厚年9-B 】では、老齢基礎年金と障害厚生年金の併給に
関する記載もあり、これらは併給されないとしています。
一方、
【 H29-国年9-B 】、【 H20-国年1-D 】と【 H23-厚年4-A 】
では、「老齢基礎年金と障害厚生年金」を併給することができるとしています。
これらは、併給することはできません。老齢基礎年金は、老齢厚生年金や
遺族厚生年金とは併給されますが、障害厚生年金とは併給されません。

ということで、【 H28-厚年9-B 】は正しく、
その次の3問(【 H29-国年9-B 】、【 H20-国年1-D 】、【 H23-
厚年4-A 】)は、誤りです。

【 H25-国年3-A 】は、老齢基礎年金と遺族厚生年金が併給され
ない内容なので、やはり、誤りです。

【 H19-国年3-C 】は、65歳未満の場合です。
この場合、老齢基礎年金と遺族厚生年金の併給は認められていません。
どちらか一方を選択して受給することになります。
誤りです。

それと、【 H30-国年9-D 】も繰上げ支給の老齢基礎年金に関してで、
65歳に達するまでは、遺族厚生年金と併給することができません。
ただ、65歳に達すれば併給することができます。
したがって、正しいです。

「併給調整」に関しては、いろいろな組み合わせで出題することができる
ので、頻繁に出題されています。
特に、65歳以上なのか、65歳未満なのかで併給することができるか否か
が異なる点、ここは、よく狙われます。
1肢は出るだろうと思って、ちゃんと確認をしておきましょう。

 

 

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令和5年-国年法・問9-E「国民年金基金の加入員の資格」

2024-06-28 03:00:01 | 過去問データベース

 

今回は、令和5年-国年法・問9-E「国民年金基金の加入員の資格」
です。

☆☆==================================================☆☆

国民年金基金の加入員は、国民年金保険料の免除規定により、その全部
又は一部の額について、保険料を納付することを要しないものとされた
ときは、該当するに至った日の翌日に加入員の資格を喪失する。

☆☆==================================================☆☆

「国民年金基金の加入員の資格」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆==================================================☆☆

【 H6-1-C[改題]】
加入員は、免除(国民年金法第88条の2に規定する産前産後免除を除く。)
により保険料を納付することを要しないとされた月の初日に、加入員の
資格を喪失する。

【 H10-7-C[改題]】
国民年金基金の加入員が、国民年金法第89条から第90条の3の規定に
より保険料を納付することを要しないものとされたときは、当該保険料
を納付することを要しないものとされた月の初日に加入員の資格を喪失
する。

【 H27-4-A[改題]】
国民年金基金の加入員が、保険料免除の規定(国民年金法第88条の2
に規定する産前産後免除を除く。)により国民年金保険料の全部又は一部
の額について保険料を納付することを要しないものとされたときは、
その月の初日に加入員の資格を喪失する。

【 H24-9-E 】
国民年金基金の加入員の申出をした同月に、法第90条第1項等の規定
による国民年金の保険料免除の適用を受けることになった場合、その
翌月に加入員資格を喪失する。

【 H12-1-C 】
国民年金基金の加入員の資格を取得した月にその資格を喪失した者は、
その資格を取得した日に遡って、加入員でなかったものとみなす。

☆☆==================================================☆☆

国民年金基金制度は、上乗せの仕組みです。
そのため、国民年金の保険料を免除されている場合(産前産後免除の場合
を除きます)には、上乗せだけ納めるということは認めないので、加入員
となれません。

また、加入員が保険料免除となったら、その月から加入員としては扱わない
ようにするため「保険料を納付することを要しないとされた月の初日」に、
その資格を喪失します。

したがって、【 H6-1-C[改題]】からの3問は正しいですが、
【 R5-9-E 】は
「該当するに至った日の翌日に加入員の資格を喪失する」
としているので、誤りです。

では、加入員の資格を取得した月に資格喪失事由が発生した場合どうなる
のか、といえば、「資格を取得した日に遡って、加入員でなかったものと
みなす」ことになり、最初から加入員ではなかったと扱われます。
【 H12-1-C 】は、このような記述ですから、正しいです。
【 H24-9-E 】では、「加入員の申出をした同月に」資格喪失事由
である「保険料免除の適用を受けることになった」とあり、「その翌月
に加入員資格を喪失する」としています。

前述のとおり、加入員が保険料免除の規定の適用を受けることとなった
場合、保険料を納付することを要しないものとされた月の初日に加入
員の資格を喪失します。そして、加入員の申出をした月、つまり、加入
員の資格を取得した月にその資格を喪失する場合は、資格を取得した日
にさかのぼって加入員でなかったものとみなされます。誤りです。

保険料免除となった場合、資格喪失事由に該当するのか、資格喪失の
タイミングはいつなのか、資格取得月に資格喪失事由に該当した場合は
どうなるか、それぞれの論点を別々に出題してくることもあるでしょう
し、あわせて出題してくるってこともあります。どのような出題であっ
ても、正誤の判断をちゃんとできるようにしておきましょう。

 

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令和5年-国年法・問8-D「合算対象期間」

2024-06-21 03:00:01 | 過去問データベース

 

今回は、令和5年-国年法・問8-D「合算対象期間」です。

☆☆==================================================☆☆

昭和36年4月1日から平成4年3月31日までの間で、20歳以上60歳
未満の学生であった期間は、国民年金の任意加入期間とされていたが、
その期間中に加入せず、保険料を納付しなかった期間については、合算
対象期間とされ、老齢基礎年金の受給資格期間には算入されるが、年金額
の計算に関しては保険料納付済期間に算入されない。

☆☆==================================================☆☆

「合算対象期間」に関する問題です。

次の問題をみてください。

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【 H14-10-A[改題]】
任意加入により国民年金の被保険者になることができる20歳以上60歳
未満の期間のうち被保険者にならなかった期間は、老齢基礎年金の資格
期間に算入できる期間になる。

【 H14-10-E[改題]】
日本国民であって日本国内に住所を有しなかった期間のうち、昭和36年
4月1日以後の20歳以上60歳未満の期間は、老齢基礎年金の資格期間
に算入できる期間になる。

【 H18-8-A 】
任意加入により国民年金の被保険者になることができる20歳以上65歳
未満の在外邦人が被保険者にならなかった期間は、老齢基礎年金の受給
資格期間に算入されない。

【 H23-7-B 】
昭和60年改正前の国民年金法の規定により任意加入できた期間のうち
任意加入しなかった20歳以上65歳未満の期間は、合算対象期間とされる。

【 H13-9-B 】
20歳以上60歳未満の学生で任意加入しなかった期間のうち合算対象
期間とされるのは、昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までの
期間である。

