原題:『劇場版 銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ』
監督:藤田陽一
脚本:大和屋暁
出演:杉田智和/阪口大助/釘宮理恵/高橋美佳子
2013年/日本
冴える「悪意」
前作『劇場版 銀魂 新訳紅桜篇』(高松信司監督 2010年)の冒頭のシーンは配給元のワーナー・ブラザース映画のロゴをいじり倒して笑いを誘っていたが、本作においても期待を裏切らず、本編が始まる前に流れるヴィデオカメラを頭に持つ盗撮男を本編に引っ張り込んで主人公の坂田銀時が直々に説教を垂れるという熱の入れようであるのみならず、この「盗撮男」を何とストーリーの要にしてしまうというデタラメ振りである。「ダイ・ハード・オブ・ザ・デイ」ネタや「ナルト」ネタや「宇宙戦艦ヤマト」ネタのみならず、チェッカーズの「フミヤと高杢」ネタなど古いものまで引っ張り出すところや、公開直前の『風立ちぬ』(宮崎駿監督 2013年)のパロディとして『アレ勃ちぬ』というポルノ映画を挟み込み、「生きねば」という『風たちぬ』の惹句の代わりに「勃たねば」と謳う、『銀魂』にしか出来ない「悪意」も嫌いではない。
メインストーリーは『劇場版 Steins; Gate 負荷領域のデジャヴ』(若林漢二監督 2013年)と基本的には類似しており、ヒーローが自らの命を賭けて仲間たちを守るというものであるが、「盗撮男」のために「失敗」してしまうとしても、あまり真面目に捉える類の作品ではあるまい。