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「それでもわたしは山に登る」田部井淳子

2016年01月19日 22時24分26秒 | 読書(山関係)


「それでもわたしは山に登る」田部井淳子

昨日紹介した「私には山がある」は、インタビューを原稿に起こしたものだが、
本作は、 田部井淳子さん自身による作品。
第1章と第2章に、分かれている。
第1章は、危機状況に陥ったときの対処。
第2章は、癌と診断され、その後の手術と闘病生活、それでも山に登った話。

P3
山で切羽詰まった状態になった時、つまり土壇場に立たされた時、どう行動したかについて本にしたいという話を編集部からいただいた。

P83
 不満を持っている人というのは、言葉よりも態度でわかる。自分の不調を口に出して言えないとますます不満が溜まり、不満が溜まると、仲間からも遠ざかることになる。そして、孤立して人とのふれあいがなくなると、ますます不満が溜まっていく、というような悪循環に陥ることになる。
 こういう人が一人いるだけで、グループ全体の雰囲気は悪くなってしまうものだ。だからこそ、わたしはできるだけ、早目に、不満を溜めていそうな人の傍に行き、まめに声をかけるように心がけている。

P147
一番の苦労は人との付き合いである。義理を欠いて多少悪人にされても、ストレスのない付き合い方に変えていかないといけない。まずは自分の健康、体治しが最優先である。

【おまけ】
一番良かったのが、第一章(P43)の「声が大きい人に気をつけろ」。
極限状況での、この対処・・・「ベースキャンプまで来て、登山の仕方そのものをひっくり返すような発言」に対して、冷静かつ波風を立てず、相手の立場を尊重した対応に感心した。

【参考リンク】
「私には山がある 大きな愛に包まれて」田部井淳子

【ネット上の紹介】
余命三カ月!?抗がん剤の副作用で足がしびれ、自宅の階段を上ることさえままならない。だが、点滴の合間を縫って登山家は山へ向かった。

[目次]
第1章 山から学んだこと(大切なものを守るために
墜落と平常心
偏らずに見る
声が大きい人には気をつけろ
疲れている時はまちがえやすい ほか)
第2章 それでもわたしは山に登る(がんのはじまり
乳がんのこと
そうだ、騒ぐな、オタオタするな
山とシャンソンと抗がん剤
こんな山に登った ほか)