【 H16-7-D 】
昭和36年4月1日から平成3年4月1日前の間に20歳以上60歳未満
の学生であった者が、当時任意加入であったため加入していなかった
期間は合算対象期間とされる。

【 H16-4-A[改題]】
厚生年金保険の被保険者の配偶者が、昭和36年4月1日から昭和61年
3月31日までの間で、20歳以上60歳未満の期間のうち、国民年金に加入
しなかった期間は、合算対象期間とされる。

☆☆==================================================☆☆

「合算対象期間」に関する問題です。
もしかして、これは嫌いだなんて思っている方、いますか?
とにかくよく出るんですから、好き嫌い言わずに、ちゃんと確認しましょう。

【 H14-10-A[改題]】は、正しいです。新法でも旧法でも、任意加入
できるのに、任意加入しなかった期間(20歳以上60歳未満)は合算対象
期間です。
これは合算対象期間の基本的なものの1つです。

【 H14-10-E[改題]】も正しいです。これは応用問題です。
2つの論点があります。
新法の期間は【 H14-10-A[改題]】と同じ考え方です。
旧法の期間は、考え方がちょっと違います。
在外邦人は、そもそも任意加入できなかったのです。なので、合算対象
期間としています。「できるのに、加入しなかった」というのとは違います。

【 H18-8-A 】は、誤りです。
任意加入できるのに、任意加入しなかった期間は、合算対象期間です。
ただ、この問題は、ちょっと気を付けてください。
20歳以上65歳未満の間すべてが合算対象期間となるのではありません。
合算対象期間となるのは、20歳以上60歳未満の間ですから。

この点は、旧法でも同じです。
なので、【 H23-7-B 】は、「20歳以上65歳未満」とあるため、誤り
です。

次の3問と【 R5-8-D 】は、少し論点が違っています。
そこで、まず、
【 R5-8-D 】と【 H13-9-B 】は、誤りです。
20歳以上60歳未満の学生で任意加入しなかった期間が合算対象期間と
されるのは、平成3年3月31日までです。
【 H16-7-D 】、こちらは「平成3年4月1日前」とあるので、正しい
です。

【 H16-4-A[改題]】も正しいです。
学生とは違って、厚生年金保険の被保険者の配偶者について合算対象期間
とされるのは、「昭和61年3月31日」までです。
ここは、学生の規定と勘違いしないようにしましょう。

20歳以上の学生は平成3年4月から強制加入になったため、その前の期間
が合算対象期間です。
この点は平成16年度の選択式でも出題されているので、選択対策も怠らずに。

そうそう、「任意加入できるのに、任意加入しなかった」期間だけではなく、
「任意加入をしたけど、保険料を納付しなかった」任意加入未納期間、
これも、60歳未満の間は、合算対象期間になります。
この点も、注意しておきましょう。

 

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令和5年-国年法・問7-D「年金の支払の調整」

2024-06-14 03:00:01 | 過去問データベース

 

今回は、令和5年-国年法・問7-D「年金の支払の調整」です。

☆☆==================================================☆☆

国民年金法第21条の2によると、年金給付の受給権者が死亡したため
その受給権が消滅したにもかかわらず、その死亡の日の属する月の翌月
以降の分として当該年金給付の過誤払が行われた場合において、当該
過誤払による返還金に係る債権に係る債務の弁済をすべき者に支払う
べき年金給付があるときは、その過誤払が行われた年金給付は、債務
の弁済をすべき者の年金給付の内払とみなすことができる。

☆☆==================================================☆☆

「年金の支払の調整」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆==================================================☆☆

【 H14-厚年3-C[改題]】
老齢厚生年金の受給権者が死亡したにもかかわらず、死亡した日が属する
月の翌月以降の分として当該年金が過誤払いされた場合において、過誤
払いによる返還金債権に係る債務の弁済をするべき者に支払うべき遺族
厚生年金給付があるときは、当該過誤払いの債権の金額をもって当該
遺族厚生年金の給付の内払いとみなす。

【 H6-厚年10-D 】
受給権者の死亡により返還金が生じた場合、その返還金は、債務を弁済
すべき者に支給する老齢厚生年金の内払いとみなすことができる。

【 H26-厚年-選択 】
年金たる保険給付の受給権者が死亡したため、その受給権が消滅したにも
かかわらず、その死亡の日の属する月の翌月以後の分として当該年金たる
保険給付の過誤払が行われた場合において、当該過誤払による返還金に
係る債権に係る債務の弁済をすべき者に支払うべき年金たる保険給付が
あるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該年金たる保険給付
の支払金の金額を当該過誤払による返還金に係る債権の金額( E )
ことができる。

【 H29-国年9-C 】
夫婦ともに老齢基礎年金のみを受給していた世帯において、夫が死亡し
その受給権が消滅したにもかかわらず、死亡した月の翌月以降の分とし
て老齢基礎年金の過誤払が行われた場合、国民年金法第21条の2の規定
により、死亡した夫と生計を同じくしていた妻に支払う老齢基礎年金の
金額を当該過誤払による返還金債権の金額に充当することができる。

【 H23-厚年2-E 】
障害厚生年金の受給権者が死亡したにもかかわらず、当該障害厚生年金
の給付に過誤払いが生じた場合、返還金請求権に係る債務を弁済すべき
者に支払うべき老齢厚生年金の支払金の金額を当該過誤払いによる返還金
債権の金額に充当することができる。

【 H11-厚年4-D 】
年金たる保険給付の受給権者の死亡により、当該年金給付に係る返還金が
生じた場合、当該返還金に係る債務を弁済すべき者に支給する老齢厚生
年金の支払金を、当該返還金に充当することができる。

【 H16-厚年3-A[改題]】
遺族厚生年金の受給権者が同一支給事由に基づく他の遺族厚生年金(同一
の実施機関が支給するものに限る。)の受給権者の死亡に伴う当該遺族厚生
年金の支払金の金額の過誤払による返還金債権に係る債務の弁済をすべき
者であるときは、当該年金の支払金の金額の過誤払による返還金債権への
充当を行うことができる。

