「梅原猛の授業仏教」梅原猛
「知の巨人」という表現は、この方に相応しい。
難しいことを解りやすく教えてくれる力量に感服した。
P61
西洋の聖者は二人とも殺された。これは重要なことです。ソクラテスは70歳で毒を飲んだ。イエス=キリストはまだ20代か30代前半ではりつけにされて殺された。ところが、東洋の聖者はそうじゃないんです。釈迦は涅槃で静かに死につく。孔子さまも畳の上で死んだ。これは西洋と東洋の思想を比較する上で大事な視点だと思います。
西洋のほうは、どこか怒りの思想がありますね。聖者を殺した人間に復讐しようとする怒りの思想がある。東洋のほうはもっと安らかです。ある意味であきらめの思想、悲しみの思想があります。
P110
精進、禅定、正語、忍辱。やさしい言葉でいえば「こつこつ努力する」「集中力を養え」「正直であれ」「辱めに耐えろ」。この四つがあれば、人生は生きていけます。これが仏教で教える四つの大切な道徳です。
P189
親鸞は90歳まで生きました。
(知らなかった・・・当時としては途轍もない健康というか、生命力と思う。食事がよかったのか?)
一世を風靡した僧ですが、親鸞は一生をほとんど無名ですごし、京都の片隅の自分の弟の寺でひっそり死んだ。(これも知らなかった。女系のひ孫の覚如がささやかな教団を建てた・・・それが本願寺教団、さらに、覚如の子孫の蓮如により組織が飛躍的に拡大した、と。思想を深めるのと、組織作りは別の才能、と言うことでしょう)
P194
仏教には二つの原理があります。ひとつは平等ということですね。(中略)
もうひとつ大事なことは、悟りを得る、煩悩の世界を超えた生き方ができるということです。
京都のお寺を紹介してくれている。
P209
東福寺・・・鎌倉時代に禅の寺になった(昔は天台密教)
建仁寺・・・臨済宗の栄西が始めた、建仁寺派(臨済宗は多数の本山がある)
南禅寺・・・元・亀山上皇の別荘、禅寺となる・・・京都五山のトップ、徳川幕府の庇護を受ける
天龍寺・・・足利尊氏によってつくられる
相国寺・・・足利義満
P210
京都の東にあるのは鎌倉時代につくられた寺で、北にあるのは室町時代につくられた寺です。
本山が7つ・・・建仁寺、東福寺、南禅寺、天龍寺、相国寺、大徳寺、妙心寺
【ネット上の紹介】
宗教教育に基づいた道徳を教えたい―著者のその願いは中学校で一学期間授業をする形で叶った。その授業は、やさしい言葉で教える仏教の「いちばん大切なこと」。仏教を通して質の高い生き方を、中学生だけでなく、すべての学生から熟年世代まで語りかける名著。
[目次]
なぜ宗教が必要なのだろうか
すべての文明には宗教がある
釈迦の人生と思想を考える
大乗仏教は山から町へ下りた
生活に生きる仏教の道徳
討論・人生に宗教は必要か
日本は仏教国家になった―聖徳太子、行基、最澄
空海が密教をもたらした
鎌倉は新しい仏教の時代1 法然と親鸞
鎌倉は新しい仏教の時代2 日蓮と禅
現代の仏教はどうなっているか
いまこそ仏教が求められている