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「沖縄の70年 フォト・ストーリー 」石川文洋

2016年01月15日 22時41分01秒 | 読書(沖縄・八重山)


「沖縄の70年 フォト・ストーリー 」石川文洋

沖縄の70年を写真とともに振り返る。
著者は、沖縄出身のカメラマン。
丹念に取材した内容を、深い愛情を込めて語る。

集団自決について
P27
 沖縄戦での「集団自決」は、力の強い者が弱い者を殺したうえで最後に自殺することが多い。父は子や老いた両親を、夫は妻を、母は子を、というように殺す。
 その方法も、鎌や包丁、カミソリなどの刃物で、のどや動脈を切ったり、胸を刺す。クワで後頭部を打つ、石や棒で頭を叩く。紐で首を絞める。子どもを岩の上に叩きつける。それが、あちらでも、こちらでも、集団で行われる。異常心理となり、敵に殺されるよりは、せめて自分の手でと考えての行動であろう。
 この惨劇にまで追い込んだ皇民化教育や日本軍を憎み、「自決」とは絶対に呼びたくないという生存者もいる。

証言
P53
「子どもを殺して自分だけ生き延びようという親はひとりもいない。自分も死を決意して子どもたちをこれ以上苦しませてはいけないという気持ちでしょう。殺されるのなら自分の手で安らかにという、親の愛情だと思います。泣きながら子どもを殺している光景を、数カ所で見ています」

P120
2月4日、嘉手納基地内にはデモを警戒する米兵が一列に並んでいた、米兵たちには沖縄は多くの血を流して確保した島という占領意識がある。また世界の平和を守るために駐留しているという意識もある。米兵の思い上がった意識は、ベトナムにおけるものと同じであった。(1969年2月4日)

【感想】
フォト・ストーリー とあるので、写真集に説明文が添えられている作品、と想像していた。
その逆で、文章に写真が添えられている、と言った印象。

さまざまな証言を集めているが、よく胸の内明かしてくれたなぁ、と思う。
著者の人柄と関わりの深さゆえ、であろう。

【ネット上の紹介】
一九三八年に沖縄に生まれ、幼い頃に本土に移住した著者は、ベトナム従軍カメラマンとして、ベトナム戦争に関わる沖縄米軍基地を取材した。それをきっかけに、自らのルーツとも向き合いながら沖縄について考え続け、撮り続けてきた著者が、七〇年の歴史を、戦争と基地を軸に描き出す。カラー写真多数。
[目次]
第1章 沖縄に生まれて
第2章 沖縄戦の記憶
第3章 南洋群島の沖縄人―海のむこうの戦争体験
第4章 ベトナム戦争と沖縄
第5章 本土復帰
第6章 米軍基地一九七二~二〇一五
第7章 故郷を思う