☆☆==================================================☆☆

「年金の支払の調整」に関する問題です。
「年金の支払の調整」については、国民年金法、厚生年金保険法の
どちらにも規定があり、いずれからも出題されています。

年金の受給権者が死亡した場合、過誤払が行われることがあります。
ここに掲載した問題は、その過誤払をどう処理するのか、というのが論点
です。

まず、最初の3問では、「内払」とあります。
受給権者が亡くなっているので、将来分の内払として処理することはでき
ません。
いずれも誤りです。
受給権者が死亡したことにより受給権が消滅した場合における過誤払の
調整、これは、内払ではなく、遺族厚生年金・遺族基礎年金の支払金の
金額を返還金債権の金額に充当することができるとされています。
誤って支払ってしまったものと遺族に支給するものとを相殺してしまい
ましょう、というものです。

この内払なのか、充当なのかという点は、選択式でも空欄にされています。
それが、【 H26-厚年-選択 】です。答えは「に充当する」です。
ここでは掲載していませんが、選択肢に「の内払とみなす」という語句が
置かれていました。
ということで、「内払」と「充当」、これらを混同しないようにしましょう。

次に、【 H29-国年9-C 】、【 H23-厚年2-E 】、【 H11-厚年
4-D 】では、「老齢基礎年金の金額」や「老齢厚生年金の支払金」を
充当することができるとしています。
老齢基礎年金や老齢厚生年金は、年金の受給権者の死亡とは、まったく関連
を持たないものです。
そのため、そのようなものを充当することはできません。
充当することができるのは、死亡との関連で支給されるものに限られます。
つまり、過誤払による返還金債権の金額に充当することができるのは、
「遺族基礎年金」や「遺族厚生年金」(同一の実施機関が支給するもの)の
支払金の金額に限られます。
したがって、これら3問は、誤りです。
もう一つの【 H16-厚年3-A[改題]】は、正しいです。

ということで、「充当」に関しては、厚生年金保険と国民年金、横断的に
押さえておきましょう。

 

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令和5年-国年法・問7-C「遺族基礎年金」

2024-06-07 03:00:01 | 過去問データベース

 

今回は、令和5年-国年法・問7-C「遺族基礎年金」です。

☆☆===================================================☆☆

被保険者又は被保険者であった者(以下「被保険者等」という。)の死亡の
当時胎児であった子が生まれたときは、その子は、当該被保険者等の死亡の
当時その者によって生計を維持していたものとみなされるとともに、配偶者
は、その者の死亡の当時その子と生計を同じくしていたものとみなされ、その
子の遺族基礎年金の受給権は被保険者等の死亡当時にさかのぼって発生する。

☆☆===================================================☆☆

「遺族基礎年金」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆===================================================☆☆

【 H9-8-B[改題]】
被保険者の死亡当時胎児であった子が生まれたときには、配偶者はその子
と死亡当時に生計を同じくしていたとみなされ、死亡当時にさかのぼって
遺族基礎年金の受給権が発生する。

【 H10-5-E[改題]】
被保険者の死亡当時胎児であった子が生まれたときには、配偶者はその子
と死亡当時に生計を同じにしていたとみなされ、死亡当時にさかのぼって
遺族基礎年金の受給権が発生する。

【 H11-3-A[改題]】
被保険者の死亡当時に胎児であった子が生まれたときには、配偶者はその
子と死亡当時に生計を維持していたとみなされ、死亡当時に遡って遺族
基礎年金の受給権が発生する。

【 H14-4-C[改題]】
被保険者の死亡当時胎児であった子が生まれたときは、配偶者は被保険者
の死亡当時にその子と生計を同じくしていたものとみなされ、将来に向かっ
て、配偶者に遺族基礎年金の受給権が発生する。

【 H30-8-C 】
夫が死亡し、その死亡の当時胎児であった子が生まれ、妻に遺族基礎年金の
受給権が発生した場合、当該受給権の発生日は当該夫の死亡当時に遡ること
となり、当該遺族基礎年金は当該子が出生するまでの期間、支給停止され、
当該子の出生により将来に向かって支給停止が解除される。なお、当該子
以外に子はいないものとする。

【 H15-7-D[改題]】
配偶者が遺族基礎年金の受給権を取得した当時胎児であった子が生まれた
ときは、その生まれた日の属する月にさかのぼって遺族基礎年金額を改定
して支給する。

【 R3-6-B 】
配偶者が遺族基礎年金の受給権を取得した当時胎児であった子が生まれ
たときは、その子は、配偶者がその権利を取得した当時遺族基礎年金の
遺族の範囲に該当し、かつ、死亡した被保険者又は被保険者であった者と
生計を同じくした子とみなされるため、遺族基礎年金の額は被保険者
又は被保険者であった者の死亡した日の属する月の翌月にさかのぼって
改定される。

☆☆===================================================☆☆

【 H9-8-B[改題]】からの3問と【 H30-8-C 】、【 R5-7-C 】
は、いずれも同じ論点で、誤りです。

被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時胎児であった子が生まれた
ときは、「将来に向かって」、その子は、被保険者又は被保険者であった者
の死亡の当時その者によって生計を維持していたものとみなし、配偶者は、
その者の死亡当時その子と生計を同じくしていたものとみなされます。
つまり、被保険者又は被保険者であった者の死亡当時にさかのぼって、受給
権が生じることはありません。

それと、【 H11-3-A[改題]】では、「生計を維持していたとみなされ」
とありますが、ここも誤りですよ。
正しくは、「生計を同じくしていたとみなされ」です。

【 H14-4-C[改題]】は、正しいです。
受給権は、将来に向かって発生するものです。

【 H15-7-D[改題]】と【 R3-6-B 】は、誤りです。
生まれた日の属する月の「翌月」から改定して支給されます。
こちらは、年金額の改定の場合ですが、考え方は同じです。
さかのぼるということはありません。

ちなみに、この論点に関しては、

【 H13-3-E[改題]】
配偶者が遺族基礎年金の受給権を取得した当時胎児であった子が生まれ
たときは、その子は、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時、
その者によって生計を維持し、かつ、配偶者と生計を同じくした子と
みなし、その子の生まれた日の属する月の翌月から、配偶者に対する
遺族基礎年金の額を改定する。

という正しい出題もあります。

しかし、平成30年度、令和3年度、令和5年度の問題以外の問題は、
平成9年度から平成15年度の7年間での出題で、この間に6回も出題
というのは、凄いですね!!
80%以上の確率で出題されていたわけでして・・・
その後、しばらく出題がありませんでしたが、平成30年度に久々に
出題され、その後、複数回出題されています。
このようなものは、今後も出題されるでしょう。

簡単なことなので、出題されたときは、必ず正解できるようにしましょう。
このような問題を取りこぼすと大きなダメージになりますよ。


 

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令和5年-国年法・問6-E「遺族基礎年金の失権」

2024-05-31 03:00:01 | 過去問データベース

 

