【ぼちぼちクライミング&読書】

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「最後のイタコ」松田広子

2013年11月04日 16時53分05秒 | 読書(伝記/自伝/評伝)

「最後のイタコ」松田広子

朝日新聞の書評欄で取り上げられていた作品。

P3
今、イタコは“絶滅危惧種”と呼ばれています。
現在活動しているイタコは、10名以下。私を含めた40代のイタコ2人がいなくなれば、イタコという職業は消えてしまうかもしれないのです。

P58
イタコになるための稽古は、朝と師匠の仕事が終わった夜。修行期間は、早い子で1年。普通は3年~5年。時には、7年かかる場合もあったようです。
稽古の大半は、経文と祭文を覚えることに費やされます。
イタコの仕事は大きく分けて4つあります。
亡き人の霊を降ろす口寄せ、心身の不調や家庭内のトラブルを祓うお祓い、オシラ様遊ばせなどの神事、そして、占いです。

P91
イタコの大切な仕事のひとつに「オシラ様遊ばせ」があります。
オシラ様とは、古くから青森県、岩手県、宮城県の一部を中心とした東北に伝わる神様のことです。ご神体の大きさは30㎝ほど。直径7~8㎝の桑の木に男女の顔が彫られ、「おせんだく」と呼ばれる布の衣装が着せてあります。馬と娘、馬と男などの組み合わせもあり、一対で人頭(ひとかしら)とかぞえます。 

プロの文筆家じゃないので、感情の機微まで描かれていない。
そこが物足りないところ。
けっこう普通じゃない人生、と思う。
だから、書きようによっては、もっと面白く出来るのに、残念。
資料として読む分にはいい。
伝記としての面白さを、期待してはいけない。

【ネット上の紹介】
「イタコ」はあの世とこの世をつなぐ、死者や神仏の代弁者。高齢化が進み、廃れていく「イタコ」の世界にとびこんだ若い女性がいた―。現役かつ最年少のイタコが初めて明かした数奇な半生と知られざる“イタコの世界”。苦悩から解き放たれ、この世を幸せに生きるためのヒント。
[目次]第1章 苦悩の日々(憧れの職業は「イタコ」;保育園を“中退”した子ども ほか);第2章 イタコへの道―決心(平日ヤンキー、週末イタコ;私を導いた師匠・林ませのこと ほか);第3章 イタコとして生きる(イタコの世界は女の修羅場!?;イタコは、過去を占う ほか);第4章 死後の世界はあるのか(地蔵菩薩が死者を導く恐山;恐山という癒やしの場所 ほか);第5章 先祖は私たちを生かしている(仏様の言葉が持つ力;心が疲れている日本人 ほか)
松田 広子 (マツダ ヒロコ)  
1972年、青森県八戸市生まれ。南部八戸イタコ六世代。現役のイタコでは最年少のため、「最後のイタコ」と呼ばれる。南部八戸イタコ五世代・林ませ氏に弟子入りし、高校一年生の夏から、イタコ修行を始める。1991年7月、恐山の夏の大祭でイタコとしてデビューを果たした。現在は、八戸市在住の郷土史家・江刺家均氏に師事しながら“オシラ様遊ばせ”など青森に根付く信仰や風習を後世に引き継ぐべく活動中。青森県上北郡野辺地町「まかど温泉ホテル」では、旅行客向けに口寄せを不定期に行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

久しぶりのリード

2013年11月03日 20時47分50秒 | ジム練習

ナカガイ摂津店で、久しぶりのリード。(約2年ぶり)
①10-
②10
③10
④11a
⑤10c
⑥10d
⑦11b
⑧11b/c
⑨11d
⑩11d
リードはクリップのタイミングが重要。
特に、前傾壁ではちょっとのミスで、すぐ怒濤のパンプ状態となる。
クリップ体勢が作れず、タイミングもずれまくり、ぼろぼろでした。
(終了点にたどり着くだけで精一杯)
2時間の滞在で10本トライ・・・10分~15分に1本トライしたことになる、ビレイヤーに感謝!


「天空の犬」樋口明雄

2013年11月02日 23時05分00秒 | 読書(小説/日本)

「天空の犬」樋口明雄

救助犬・メイとハンドラー・夏実の活躍を描いている山岳小説。
南アルプス・北岳が舞台。
とても面白かった。(犬と山が好きな方はたまらないでしょうね)

次のような構成になっている。
序章   雪崩
第一部 被災地
第二部 山へ
第三部 希望
第四部 向かい風
終章   天空の犬

序章・・・北岳での救助の様子が描かれ伏線となっている
第一部・・・夏実がNPO法人の救助犬チームに混じって東日本大震災の南相馬市に派遣される。救助犬メイとともに五日間にわたる救助活動を終え、帰還するが、心療内科に入院。さらに三ヶ月以上自宅療養と通院、リハビリの日々。精神的なダメージを受ける。実は、彼女には“共感覚”という特殊能力があり、心に深い疵を受けてしまう。
第二部・・・やっと回復した夏実。新しい内示を受ける。南アルプス署地域課へ転属。翌年山岳救助隊に任命される。

P66
山岳救助といえば、危険な山を舞台に活躍する屈強な男たちの世界である。だいいち自分は登山はおろか、ハイキングやキャンプすら、ろくにしたことがない素人。まして遭難者を背負って難所から下ろすようなハードな日常に耐えられるだろうかと思っていたら、山岳救助犬のハンドラーとしての赴任なのだといわれて納得した。

北岳が舞台になる第二部から、どんどん面白くなる。
山の素人である夏実が努力して一人前になっていく様子が描かれる。
同時に、山によって心の疵も癒やされていく。

P330
夏実のセリフ(成長の証が読み取れる)
「山岳救助隊に階級なんて関係ない。ここでは山のベテランであるか、そうじゃないかが大事なんです。他人の命を預かって無事に家に戻すことが、私たちの仕事だから」

*先日、文庫本にもなった。↓
 

【ネット上の紹介】
南アルプス山岳救助隊の新人隊員・星野夏実は、相棒の救助犬、ボーダーコリー=メイとともに、北岳にある現地警備派出所に着任した。過酷な訓練と、相次ぐ山岳事故、そして仕事への情熱と誇り。そんな日々の苦楽をともにする仲間にも打ち明けられない秘密が、彼女にはあった。東日本大震災の被災地で目の当たりにした凄惨な光景―“共感覚”という能力を持つがゆえに受けてしまった深い心の疵が、今もなお越えられぬ岩壁のように夏実の前に立ちはだかっていた。やがて立て続けに起こり始める不審な出来事。招かれざるひとりの登山者に迫る陰謀と危難を察知した夏実は、猛り狂う暴風雨の中、メイとともに命をかえりみず救助に向かった…。