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「夫婦一年生」朝倉かすみ

2013年11月14日 21時39分45秒 | 読書(小説/日本)

「夫婦一年生」朝倉かすみ

朝倉かすみ作品を初めて読んだ。
けっこう面白かった。
新婚生活の1年を描いている。
結婚するところで終わる小説は多い。
本作品は、「その後」を描いている新婚シミュレーション小説。
実際、生活が始まると、どんな現実が待っているか?
実家、義理の父母とのやりとり。
行き違い、すれ違い、思い入れ、思い違いが、リアルに描かれる。

P56
結婚は、ひと昔前には、永久就職といわれていたらしい。その喩えを聞いたとき、そんなばかなと青葉は思った。永久とはまたえらく大きく出たものだな。就職って、と鼻で笑った覚えがある。ところが、結婚してみたら、永久感は確かにあった。永久をやってやろうじゃないのと思う。
しかし、就職感はなかった。それに近いものがあるとすれば、会社を興した感覚だ。共同経営に乗り出したような心持ちだった。商うものは家庭である。

【参考リンク】
作家の読書道:第96回 朝倉かすみ - WEB本の雑誌

PS
家庭を舞台にしたユーモア小説、と言えば、田辺聖子さんの独壇場。
円熟期の田辺聖子作品を知っているので、比較してしまう。
見劣りしてしまうのはしかたない。
でも、読んでいて田辺聖子作品を思い起こさせるというのは、
ある意味、それに匹敵するものを感じた、と言うことだ。
それは、すごいことだ、と思う。
けっこう楽しめた。
機会があれば、他の作品も読んでみたい。

【ネット上の紹介】
事務系OLの青葉は、仕事で出会った男、朔郎と結婚した。新居は彼の赴任先の札幌の築十五年3LDKのマンション。新婚旅行のお土産選定に頭を悩ませ、料理のレパートリー向上に努め、ご近所付き合いにも前向きに取り組むなど、主婦業を全うしようとする青葉なのだった。それでも、うまくいかないこともある。ご近所さんに夫の極秘情報をうっかり流してしまい、初の夫婦げんかに発展したり、夫の両親が泊まりがけで来訪するという一大事に振り回されたりする。嫁は一日にしてならず、な日々を綴った、ムフフときどきトホホな新婚デイズ小説。