今回は、令和5年-国年法・問6-E「遺族基礎年金の失権」です。

☆☆======================================================☆☆

遺族基礎年金の受給権を有する配偶者と子のうち、すべての子が直系血族
又は直系姻族の養子となった場合、配偶者の有する遺族基礎年金の受給権は
消滅するが、子の有する遺族基礎年金の受給権は消滅しない。

☆☆======================================================☆☆

「遺族基礎年金の失権」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆======================================================☆☆

【 H20-10-E[改題]】
遺族基礎年金の失権事由のうち配偶者と子に共通するものは、受給権者が、
死亡したとき、婚姻をしたとき、及び直系血族又は直系姻族以外の養子に
なったときである。

【 H7-3-C 】
遺族基礎年金の受給権は、受給権者が祖父の養子となった場合には、消滅
する。

【 H16-3-C 】
夫の死亡により遺族基礎年金の受給権者となった妻が、夫の父と養子縁組を
した場合、当該遺族基礎年金の受給権は消滅しない。

【 R元-2-B 】
遺族基礎年金の受給権者である子が、死亡した被保険者の兄の養子となった
としても、当該子の遺族基礎年金の受給権は消滅しない。

【 H15-2-A[改題]】
遺族基礎年金の受給権を有する配偶者とその子のうち、すべての子が直系
血族又は直系姻族の養子になった場合、配偶者と子の受給権は消滅する。

【 H28-3-B 】

被保険者、配偶者及び当該夫婦の実子が1人いる世帯で、被保険者が死亡し
配偶者及び子に遺族基礎年金の受給権が発生した場合、その子が直系血族
又は直系姻族の養子となったときには、子の有する遺族基礎年金の受給権
は消滅しないが、配偶者の有する遺族基礎年金の受給権は消滅する。

【 H19-3-B[改題]】
配偶者に支給する遺族基礎年金は、加算事由に該当する子が1人のときは、
その子が配偶者以外の養子となったときに消滅するが、その子が直系血族
又は直系姻族の養子になったときは、この限りではない。

【 H24-4-C[改題]】
配偶者の有する遺族基礎年金の受給権は、加算対象となっている子の
すべてが直系血族又は直系姻族以外の者の養子となった場合には消滅する
が、当該子のすべてが直系血族又は直系姻族の養子となった場合には消滅
しない。

☆☆======================================================☆☆

「遺族基礎年金の失権事由」に関する問題です。

失権事由は、配偶者に限るものや子に限るもの、共通のものとありますが、
【 H20-10-E[改題]】では、共通のものについて出題しています。
遺族基礎年金の配偶者と子に共通する失権事由は、次の3つです。
(1) 死亡したとき
(2) 婚姻をしたとき
(3) 直系血族又は直系姻族以外の養子になったとき
したがって、【 H20-10-E[改題]】は、正しいです。

そのほかの問題は、いずれも養子となった場合の具体的な取扱いです。

【 H7-3-C 】では、「祖父の養子となった→失権」としています。
祖父は直系血族ですから、その養子となったことは失権事由に該当しません。
誤りです。
【 H16-3-C 】は「夫の父と養子縁組→失権しない」としています。夫の
父は直系姻族ですから、この場合は、失権しません。正しいです。
【 R元-2-B 】では「被保険者の兄の養子となった→受給権は消滅しない」
としています。
被保険者の兄は、伯父にあたり、伯父は、直系血族又は直系姻族ではありま
せん。
そのため、その養子となれば受給権は消滅します。誤りです。

【 H15-2-A[改題]】と【 R5-6-E 】は、「すべての子が直系血族
又は直系姻族の養子になった」とあり、【 H15-2-A[改題]】では配偶者
と子は失権」、【 R5-6-E 】では「子の有する遺族基礎年金の受給権は
消滅しない」としています。この場合、配偶者は子のない配偶者となってし
まうことがあり、そうであれば、配偶者は失権します。
では、子は、といえば、直系血族又は直系姻族の養子ですから、失権しませんね。
にもかかわらず、【 H15-2-A[改題]】では、配偶者も子も、いずれも
失権としているので、誤りです。【 R5-6-E 】は正しいです。
【 H28-3-B 】も同じです。 受給権者が配偶者と子1人である場合に、
その子が直系血族又は直系姻族の養子となったときは、その子は失権事由
には該当しないので、子自身の受給権は消滅しませんが、配偶者は「子のある
配偶者」ではなくなるため、その受給権は消滅します。正しいです。
最後の2問、【 H19-3-B[改題]】と【 H24-2-C[改題]】も、やはり、
【 H15-2-A[改題]】と同じといえます。
「子が直系血族又は直系姻族の養子になった」ということは、子が配偶者以外
の者の養子となったことが含まれるので、もし、配偶者以外の者の養子なら、
配偶者について、他に子がいないのであれば、配偶者は子のない配偶者になっ
たことになります。そのため、失権します。それぞれの問題では、「この限り
ではない」「消滅しない」としているので、誤りです。

ちなみに、配偶者は、「子のある配偶者」の場合に、遺族基礎年金の受給権
者となります。子がいると、子の世話などがあり、思うように働けない、子が
いないのであれば、自ら働いて収入を得られるでしょというところです。
そこで、子が養子となったときですが、「配偶者の養子」となったのであれば、
配偶者は「子のある配偶者」の状態ですから、失権しません。
一方「配偶者以外の者の養子となった」ということであれば、直系血族又は
直系姻族以外の者の養子であろうが、直系血族又は直系姻族の養子であろう
が、配偶者は「子のない配偶者」となるので、失権します。
子や配偶者が養子となった場合の取扱い、いろいろなパターンで出題されて
くるので、考え方を、きちんと理解しておきましょう。

 

 

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令和5年-国年法・問5-C「合算対象期間」

2024-05-24 03:00:01 | 過去問データベース

 

今回は、令和5年-国年法・問5-C「合算対象期間」です。

☆☆======================================================☆☆

第2号被保険者としての被保険者期間のうち、20歳に達した日の属する月前の
期間及び60歳に達した日の属する月以後の期間は、老齢基礎年金の年金額の
計算に関しては保険料納付済期間に算入され、合算対象期間に算入されない。

☆☆======================================================☆☆

「合算対象期間」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆======================================================☆☆

【 H18-4-E 】
昭和36年4月1日から昭和61年3月31日の間の20歳未満又は60歳以上
の厚生年金保険の被保険者期間は、合算対象期間とされる。

【 H9-4-C 】
昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までの厚生年金保険の被保険者
期間のうち、20歳に達した日の属する月前の期間及び60歳に達した日の
属する月以後の期間に係るものは、合算対象期間とされる。

