「てふてふ荘へようこそ」乾ルカ
P12-13
大学の学生部には下宿やアパートを紹介する閲覧資料があった。
【家賃:月1万3千円】
【間取り:2K】
【敷金・礼金:なし】
【管理費:なし】
しかも、最初の1ヶ月は家賃をとらない
ただし、契約書の1行目にはゴシック体で次のように印刷されていた。
『*部屋には幽霊がいます(実害がほぼありませんので、ご安心ください)』
このアパートを舞台に、各部屋の個性的な住人と幽霊の事情が描かれる。
P98
「生きてりゃなあ、嫌ーなことばかりさ。基本的にはなあ」遠藤がとろりとし始めている目をこする。「百の出来事がありゃあ、そのうちの一つか二つさ、いいことなんて。でもなあ、人間ってのは上手いことできてるもんだよ。自分の人生を振り返ってみたらなあ、おっちゃん楽しいことしか覚えてないよ。一つきりをしっかり覚えておけば、あとの九十九もそれなりの思い出に変わっているんだよう」
ドラマ化もされた佳作。
しっかり楽しめた。
【ネット上の紹介】
直木賞候補作『あの日にかえりたい』の異才が挑んだ、笑いあり涙ありの連作ヒューマンドラマ!このアパート、なにやら秘密があります。特異な事情を抱えた6人の住人たちが出会った奇跡。切なくて、哀しくて、でもあったかい、おんぼろアパート物語。予想外のラストまでノンストップ。
[出版社商品紹介]
ある街の高台に佇むおんぼろアパート「てふてふ荘」。敷金礼金なし、家賃はわずか月1万3千円、最初の1ヶ月は家賃をとらない。破格の裏には、秘密があって…。