日々のつれづれ(5代目)

旅行レポート以外の、細々としたこと。
割とまめに書くようにしています。
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【本】玉村豊男著 「種まく人」(新潮文庫)

2011-01-30 22:12:08 | 本・映画・展覧会
 玉村豊男と言う作家(と言って良いのか?)が信州で農園・ワイナリーをやっているのは知っていた。イメージとしては「知名度を活かした商売上手」と言う感じであまり好きじゃないのだけど、実際に商品を試したわけではないので断定は禁物だとも思っていた。

 たまたま読んだ本書は、ちょうど著者が農園を始めるに至った経緯とその場所を決めるまでの数年間がまとめられている。決して渡りに船、トントン拍子といった道のりではなかったようだ。手放されようとした農園を譲り受けたわけではなく、土地を買って一から始めたらしいことも窺える。

 具体的な進展具合が興味深いことは勿論だが、注目すべきはその理由。「40歳を過ぎて、自分の死に場所を探し始めた」と言うプロローグは十分にインパクトがある。2.5Lの吐血と言う衝撃的な病にも驚かされるが、そうか死に場所を探すか…「死に場所」と言うのは心落ち着けられる終の棲家の意。ちょっと著者に抱いてたイメージが変わった。

 「死に場所」にしろ、若い時分はどんどんモノを処分してシンプルに暮らすことが快感だったのに、歳を取るにつれ色々なモノ(もちろん何でもと言う意味ではなく、気に入ったものや他人から贈られた思い出の品々)に囲まれて暮らしたいという心持ちの変容ぶりについての記述にしろ、そういうものかとは理解はすれど共感はしない。自分もちょうど著者が引越しをして農園を始めたくらいの年頃だ。比ぶれば面白い。

 (著者の農園)ヴィラデストHP:http://www.villadest.com/

 2011年1月26日 通勤電車車中にて読了

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【写真展】 渡辺幸雄「山稜光景」

2011-01-30 06:37:07 | 本・映画・展覧会
 ブロッケン
 (自分の足下より低い位置からの)虹
 彩雲
 幻日
 白虹
 太陽リング
 サンピラー

 霧
 雲海
 光冠
 月暈

 これらの自然現象のうち、幾つを見たことがあるだろうか?
 本展では、北穂高や槍ヶ岳周辺の山々における上記の自然現象を撮影した作品をぎっしり展示している。解説パネルにはそうした現象が生じる理屈についても書いてるものが多く、作品鑑賞をしつつお勉強にもなる。

 当たり前のことだけどこうした作品は一朝一夕に撮れるもんじゃない。アルプスを望む松本に居を構え、長い時は数ヶ月も山に籠り(どれだけの装備を背負って登ったのだろう?)撮影チャンスを待った成果のエッセンスを、いとも気軽に見てしまうことにちょっと罪悪感すら覚える。

 登山客の多い時期に撮った写真もあるのに、人の姿がないことにも驚かされる。自然現象を撮れる瞬間は長くないはず。決して空だけを写しているワケではなく山容も多く画面に取り込まれているのに、である。

 すごいな、キレイだなと思う一方で色々なことを考えてしまう写真展だった。

 渡辺幸雄HP:http://www.ne.jp/asahi/brocken/nabe/

 2011年1月26日 キヤノンSタワー2Fにて鑑賞
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