【 H4-1-B 】
厚生年金保険の被保険者期間のうち、20歳に達した日の属する月前の期間
及び60歳に達した日の属する月以後の期間に係るものは合算対象期間に算入
しない。

【 H7-6-A 】
第2号被保険者としての国民年金の被保険者期間に係る保険料納付済期間
を有する者の、20歳に達した日の属する月前の期間及び60歳に達した日
の属する月以後の保険料納付済期間は、老齢基礎年金等の支給要件の特例
の適用については、合算対象期間に算入される。

【 H8-4-D 】
第2号被保険者としての国民年金の被保険者期間に係る保険料納付済期間
を有するものの20歳に達した日の属する月前の厚生年金保険の被保険者
期間は、老齢基礎年金の支給要件の特例の適用については、合算対象期間
とされている。

【 H14-10-B[改題]】
第2号被保険者としての被保険者期間のうち、20歳未満の期間及び60歳以上
の期間は、老齢基礎年金の資格期間に算入できる期間にならない。

【 H28-7-C 】
第2号被保険者としての被保険者期間のうち、20歳に達した日の属する月
前の期間及び60歳に達した日の属する月以後の期間は、合算対象期間とされ、
この期間は老齢基礎年金の年金額の計算に関しては保険料納付済期間に算入
されない。

【 R4-8-A 】
20歳未満の厚生年金保険の被保険者は国民年金の第2号被保険者となるが、
当分の間、当該被保険者期間は保険料納付済期間として算入され、老齢基礎
年金の額に反映される。

【 H30-9-C 】
60歳から64歳まで任意加入被保険者として保険料を納付していた期間は、
老齢基礎年金の年金額を算定する際に保険料納付済期間として反映されるが、
60歳から64歳まで第1号厚生年金被保険者であった期間は、老齢基礎年金
の年金額を算定する際に保険料納付済期間として反映されない。

☆☆======================================================☆☆

合算対象期間の問題です。試験にはかなり頻繁に出題されますが、
いろいろとあり、混乱している方もいるのではないでしょうか?

その中の1つ、厚生年金保険の被保険者期間(第2号被保険者としての被保険
者期間)の扱いです。
合算対象期間の中では、簡単なものといえるでしょう。

まず、【 H18-4-E 】と【 H9-4-C 】は旧法の厚生年金保険の被保険
者期間、そのうち20歳前や60歳以後の期間が合算対象期間になるかどうかが
論点です。
そのほかの問題は、新法における、20歳前や60歳以後の期間に関してです。

いずれにしても、厚生年金保険に保険料を納付しているのですから、保険給付に
一切反映されないなんてことはないのですが・・・・
老齢基礎年金の受給資格期間を判断する場合には、合算対象期間とされます。
これは、新法についても、旧法についてもです。
ということで、【 H4-1-B 】と【 H14-10-B[改題]】は、誤りです。
【 R5-5-C 】では「保険料納付済期間に算入され」とありますが、算入
されず、合算対象期間に算入されるので、誤りです。
【 R4-8-A 】では「合算対象期間」という言葉は使っていませんが、
「保険料納付済期間として算入され、老齢基礎年金の額に反映される」と
「合算対象期間」ではない記述なので、誤りです。
【 H30-9-C 】でも、合算対象期間という言葉は使っていませんが、
「老齢基礎年金の年金額を算定する際に保険料納付済期間として反映されない」
というのは合算対象期間を指しています。
また、任意加入被保険者の期間にも触れていますが、保険料を納付していたので
あれば、その期間は保険料納付済期間です。
ですので、正しいです。

これら以外の問題も正しいです。

老齢基礎年金というのは、20歳から60歳になるまでの間の保険料納付状況
を原則として年金額に反映するので、第2号被保険者であった期間についても、
20歳未満の期間と60歳以上の期間は、年金額に反映されない合算対象期間
としているのです。
この辺の扱いについては、
老齢基礎年金の額に反映されない保険料はどうなっちゃうの?
なんて疑問を抱く方もいますが、老齢基礎年金の額には反映されませんが、
老齢厚生年金の額には反映されるので、保険料はちゃんと保険給付に反映
されることにはなるんです。

それと、問題によって、
「20歳に達した日の属する月前」という表現をしているものがあったり、
「20歳未満」なんて表現をしているものがあったりします。
厳密に考えると違うのでは?と思ってしまう方もいるでしょうが、この点は
同じことをいっていると考えておきましょう。

ちなみに、
年金に関連する問題は、言葉の使い方がかなりラフな場合があります。
でも、そのことで、間違いとするってことはない傾向があるので、些細な言葉
の使い方の違いで、単純に誤りだと判断しないようにしましょう。


 

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令和5年-国年法・問1-E「付加保険料と給付」

2024-05-17 03:00:01 | 過去問データベース

 

今回は、令和5年-国年法・問1-E「付加保険料と給付」です。

☆☆======================================================☆☆

寡婦年金の額は、死亡した夫の老齢基礎年金の計算の例によって計算した額
の4分の3に相当する額であるが、当該夫が3年以上の付加保険料納付済
期間を有していた場合には、上記の額に8,500円を加算した額となる。

☆☆======================================================☆☆

「付加保険料と給付」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆======================================================☆☆

【 H20-1-A 】
死亡一時金の額は、死亡日の属する月の前月までの第1号被保険者としての
被保険者期間に係る死亡日の前日における付加保険料に係る保険料納付済
期間が3年以上である者の遺族に支給される場合、8,500円が加算されるが、
脱退一時金の額は、付加保険料を3年以上納付している者に対して支給され
る場合であっても別途加算されることはない。

【 H17-3-B 】
脱退一時金の額は、付加保険料を3年以上納付している場合には、一律8,500
円が加算される。

【 R2-4-D 】
死亡した被保険者の子が遺族基礎年金の受給権を取得した場合において、当該
被保険者が月額400円の付加保険料を納付していた場合、当該子には、遺族
基礎年金と併せて付加年金が支給される。

【 H15-4-A 】
死亡した夫が付加保険料を納付していた場合には、遺族基礎年金及び寡婦年金
について、それぞれ付加年金が加算される。

【 H24-4-イ 】
付加保険料の納付者が死亡した場合における妻に対する寡婦年金の額は、夫
が受け取るはずであった老齢基礎年金の付加年金部分の2分の1相当額が加算
される。

【 H21-8-E 】
寡婦年金の額は、死亡した夫の老齢基礎年金額の計算の例によって計算した
額の4分の3に相当する額であるが、当該夫が付加保険料納付済期間を3年
以上有していた場合には、当該額に8,500円を加算した額である。

