「あなたの人生、片づけます」垣谷美雨
部屋をかたづけられない人は多い。
・・・私もそうだけど。(床の上に本、書類、モノが散乱)
片づけ屋・大庭十萬里は、一見普通のおばさん。
このおばさんが、部屋の掃除、整理整頓を指南してくれる。
しかし、それだけじゃない。
同時に、心までクリーニングしてくれる。
P201
「ですが、これは家電四品目ですよ」
「カデンヨンヒンモク?」
「家電四品目というのは、エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機のことで、市の粗大ゴミには出せないんです。新しいのに買い替えたときに電器屋に引き取ってもらわないと、あとで面倒ことになるんです。引き取ってくれる業者を自分で捜さなきゃなりませんし、そうなるとリサイクル料以外にも引取料が必要で、これが結構高いんですよ」
P207
「考えてみれば、日本人のほとんどが〈成り上がり〉だったんです。戦後の高度成長期に突入し、三種の神器と言われた白黒テレビ、洗濯機、冷蔵庫を買い揃えるために頑張って働いた」
「ええ、そうでした」
「戦争による質素倹約の反動もあったのか、ファッション雑誌をめくり、おしゃれに際限がなくなった。数年ごとに車を買い替え、洋風家具を買い揃え、家の中を飾り立てた・・・・・・」
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「お嬢さんがおっしゃるように、女も五十歳を過ぎたら死ぬ用意をすべきだと思います。(後略)」