【ぼちぼちクライミング&読書】

-クライミング&読書覚書rapunzel別館-

「おっかなの晩」折口真喜子

2016年01月13日 21時18分56秒 | 読書(小説/日本)


「おっかなの晩」折口真喜子

船宿・若狭屋を舞台にした連作時代小説。
いずれの作品も不思議な出来事が起こる。
女将であるお涼が、どの作品にも登場し事件が収まる趣向。

軽やかであたたかみのある人物描写』と、著者紹介に説明されている。
まったくそのとおり。
嫌味や外連味とはほど遠い内容。
複雑な感情を呼び起こす事件が起こるが、
エンディングは清涼感がある。

P188
「(前略)この世とは違うあちらの世の中、いわば彼岸へと導いてくれるのが船宿だと。その船宿は良いところを選べば、彼の地でのことをきちんと準備させてくれると言っておりました。その良い船宿というのが、こちらの若狭屋だと」
 竹丸の言葉に甚八はしゃがみ込んで頭を抱えた。
「・・・・・・竹丸・・・・・・そりゃ遊郭のことだよ・・・。(後略)」

【ネット上の紹介】
狐憑きと噂される花魁、川に消えた子供、息子を探す山姥…。浅草川に浮かぶ島、日本橋は箱崎。汐と水が入りまじり、色々なモノが流れ集まり川が三つに分かれるところ。この川辺にある若狭屋には、ちょっとさみしい魂がふらりとやって来る。にんげんもあやかしも隔てなく―。ここはこの世とあの世をつなぐ不思議な船宿。女将が出合う、八つの愛おしいあやかし話。