【 H13-10-E 】
寡婦年金の年金額には、付加保険料の納付の有無は影響しない。

☆☆======================================================☆☆

「付加保険料と給付」に関する問題です。

付加保険料を納付している場合、どのような給付に反映されるのか。
この点は、いろいろな給付と組み合わせて出題されます。

付加保険料というのは、第1号被保険者は、第2号被保険者と異なり、2階
建て年金とはならないので、国民年金独自に上乗せ給付を行うために設けら
れているもので・・・
付加保険料を納付していた場合、老齢基礎年金の受給権を得れば、老齢基礎
年金とともに、付加年金が支給されます。
そのほか、保険料の掛け捨て防止の観点から設けられている死亡一時金に
加算額が加算されることがあります。

では、脱退一時金の額に加算があるかといえば、付加保険料を納付していた
としても、いっさい加算はありません。
また、老齢基礎年金以外の年金、
障害基礎年金、遺族基礎年金、寡婦年金いずれについても加算が行われること
はありませんし、付加年金が併せて支給されることもありません。

したがって、【 H20-1-A 】は、正しいです。
【 H13-10-E 】も、「寡婦年金の年金額には影響しない」としているので、
正しいです。

これら以外は、
【 H17-3-B 】は脱退一時金の額、
【 R2-4-D 】は遺族基礎年金、
【 H15-4-A 】は遺族基礎年金及び寡婦年金、
【 R5-1-E 】、【 H24-4-イ 】、【 H21-8-E 】は寡婦年金の額、
それぞれ加算があるとか、併せて付加年金を支給するとかしているので、誤り
です。

この論点は、今後も、出題されるでしょう。
難しいことではないので、確実に正解できるようにしましょう。

 

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令和5年-国年法・問1-A「追納」

2024-05-10 03:00:01 | 過去問データベース

 

今回は、令和5年-国年法・問1-A「追納」です。

☆☆======================================================☆☆

保険料の全額免除の規定により、納付することを要しないとの厚生労働大臣
の承認を受けたことのある老齢基礎年金の受給権者が、当該老齢基礎年金
を請求していない場合、その承認を受けた日から10年以内の期間に係る保険
料について追納することができる。

☆☆======================================================☆☆

「追納」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆======================================================☆☆

【 H21-2-C[改題]】
繰上げ支給の老齢基礎年金を受給している者であっても、65歳に達する日
の前日までの間であれば、保険料免除の規定(国民年金法第88条の2に
規定する産前産後免除期間を除く。)により納付することを要しないものと
された保険料につき、厚生労働大臣の承認を受けて、当該承認の日の属する
月前10年以内の期間に係るものについて、その全部又は一部につき追納する
ことができる。

【 H14-1-C[改題]】
老齢基礎年金の受給権者は、保険料免除の規定(国民年金法第88条の2に
規定する産前産後免除期間を除く。)により納付することを要しないとされた
保険料について、厚生労働大臣の承認を受けて追納することができる。

【 H15-9-D 】
老齢基礎年金の受給権者で、支給の繰下げの申出をしている場合にも保険料
の追納はできない。

【 H30-3-B 】
被保険者又は被保険者であった者(老齢基礎年金の受給権者を除く。)は、
厚生労働大臣の承認を受け、学生納付特例の規定により納付することを
要しないものとされた保険料につき、厚生労働大臣の承認の日の属する
月前10年以内の期間に係るものに限り、追納することができる。

【 H11-6-A[改題]】
被保険者又は被保険者であったすべての者については、国民年金法第89条
から第90条の3の規定により納付を要しないものとされた保険料の全部
又は一部につき追納をすることができる。

【 H24-5-D[改題]】
保険料の免除(国民年金法第88条の2に規定する産前産後免除を除く。)
を受けている第1号被保険者が障害基礎年金の受給権を有する場合でも、
厚生労働大臣の承認を受け、免除を受けた期間の保険料(承認の日の属する
月前10年以内の期間に係るものに限る。)の全部又は一部を追納すること
ができる。

【 H28-6-D[改題]】
被保険者又は被保険者であった者が、保険料の全額免除の規定(国民年金法
第88条の2に規定する産前産後免除期間を除く。)により納付することを
要しないものとされた保険料(追納の承認を受けようとする日の属する月前
10年以内の期間に係るものに限る。)について厚生労働大臣の承認を受けて
追納しようとするとき、その者が障害基礎年金の受給権者となった場合には
追納することができない。

☆☆======================================================☆☆

「保険料の追納」のうち、老齢基礎年金の受給権者等が追納することができる
かどうかという点を論点とした問題です。

追納は、厚生労働大臣の承認を受けて、当該承認の日の属する月前10年以内
の期間に係るものについて、行うことができます。
行うことができるのは、被保険者であるものだけでなく、被保険者であった者
についても行うことができます。
ただし、老齢基礎年金の受給権者は、その年齢にかかわらず、追納することは
できません。
老齢基礎年金の受給権者であれば、その請求をする前であろうと、追納すること
はできません。
また、支給を繰り上げていようが、繰下げの申出をしていようが、追納すること
はできません。

したがって、最初の3問は誤りで、
続く2問、【 H15-9-D 】と【 H30-3-B 】は正しいです。

その次の【 H11-6-A[改題]】ですが、
この問題では、「老齢基礎年金の受給権者」という記述はありませんが、「被保険者
であったすべての者」とあります。
これですと、「老齢基礎年金の受給権者」も含まれてしまうことになります。
誤りです。

「老齢基礎年金の受給権者」と明確にしていなくても、それを含むような記述で
あって、追納ができるとしていれば、誤りですからね。
このような出題の場合は、注意です。
それと、【 H24-5-D[改題]】では、障害基礎年金の受給権者は追納できる
としています。
これは、正しいです。
【 H28-6-D[改題]】では、
「障害基礎年金の受給権者となった場合には追納することができない」
としているので、誤りです。

追納することができないのは、老齢基礎年金の受給権者だけで、障害基礎年金
や遺族基礎年金の受給権者は、「受給権者である」ということ理由に追納が制限
されることはありません。
ですので、老齢基礎年金の受給権者でないのであれば、追納することができます。

ちなみに、障害基礎年金の額や遺族基礎年金の額は、保険料の納付状況にかか
わらず決定されますが、老齢基礎年金の額は、保険料の納付状況によって異なり
ます。この違いが、追納することができるかどうかに影響しています。

