MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ウタヒメ 彼女たちのスモーク・オン・ザ・ウォーター』

2013-07-03 21:11:59 | goo映画レビュー

原題:『ウタヒメ 彼女たちのスモーク・オン・ザ・ウォーター』
監督:星田良子
脚本:神山由美子
撮影:川田正幸
出演:黒木瞳/木村多江/山崎静代/真矢みき/西村雅彦/六角精児/栗咲寛子
2012年/日本

神山由美子のシナリオについて

 原作は五十嵐貴久の「1995年のスモーク・オン・ザ・ウォーター」である。もちろん原作と異なることを論うつもりはないのであるが、余りにも脚本が酷すぎる。例えば、主人公の井口美恵子は細かいところまで気がつきすぎるために却って夫の幸輔とは上手くいかず、娘の沙耶子は不登校になってしまっているという設定は、原作においては美恵子の息子の真人が中学浪人をしているという明確な問題を抱えているために分かりやすい分、余計に分かりにくくなっている。夫の部屋の壁にはディープ・パープルの『ライブ・イン・ジャパン』や『イン・ロック』などのアルバムジャケットが掲げられているにも関わらず、妻が演奏する「スモーク・オン・ザ・ウォーター」に何の関心も示さないのも考え難い。立花雪見が団地で孤立しているためのストレスで万引きをしてしまい、美恵子の励ましもあって見返してやろうという思いからバンドを始めたと思うのであるが、団地の住人たちがライブを見に来た様子はない。広田新子が高校の学園祭のライブ当日にステージまで上がりながら極度の緊張のためにメンバーのみならずスタッフや客も放っておいて家に帰ってしまうという心理も理解しにくい。そもそも一度お互いを罵り合って大喧嘩をして解散しておきながら、何となくバンド活動を再開してしまうという展開は、いくらなんでも動機が弱すぎる。例えば、メンバーの誰かが癌などの不治の病を患っているのであるならば、バンド活動の再開は納得できるし、そのために冒頭で美恵子と後輩の友坂かおりは乳癌の検査を受けていたはずなのであるが、恐らくそのような話になると星田良子監督の前作の『僕らのワンダフルデイズ』(2009年)とネタが被ってしまうので変更したのだと思う。
 神山由美子の脚本は前作『子宮の記憶 ここにあなたがいる』(若松節朗監督 2007年)においても不思議な展開を見せており、本作と同様に肝心の、主人公の高校生である島本真人と彼の母親の不仲の原因が全く描かれていないため、全ての登場人物に感情移入が出来ず、オカルトテイストに仕上がっている。次作『大奥 ~永遠~ 右衛門佐・綱吉篇』(金子文紀監督 2012年)に関しても既に書いた通りである。
 いずれにしても張られた伏線がどれもこれも活かされていないと思うのだが、主演の4人が自ら演奏した「スモーク・オン・ザ・ウォーター」だけは聴きがいがあった。


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「真摯」の意味は分かるのか

2013-07-03 00:29:13 | Weblog

猪瀬知事書き込み「不穏当」…裁判長が削除促す(読売新聞) - goo ニュース

 東京都知事の猪瀬直樹がツイッターの書き込みで問題となったのは、脚本家の伴一彦の

2000年のオリジナル作品のテレビドラマである『ストレートニュース』が、自身が原作を

担い1991年から1995年まで『ビッグコミックオリジナル』に連載された『ラストニュース』の

盗作のように見なし、「自分が原作を担当したマンガをアホ脚本家が換骨奪胎して安っぽい

ドラマにした」などと記した事なのであるが、訴訟において知事側は「論評であり、名誉毀損

に当たらない」と反論している。ただの悪口を“論評”としてしまっていることもかなり酷いが、

“換骨奪胎”という言葉は本来「詩文を作る際に、古人の作品の趣意は変えずに語句だけを

換え、または古人の作品の趣意に沿いながら新しいものを加えて表現すること」なのである

から、褒め言葉であり、猪瀬の趣意に沿うならば「焼き直し」が正しいはずで、何故、今頃に

なってこのような悪口を言い出したのかも不明で、頭の狂った人に見られても仕方がない。


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