ということで、
年金の受給権者すべてが追納することができないというのではありませんから、
この点は、間違えないようにしましょう。

 

 

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令和5年-社会一般・問9-A「不服申立て制度」

2024-05-03 03:00:01 | 過去問データベース

 

今回は、令和5年-社会一般・問9-A「不服申立て制度」です。

☆☆======================================================☆☆

社会保険審査官(以下本問において「審査官」という。)は、厚生労働省の
職員のうちから厚生労働大臣が命じ、各地方厚生局(地方厚生支局を含む。)
に置かれる。

☆☆======================================================☆☆

「不服申立て制度」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆======================================================☆☆

【 H18-健保10-A 】
不服申立て制度は2審制がとられており、第1次審査機関として各都道府県
に独任制の社会保険審査官が置かれ、第2次審査機関として合議制の社会
保険審査会が置かれている。

【 H21-社一7-A[改題]】
健康保険法第189条、船員保険法第138条、厚生年金保険法第90条(同条
第2項及び第6項を除く。)及び石炭鉱業年金基金法第33条第1項、国民
年金法第101条並びに年金給付遅延加算金支給法第8条等の規定による審査
請求の事件を取り扱わせるため、各地方厚生局(地方厚生支局を含む。)に
社会保険審査官が置かれる。

【 H14-社一9-A[改題]】
各年金事務所に置かれた社会保険審査官は、石炭鉱業年金基金法の規定に
よる審査請求の事件も取り扱う。

【 H7-社一9-D[改題]】
社会保険に関する処分に不服がある場合の審査機関として各地方厚生局
(地方厚生支局を含む。)に社会保険審査官が置かれている。また、社会
保険審査官の審査決定に不服がある場合の上級審査機関として、厚生労働
省に社会保険審査会が置かれている。

【 H21-社一7-E 】
社会保険審査会は、厚生労働大臣の所轄のもとに置かれ、委員長および
委員5人をもって組織される。社会保険審査会の委員長及び委員は、衆参
両議院の同意を得て、厚生労働大臣が任命する。

【 H5-社一-記述[改題]】
第2次審査機関として、合議制の社会保険審査会があり、社会保険審査官
が行った決定に不服がある者は、これに対し再審査請求をすることができる。
この社会保険審査会は、( B )に設置されており、( C )の同意を得て
( D )が任命した委員長及び5人の委員により組織されている。

☆☆======================================================☆☆

「不服申立て制度」に関する問題です。
不服申立てに関する問題、審査請求の対象となる処分や請求できる期間など
を論点にしたものが多いですが、審査官や審査会がどこに置かれているのか、
この論点もときどき出題されます。

前の5問、社会保険審査官について、それぞれ「各都道府県」、「各地方厚生局
(地方厚生支局を含む。)」、「各年金事務所」に置くとしています。

ちなみに、社会保険審査官は定数が103人です。
これは、平成17年に「社会保険に関する一般常識」で出題されていますが、
もし、年金事務所ごとに置かれているとなると、103人では足りません。
年金事務所、東京だけでも30近く、全国で300以上ありますからね。

それと、都道府県は、健康保険などの事務を担当していません。
そうなると、「各地方厚生局(地方厚生支局を含みます)」ってことになります。
【 H18-健保10-A 】と【 H14-社一9-A[改題]】は、誤りです。
【 R5-社一9-A 】と【 H21-社一7-A[改題]】は、正しいです。

では、【 H7-社一9-D[改題]】と【 H21-社一7-E 】の、「厚生
労働省に社会保険審査会が置かれている」、「社会保険審査会は、厚生労働
大臣の所轄のもとに置かれ」という部分ですが、【 H5-社一-記述[改題]】
でも空欄とされています。地方厚生局の上級庁に置かれているだろうという
推測はできると思います。
はい、厚生労働省です。

ということで、【 H7-社一9-D[改題]】は正しいです。

それと、審査会の委員長及び委員ですが・・・・
どのように任命するのか、これ、注意ですよ。

衆参両議院の同意を得て、厚生労働大臣が任命します。
社会保障審議会へ諮問するとか、社会保障審議会の同意を得るとかではあり
ませんので。
国会で同意が必要になります。

【 H21-社一7-E 】は、正しいです。

【 H5-社一-記述[改題]】の答えは、次のとおりです。
B:厚生労働省
C:両議院
D:厚生労働大臣

 

 

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令和5年-社会一般・問8-E「審査請求」

2024-04-26 03:00:01 | 過去問データベース

 

今回は、令和5年-社会一般・問8-E「審査請求」です。

☆☆======================================================☆☆

保険給付に関する処分(被保険者証の交付の請求に関する処分及び要介護
認定又は要支援認定に関する処分を含む。)に不服がある者は、介護保険
審査会に審査請求をすることができる。介護保険審査会の決定に不服がある
者は、社会保険審査会に対して再審査請求をすることができる。

☆☆======================================================☆☆

「審査請求」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆======================================================☆☆

【 H29-6-C 】
介護保険法の要介護認定に関する処分に不服がある者は、都道府県知事に
審査請求をすることができる。

【 H21-10-D 】
保険給付に関する処分又は保険料その他介護保険法の規定による徴収金
に関する処分に不服がある者は、当該処分をした市町村又は特別区を
その区域に含む都道府県に設置されている介護認定審査会に審査請求を
することができる。

【 H18-9-D 】
介護保険の保険給付に関する処分又は保険料その他介護保険法の規定に
よる徴収金に関する処分に不服がある者は、社会保険審査会に審査請求
することができる。

【 R元-6-E[改題]】
保険給付に関する処分(被保険者証の交付の請求又は返還に関する処分を
含む。)又は保険料その他国民健康保険法の規定による徴収金に関する処分
に不服がある者は、国民健康保険審査会に審査請求をすることができる。

【 H18-9-A 】
国民健康保険の保険給付に関する処分又は保険料その他国民健康保険法の
規定による徴収金に関する処分に不服がある者は、社会保険審査会に審査
請求をすることができる。

【 H16-9-E 】
国民健康保険法の保険給付に関する処分又は保険料その他の徴収金に
関する処分に不服がある者は、社会保険審査会に審査請求をすることが
できる。

【 H21-6-E 】
保険給付に関する処分(被保険者証の交付の請求又は返還に関する処分を
含む。)又は保険料その他国民健康保険法の規定による徴収金に関する
処分に不服がある者は、国民健康保険審査会に審査請求をすることができる。
国民健康保険審査会は、各都道府県に設置する。

【 H25-9-D 】
後期高齢者医療給付に関する処分(被保険者証の交付の請求又は返還に
関する処分を含む。)に不服がある者は、社会保険審査会に審査請求を
することができる。

【 R4-7-E 】
後期高齢者医療給付に関する処分(被保険者証の交付の請求又は返還に
関する処分を含む。)又は保険料その他高齢者医療確保法第4章の規定
による徴収金(市町村及び広域連合が徴収するものに限る。)に関する処分
に不服がある者は、後期高齢者医療審査会に審査請求をすることができる。

【 H16-10-E 】
船員保険では被保険者がその資格、標準報酬又は保険給付に関する処分に
不服がある場合には社会保険審査官に対し審査請求を行い、その決定に
不服がある場合には社会保険審査会に対し再審査請求を行うことができる。

【 H23-6-E[改題]】
船員保険では被保険者の資格、標準報酬又は保険給付に関する処分に不服
がある者は、社会保険審査官に対し審査請求をし、その決定に不服がある
者は、社会保険審査会に対して再審査請求をすることができる。

☆☆======================================================☆☆

「審査請求」に関する問題です。
審査請求に関する問題は、いろいろな法律から出題されていて、社会保険に
関する一般常識でも、たびたび出題されています。そこで、これらの問題の
論点は、「どこに審査請求をすることができるのか?」です。
健康保険法や国民年金法、厚生年金保険法などでは、社会保険審査官や社会
保険審査会に審査請求・再審査請求をすることができます。
一方、介護保険や国民健康保険、後期高齢者医療制度は、市町村や都道府県
レベルで行われている制度なので、独自の審査請求機関を設けています。

介護保険では、都道府県に置かれる「介護保険審査会」です。
なので、「都道府県知事に審査請求をすることができる」とある
【 H29-6-C 】は、誤りです。
それでは、次の【 H21-10-D 】をよく見てください。
「介護認定審査会」となっています。
介護認定審査会は、要介護認定等に係る審査判定業務を行うため、市区町村
に置かれる機関ですよね。誤りです。
うっかりすると、読み間違えてしまうなんてことがあるので、この違いは、
注意しておきましょう。
【 H18-9-D 】では、「社会保険審査会」としていますが、これも、
違います。誤りです。
それと、介護保険法における不服申立ては、健康保険法などとは異なり、
一審制です。
この点、【 R5-8-E 】では、二審制となっているので、これは誤りです。

「社会保険審査会」を審査請求先とする誤りの作り方は、国民健康保険法
でも、何度か出題されています。
それが、【 H18-9-A 】と【 H16-9-E 】で、いずれも誤りです。
国民健康保険では、やはり独自の審査請求機関として「国民健康保険審査会」
を都道府県に置いています。
したがって、【 R元-6-E[改題]】と【 H21-6-E 】は正しいです。

後期高齢者医療制度に関しても同じ誤りの出題があります。
【 H25-9-D 】です。
後期高齢者医療制度も独自の審査請求機関として「後期高齢者医療審査会」
を都道府県に置いています。
なので、【 R4-7-E 】は正しいです。

【 H16-10-E 】と【 H23-6-E[改題]】は、船員保険法に関する
問題です。
「社会保険に関する一般常識」に出てくる保険のうち船員保険は、全国単位
の保険制度なので、健康保険などと同様の扱いになります。
つまり、社会保険審査官や社会保険審査会に審査請求・再審査請求をする
ことができるということです。
【 H16-10-E 】と【 H23-6-E[改題]】は、正しいです。

審査請求に関しては、横断的に出題してくるってこともあるので、それぞれ
の法律の規定を比較して押さえておくようにしましょう。

 

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令和5年-社会一般・問5-B「社会保険労務士法・帳簿の備付け及び保存」

2024-04-19 03:00:01 | 過去問データベース

 

今回は、令和5年-社会一般・問5-B「社会保険労務士法・帳簿の備付け
及び保存」です。

☆☆======================================================☆☆

他人の求めに応じ報酬を得て、社会保険労務士法第2条に規定する事務を
業として行う社会保険労務士は、その業務に関する帳簿を備え、これに事件
の名称(必要な場合においては事件の概要)、依頼を受けた年月日、受けた
報酬の額、依頼者の住所及び氏名又は名称を記載し、当該帳簿をその関係
書類とともに、帳簿閉鎖の時から1年間保存しなければならない。

☆☆======================================================☆☆

「社会保険労務士法・帳簿の備付け及び保存」に関する問題です。

次の問題をみてください。

☆☆======================================================☆☆

【 H7-7-C 】
 社会保険労務士会は、会員たる開業社会保険労務士が開業社会保険労務士
でなくなった場合に、当該開業社会保険労務士が開業期間中に行った業務に
関する帳簿及び関係書類を引き受け、帳簿閉鎖の時から2年間保存しなけれ
ばならない。

【 H15-6-B 】
 開業社会保険労務士は、その業務に関する帳簿に必要事項を記載し、帳簿
閉鎖の時から2年間保存しなければならない。開業社会保険労務士でなくなっ
たときは、その時から1年間保存しなければならない。

【 H24-選択 】
開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人は、その業務に関する帳簿を
備え、これに事件の名称、依頼を受けた年月日、受けた報酬の額等厚生労働
大臣が定める事項を記載し、関係書類とともに帳簿閉鎖のときから( D )
保存しなければならない。

☆☆======================================================☆☆

社会保険労務士法の「帳簿の備付け及び保存」に関する問題です。

「帳簿の備付け及び保存」の規定は、開業社会保険労務士の業務の適正な
運営を確保するとともに、行政庁の監督の便に資するために設けられたもの
なので、義務が課されているのは開業社会保険労務士であり、たとえ、開業
社会保険労務士でなくなった場合であっても、自ら帳簿書類を帳簿閉鎖の
時から2年間保存しなければならないとされています。
社会保険労務士会が引き受けたりするものではありません。
なので、【 H7-7-C 】は誤りです。

では、保存をする期間ですが、平成5年の改正で1年から2年とされました。
これは、労働社会保険諸法令において、事業主に対し、帳簿書類保存義務を
2年間としている例が多いことから、開業社会保険労務士の保存義務も2年間
としています。
開業社会保険労務士でなくなったときも同様で、帳簿閉鎖の時から2年間
保存しなければなりません。
したがって、
「1年間保存」としている【 H15-6-B 】と【 R5-5-B 】は、
誤りです。

このような数字が関連する規定は選択式で狙われやすく、やはり、出題されて
いて、それが【 H24-選択 】です。
答えは「2年間」です。
出題されたのが10年以上前なので、再び出題されるかもしれません。
もし出題されたら、絶対に間違えないように。

 

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